Maurizio Pllini Shubert 3つの後期ソナタ

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ポリーニは比較的全盛期の短かったピアニストだと思う。今は別の味わいが出てきたが、現役最高のピアニストであることは間違いない。最初の頃のペトリューシュカの3楽章や 打楽器としてのピアノの存在意義を知らしめたバルトークの協奏曲第1番と第2番、ショパンのエチュード、等々大好きな演奏は多い。そして、いきなりのベートーヴェンの後期ピアノソナタ集はびっくりした。そのカタストロフィを引きずったまま聴いたのがこのシューベルトの後期の3曲だった。
彼がD960のソナタをどう弾くのか、それにすごく興味があった。その後、彼は日本でシューベルトのソナタを何日かかけて演奏している。その時のNHKのPCM録音のエアチャックも僕の手元に残っている。このCDで弾いたときの彼の若さで走った見事さは、落ち着きを増し、吟味された音色のの統一感の上に歌われる歌が表に出ていて興味深かった。このCDは相変わらず、やや翳ったシューベルト独特の感情の揺れは、アポロ的な音色の中に少し薄められているが、やっぱり彼はイタリア人なんだと思わせる血の中のカンタービレを聴くことができる。それは感情のままの奔放なものではなく、無論コントロールされているけれど、決して理性的に作り上げたものではないような、引き締めた口元が。シューベルト独特の歌に無意識に口元を緩めさせているようにも思う。
シューベルトの後期の到達点などと肩ひじを張らず、聴くのがいい。

https://youtu.be/v9yhIrw_cgM?si=D_IPV3VQsjIzFbab

ボクはこのD960 について、特別に思っている演奏が合って、そのことをLabの方にも書いている。少し長いけど、よろしかったら読んでみてください。

# https://muuseo.com/Mineosaurus/diaries/10

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