ヨアヒム・ラフ ピアノ小協奏曲”春への賛歌”作品76  ピアノ協奏曲ハ短調作品185

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久しぶりにCD2曲の感想を書いてみた。

ヨアヒム・ラフピアノとオーケストラのための小協奏曲”春への賛歌”ト長調作品76

オーケストレーションの天才が作曲したピアノと管弦楽の作品は3つくらいしかない
この曲は優しさが際立っている。カンタービレの効いたピアノの序奏の後のチェロの歌い方が、ホントに素晴らしくフォーマットに控えめな管弦楽が水面と空の間に滑る湯に寄り添ってくる。一音符も尖がったところのない。中間部のピアノの独奏部分は明快で抒情的。この演奏は小さくまとまっているが、当時のピアノフォルテの水準が完成形に近いことを示している。シンフォニックな場面では表題を持つ音楽の高い写実的絵画性を印象付ける。約18分の傑作。陰影とかスケールとか内省性は求めてはいけない。ピアノと金管の歌とチェロとまろやかなコントラバスのハーモ二―が美しい終まで歌い続ける。

https://youtu.be/wsLYSqPxLbg?si=YhmRtlCevCqXH1s9

ピアノ協奏曲ハ短調作品185
1. アレグロ
2. アンダンテ
3. フィナーレ(アレグロ)

第1楽章、テーマの音形が好きだね。ちょっとサン=サーンスっぽい。出すぎも控えすぎもしないピアノに寄り添い盛り上げていく管弦楽が実に巧妙。昔はさらさらと流れて行くだけの薄味のドラマだと感じたが、年取って聴くと背後の置けのテーマのつぶやきやいろんなものを耳が拾ってきて、あ、やっぱり音楽かって天才なんだと思ってしまう。
終盤の金管の歌はどこかで聴いたぞ。この辺は当時の様々な音楽家の譜面を仕上げた人だからいろんな引き出しを持ってるんだろうなと思わせる。
ただ、あんまりきれいでよく歌う。だからどこから描き始めたのかわからない。二散歩下がって振り返ると、『何がなんやらわからん風景画』を観たような気になる。
第2楽章を聴くべき。木管の歌が美しく、控えめなオーケストラが粒だったピアノの左手の歌に寄り添う。恰幅のある管弦楽を後半に準備していて、何故、当時抜群の人気を誇っていたかがよくわかる。深刻でロマンティックな音楽ではない。彼の歌謡性は緩徐楽章で発揮される。
第3楽章 ちょっとリストっぽく、ピアニスティック。ドラマティックなフィナーレ。
もう十分です。頭から尻尾まで皮の薄いあんこの詰まった鯛焼きを渋茶なしで食べたみたい。

Pf: ピーターアロンスキー/バーゼル放送交響楽団
Cond.: マティアス・バンベルト

このCDのジャケットの絵はだれのかな?このメーカーのラフの音楽はほとんどがベックリンだけど、これはタッチがフェルディナンド・フォドラーっぽい。ボクにはわかりませぬ。

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    Mineosaurus

    2023/09/30

    ビデオ広告は終わった?表示されてないけど。言ってみるもんだね。だけど今回はひどかったね。様子見てadブロックも外そうかな。

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