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蒸し暑い夏が来る前に慌ててレーガーを
初めてのアイテムとして選んだ難物だったが、なんと他の階とダブって登録してしまい、一方を削除したら両方消えるというトホホをやってしまった。素早く”いいね”をしてくれた方々ごめんなさい。
改めての登録です。ここはひとつこの中の一曲だけを取り上げて、丁寧に…
全23枚のCDを購入し、いつでも聴ける態勢になった途端、なんとなく時間に押され、ぐずぐずと機会を延ばしていたもの。これを機会に走りながら聴いてみた。もちろん触るだけ。ずっと渋茶を飲みっぱなしの気分。まあ、考えてみれば(ちっとも考えてみたくなんかなかったけれど)ちょこちょこ気になる演奏はCDやテープのPCM録音で既聴してたわけで、作品自体はほとんど聴いたことがあったことに気がついた。
老人性健忘症(アルツハイマーとは思いたくねえ)のなせる業だね。
ま、要するに衝動買いだったのだね。その事実には間違いはなかった。
いや、自慢することはこれっぽっちもないね。
せっかく意を決して再登録したんだからと、カタログにある作品をYouTubeで確認してから紹介することにした。
彼の弦楽四重奏とピアノのアンサンブルを採った五重奏曲は2曲あるが、よく演奏されるのはこの1898年の遺作のほうらしい。
これを紹介します。クラリネット五重奏曲にしようかと本当は迷ったけど。
聴き始めたのでこの曲を。
マックス・レーガー/ピアノ五重奏曲ハ短調 1898年 遺作
第1楽章 アジタート
第2楽章 インテルメッツォ:アンダンティーノ コン グラツィア
第3楽章 アダージオ コン ヴァリアツィオーニ.カンタービレ
第4楽章 プレスト(マ ノン タント-ァラ カプリース)
第1楽章はかなり不機嫌なブラームス。
ちゃぶ台(んなものはなかったろうけど)をひっくり返しそうな勢いのアジタート。
どこかブラームスの第1シンフォニーや第1ピアノ協奏曲が聞こえてきそうな感じ。
とても渋いけれど、聴き込んでくるとやられそうな魅力はある。
彼のあまり多くないピアノ曲なんかを聴いているとご面相からは窺えないようなリリカルな一面も見え、
それが重層的な弦楽の対位の中でシンフォニックな歌になって聞こえはじめると『こりゃ、凄いや』と素直に脱帽した。
ただ、ずっと思ってきたことだけど、彼の鍵盤楽器の弱音には自然に湧き上がるようなリリシズムがない。
完璧にコントロールされたパトスにすがり付いて這い上がってくる切なさが、ポイ…と投げ捨てられているようでいて、
実はその音の重さ響きによってひずむ音空間のかすかな揺らぎまで書き込もうとしているかのように感じる。
重そうなんだけど、肌理があって聴くものに同化よりも客観性を強いる。
美しい音楽ではない。
だけど、美しさを求めずにすむ音楽です。
第2楽章のピツィカートはシベリウスの少年期の無垢なリズムを思い出させた。
短いけれど、彼の感性が決して歌うことを捨てていないことを感じさせてくれる。
情景的な音楽です。
第3楽章はまさにレーガーの屈折した叙情がとても素直に歌になっている。変奏形式のやさしいドラマ。
渋ーいお茶でいただく虎屋かなんかの羊羹みたい。
いくつかの変奏が旋律の帯に当たる光をさまざまな濃さの色合いに染めてゆく。
単独で聴いてもあまり魅力的だとボクは思わないんだけど、才能にはちょっと鳥肌が立つ。
もっとピアノに切れがあればと感じてしまう。11分以上の音楽。長いけど、いろんな音楽が詰まっていて面白い。
第4楽章はこれだけ第1楽章から遠ざかってしまってどういう始末をつけるのかと、初めて聴いたときの記憶がまざまざと蘇った。
フーガの規則性を持ちつつ、気分的なうつろいが早く、ぼくのCDとおそらくは同じソースだろうけど、
もう少し、各楽器の距離感が感じられる録音が出来ていればこの楽章が一番すばらしいと感じたかもしれない。
ブラームス同様音が詰まり過ぎて風通しが悪い。蒸し暑い時期にあまり聞きたいと思う音楽ではないが、聴けるということはまだ夏はこれから、だね。
Youtube
https://youtu.be/ul-fVtLL7-w
Satz1 00.01
Satz2 12.28
Satz3 16.40
Satz4 27.58
T.T 34.59