Shumann・Schubert Trios RUBINSTEIN SZERYNG FOURUNIER

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シューマンとシューベルトのどちらも第1番を収録したCD。適度に協奏的で、全体として非常に円かな歌を聴くことができます。お気に入りの一枚。
シューマンの方はLabの『歪な円』というタイトルで紹介しました。

https://muuseo.com/Mineosaurus/diaries/125

シューマン/ピアノ三重奏曲第1番ニ短調 op.63

ここではシューベルトの方を
シューベルト/ピアノ三重奏曲第1番変ロ長調D.898(op.99)

第1楽章アレグロ・モデラート
シューベルトが書いたピアノ入りの室内楽で最もほのぼのとして元気がよろしい。
若書きではなく、練り上げられた空元気のような気もしますが、ピアノが主導する明るい主題が、疲れた心を和ませてくれます。

第2楽章はアンダンテ・ウン・ポコ・モッソ 
これはシューベルト以外には絶対に書けない、まるでリートのような楽器の扱い。
抒情的な歌がどの楽器からも澄んだ空気を震わせるように柔らかなメロディが流れます。
ピアノ・チェロ・ヴァイオリンの個の絡み合いが整理されていて、自然な美しさを聴かせます。
いつまでも続いて欲しいような音楽ですね。特にチェロの歌とヴァイオリンの高みから降りてくる歌のからみが絶妙です。

第3楽章 アレグロはスケルツォです。
中間部の憂いのあるアンサンブルはやはり成熟したシューベルトが顔を見せます。

第4楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ。ロンドです。
ヴァイオリンが明るいピアノのフォーマットの上でコケティッシュなリズムを刻み、ヴァリエーションを聴かせながら合奏に入ってゆく。
明晰なピアノの音に切れがないと明るい弦楽の奏でるリズムに負けてしまいそうです。ここでのルービンシュタインはいい。
トリオで聴くべきは、アンサンブルであるなどとふんぞり返って言うつもりはありません。
シンプルな楽器編成ですから親密さも大事ですが、力量が魅力を添えます。
第2楽章のような傑作を聴くのなら、ボクはこのルービンシュタインのピアノで聴きたい。個々の力量が共感している音楽は本当に生きています。
どこにも尖ったところがなくて円かなうえにさらに広々としたシューベルトです。
特にシェリングとフルニエの掛け合いにピアノが入っていくところはすばらしい。この曲は3人の長所である技量より親密さを選んだアプローチによって素晴らしい作品になっています。

https://youtu.be/MYpBxlVw4l8?si=4WNBoOpU4MBBi65M

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    woodstein

    2023/12/12 - 編集済み

     この盤は私も大好きです。特にシューマンのピアノトリオはコルトー・ティボー・カザルスやボザールも聴きましたが、やはりこの録音にとどめを刺します。シェリングはそれほど好きな芸風のヴァイオリニストではないのですが、ルービンシュタインとフルニエの魔法にかかったような演奏を聞かせてくれていると思えてしまいます。

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