ベンジャミン・ブリテン/青少年のための管弦楽入門(パーセルの主題による変奏曲とフーガ他

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ブリテン/青少年のための管弦楽入門(パーセルの主題に基づく変奏曲とフーガ)op.34
     
     シンプルシンフォニーop.4
     フランク・ブリッジの主題による変奏曲とフーガ

指揮:ベンジャミン・ブリテン オケ:ロンドン交響楽団 ,イギリス室内管弦楽団

管弦楽入門はイギリスの教育映画「The instruments of the Orchestra」のためにブリテンが1946年に作曲したもの。イギリス音楽の大先輩パーセルの主題に基づく変奏曲とフーガのスタイルを取り、そのテーマは魅力的で親しみがあり、いつまでも耳に残る。
学生当時、ボクはこの曲を聴いてイギリスという国の歴史と音楽芸術の分厚さにうなだれると同時にオーケストレーションの実演に耳をそばだてた。
ブリテンは変奏曲形式を得意にしているようで、たくさんの変奏曲がある。
その中でも、これは管弦楽の音の重なりを解きほぐし、統合してゆく過程をたくまずして耳にすることができる作品として素晴らしい。
これくらいポピュラーな曲もない位なので、テーマを聴けば誰でも一度は聴いているかも知れない。
コンサートや、CDではよくナレーションを入れ、オーケストラの各パート説明をしながら演奏してゆく。
ジェームス・レヴァインの録音ではたしかナレーターはシャロン・ストーンじゃなかったっけ。あれは「ピーターと狼」のほうだっけか?
カラヤン版では坂本九がやっていた。
渋いのはバーンスタインがだみ声で自らナレーションを担当した演奏だった。
でも、このブリテン版は聴いていると全てわかるようになっていることに気づくはずだ。
楽器の名前はわからないかも知れないけれど…

一般的なオーケストラの編成は下のようなものだと思う。

(木管楽器)  
フルート属(フルート、ピッコロ、アルト・フルート) 
オーボエ属(オーボエ、コールアングレ)
クラリネット属(クラリネット、バス・クラリネット、エス・クラリネット)
ファゴット属(ファゴット、コントラ・ファゴット)

 (金管楽器)
ホルン
トランペット属(トランペット、コルネット、トロンボーン、テューバ)

フルートやピッコロは金管のものしか知らないけれど、今も木管楽器に入ってる。

(弦楽器)

ヴァイオリン(第1、第2)、ヴィオラ、チェロ、コントラバス

(打楽器)
ティンパニ、大太鼓、小太鼓、シンバル、木琴、鉄琴、トライアングル、他

ピアノ
オルガン
チェレスタ
ハープ等

まず、オーケストラのトウッテイ(総奏)が力強くパーセルの主題を提示し、ついで木管群が、その次は
金管群、弦楽器とハープという順番にこの主題を奏してゆく。
次に楽器単位で変奏が始まり、あるときはソロで、あるときは様々なアンサンブルで続いてゆく。
そして最後にはピッコロで始まり、順次、楽器が後を追って増えてゆき、フーガとなって総奏されて終わる。
一つ一つの音がよく整理されていて、それぞれの楽器の表情に細やかな神経が配られている。
対位法の生成や進行、動機の扱い方、作曲家ブリテンの生の解釈を知ることができる。
ナレーションはいらないね。

https://youtu.be/bxePLI40Oek?si=5gwWc_lpWJJsc2b7

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    woodstein

    2023/10/27 - 編集済み

     「音楽芸術の分厚さ」というのは共感できるものの、ドイツ、イタリア、フランスなどの国々より、作曲家の人材という点では、やや見劣りはしてしまいます。もちろん、私見です。

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      Mineosaurus

      2023/10/28

      確かにね。音楽理論を確立した大バッハの国ですから。でも、意外とドイツ音楽というものはドイツよりも他国で発展をみているのです。オーストリアを発祥とする古典的音楽は西欧と北欧という地域的特性と必要性、娯楽性によってさまざまな発達をしますね。その中でこれを吸収するのに半世紀遅れた近代になってドイツ的音楽を消化しきったイギリスは枝は少ないけど幹は太いです。
      フランスも独自の絶対音楽を発達させます。北欧は現代音楽を大衆を置いてきぼりにしないデリケートな方法で発達してきました。これらも幹は太い。ドイツ音楽でハイドンなどにすそ野が繋がっていても途中から異様に太くなり、幹が巨大化し孤峰となった木はボンの巨匠くらいなものではなかろうかとぼくは思っています。
      古典音楽のカテゴリーがもっと長いスパンでとらえられるような時代にもしなったとしたら、それまで人類が永らえたならば、作曲家の人材は見劣りしなくなるんではないかと、ボクは期待しております。

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