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ブルマァク アリブンタ(1972)
2020年は空白の年になった。
新型コロナウイルスの蔓延によってもたらされた経済活動の自粛。
我々オタク向けのイベントも軒並み中止や延期を余儀なくされた。
劇場版タイガの延期から始まり、博品館のゾフィー公演、コミケ98、スーフェス84。他にも挙げればキリがないだろう。
中でも怪獣オタクをどん底に叩き込んだのがウルトラマンフェスティバル2020の中止だ。
「#夏はウルフェス」という決まり文句にあるように夏といえば池袋に赴き、帰りに怪獣酒場で一杯やるというのが夏の恒例行事になっていた。
人混みをかき分け池袋35番出口を出た時の焼けるような暑さ。
炎天下の中、汗まみれになりながら歩き続け、サンシャイン60に入った時の涼しさに生き返る。
ウルフェス会場に漂うなんともいえないスーツの匂い。
テレビでは見れない怪獣の部位やジオラマ越しの怪獣に興奮し、これでもかと撮影する。一年で1番写真を撮る月はまず8月で間違いないだろう。
年に数回の童心に帰れる瞬間である。
私にとってウルフェスというイベントは夏を乗り切る大きな原動力になっていた。
その存在価値は「夏が来たからウルフェスがあるのか、ウルフェスがあるから夏が来るのか」分からなくなるほどだ。
後者ならば今年に夏という季節はない。ただ暑いだけの虚構があるだけである。
あらゆる人から「楽しみ」を奪い去った憎き新型コロナウイルス。
百害あって一利なし。
未だかつて体感したことのない自粛生活に私の胸の光も消えようとしていた…。
今回紹介するアリブンタとの出会いは皮肉にもそんな混沌とした状況下での出来事であった。
人間万事塞翁が馬。
特別定額給付金10万円の給付。それは自粛に伴い怪獣趣味を封じられていた私にとってせめてもの朗報だった。
使い道は決まっていた。
かつて秋葉原のフィギュアショップで対面した伝説のアリブンタを我が家に迎え入れる。
そして運命の出会いを果たすのであった。
今回のアリブンタはその希少価値故、目の前にあっても手が届かなかった一体だ。
そして私のアリブンタ収集における最後の1ピースというべき超大物である。
では皆さんもご唱和ください!
「ブルマァク アリブンタ!!!」
1972年。ウルトラマンA放映当時に発売されていたブルマァク製のアリブンタだ。
以前ご紹介した復刻版のブルマァク アリブンタ2種のオリジナルである。
自宅に届いた際、畏多さに持った手が震えたことは記憶に新しい。
都内のレトロソフビショップで何度か拝見したことがあったが、手にとることでビンテージ特有の独特な雰囲気と高級感が伝わってきた。
これまでレトロソフビを幾つか手にしてきたが、持つのに一番緊張したソフビである。
ブルマァク アリブンタは『ウルトラマンA』35話「ゾフィからの贈り物」にてオネショ少年ユキオの部屋に飾られていることでも有名だ。(彼の部屋にはブルマァク アリブンタ二体含め、ミドルサイズのアリブンタ、アリブンタのブロマイドなどが飾られており、彼は根っからのアリブンターであったことが伺える)
AのBlu-ray BOXを購入して35話を観たところ、発売当時は水色ベースに深い青の塗装で全体的に青々していたことが分かる。
我が家の個体は半世紀近くの時を経て、エメラルドグリーンに変色しているが、劣化を感じさせない上品な色の焼け方をしているように思う。
色焼けすることにより違った雰囲気が見えてくるのもレトロソフビ特有の楽しみ方だ。
頭部、背中、腕、後ろの角から足にかけての茶色のラインが水色のボディと組み合わさっていいアクセントを出している。
お腹と背中の黄色もおしゃれで綺麗だ。
青いアリブンタがあまりいないこともあり、明るい配色はアリブンタ祭壇において一際存在感を漂わせている。
復刻版の二体が奇っ怪で恐ろしいという印象だったのに対し、当時品は全くそういう印象を感じさせない。
むしろ可愛らしい印象だ。やはり、配色は怪獣にとって重要なファクターなのだ。
色の効果なのか、復刻版の二体を見たときに気付けなかった魅力を何点か発見することもできた。
まずは頭部の三本角だ。
ちょこんと生えた三本角がなんともかわいい。しかし、よく見るとそれぞれ三股に分岐している。
これは本編のアリブンタと同じであり、当時の造形の緻密さを感じさせられた。
鉤爪もいい。
スッと伸びて先端で曲がっている爪の形状がヴェロキラプトルよろしく美しくもカッコいい。
こちらも本編スーツを綿密に再現している。
尻尾も特徴的だ。
ボディが太いアリブンタを横から見たとき、バランスが保てているのは動体に負けない太い幹の尻尾があるからだ。
二股に分かれた先端もキュートである。個体差なのか当時品は復刻版に比べて尻尾の丸まり具合が大きいように思える。
これまでアリブンタを紹介するにあたり尻尾はあまりフィーチャーしてこなかったが、改めてアリブンタの尻尾の魅力に気付かされた。
そして最終的に目に辿り着く。
目は経年劣化で溶け、ほとんど黒目になってしまっているが、この目も全体的の雰囲気を柔らかくしている。
本来は金色ベースに黒目があったらしい。
いつかこの状態のものもお迎えしたい。
デフォルメのイメージが強いブルマァクだが、当時の技術を持ってリアルに丁寧に作られていたことが手にして初めて伝わってきた。
脚や背中のシワを眺めていると当時の職人たちの努力に感動させられる。
半世紀近く前の思いに触れる、とても貴重な体験をさせてもらえた。
アリブンタ収集を本格的にはじめてから4年。
公式で出されているアリブンタフィギュアはカラバリを抜きにして把握している限りはコンプリートすることができた。
そしてこの素晴らしい超獣の魅力を多くの方々に知っていただきたいという思いからこちらのサイトで22体のアリブンタを紹介させてもらうことができた。
素人の文章と撮影でお見苦しい箇所も多かったが、たくさんの方に見て頂けてとても嬉しい。感謝しかない。
私にとっての暑い夏が終わる。
そう。振り返れば今年もたしかに夏はあったのだ。
夏といえばソフビの天敵は湿気。
夏の湿気はソフビの可塑剤を溶かしベタベタにさせてしまい、さらにはカビ繁殖の原因にもなる。
大切なソフビを守るためにもこまめに換気を行い、ソフビとソフビの間隔を開けて飾ることをお勧めします。
あれ、これどこかで聞いたことあるな。
そう、ソフビにとってもソーシャルディスタンスは重要で三密は避けるべきものなのだ。
hsasa
2020/08/15すごい熱量ですねw
おめでとうございます。
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神月≠デネブ
2020/08/15コメントいただきありがとうございます。
必死でした。
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dape_man
2020/08/16おめでとうございます。最後はやっぱりブルマァク・オリジナルですね♪
経年変化(劣化?)すら味わいに変えてしまう、素晴らしい逸品です。
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神月≠デネブ
2020/08/16コメントありがとうございます。
当時もののフィギュアが醸し出す雰囲気がすごい好きです。
今後ともアリブンタをよろしくお願いいたします。
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sat-2019
2020/08/16アリブンタ愛とアリブンタの奥深さを同時に感じました🙇🏻♂️
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神月≠デネブ
2020/08/16コメントありがとうございます。
そう言っていただけて感激です。これからもアリブンタをよろしくお願いいたします。
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塚原ユズル
2020/12/18ソフビもソーシャルディスタンス!名言です!
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神月≠デネブ
2020/12/21ユズル様、コメントありがとうございます。
ソフビを長持ちさせるためにはこういう工夫も必要ですね。ただ、フィギュアは密の方が映えるもの事実です。
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