Joachim Raff/交響曲第3番&第10番

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ヨアヒム・ラフ 交響曲第3番・第10番

NAXOSにレーベルだが、元はマルコポーロの全集で出たもの。何でこんなにラフの作品が手元に残っているのか本人がよくわからないけど、音楽の流れとしては典型ではなくて深さがさほどでもない大河とでもいおうか。この二曲、当時は相当な人気を博した。特に第3番は彼の作曲家としての名声を確立したと言われている。どちらもベートーヴェンの田園のような標題を持った交響曲であり、天賦の才である巧みなオーケストレーションで聴く者を標題のイメージの中に取り込む。第3番はヘ長調でベートーヴェンの第6番と同じ。ただ、ラフの第3番は人が常にその森の中に感じられる。風景そのものが音楽となったシンフォニーであったベートーヴェンとは少し違ったアプローチだね。音と風景の間に何か作為を置いていてちょっと人間臭い。第5番ではシューベルトのグレートを想起させるダイナミズムがあったが、この第3番の第1部(昼)の第2主題はほとんどドヴォルザークの第8番のメロディを想起させます。もともとこの人にはボヘミアンのノスタルジーが上品に流れているのかもしれない。

交響曲第3番ヘ長調作品153『森の中で』 3つの部に分かれ、4つの楽章を持つ。

第1部(昼)……………(彼は朝が苦手なのかね?) 
 第1楽章 「印象と感情」
第2部(夕暮れ)
 第2楽章 「夢」ラルゴ
 第3楽章 「木の妖精の踊り」 スケルツォ:アレグロ・アッサイ
第3部(夜)
 第4楽章 「森の中の静けさ。ホレおばさんとヴォータンの狩りへの出発。夜明け」 アレグロ
フーガで始まりフーガに回帰し、最後夜明けのイメージで第1楽章の第二主題に回帰する。

https://youtu.be/uCszFkUqDS0?si=AO-kwlIngv3nBalY

交響曲第10番ヘ短調  作品213『秋に』

まあ、なんというか聴きやすーい作品。没個性だけど。

第3楽章のエレジーは優しくていいね。メロディーラインの美しさはラフの才能なんだろうね。でも、標題にかかわり過ぎて交響的な音の交差がから生まれる逞しさがない。だからバックグラウンドでも抵抗なく聴けるんだろうね。

https://youtu.be/Bs7jrHfcwtg?si=437GxTxIWaMHvVIJ

第1楽章 アレグロ・モデラート(印象と感覚)
第2楽章 アレグロ     (ゴーストダンス)
第3楽章 アダージオ     (エレジー)
第4楽章 アレグロ     (人間の狩り?)

スロバキア国立フィルハーモニー管弦楽団(コジツェ)
 指揮:アルス・シュナイダー

CDのジャケットはTUDRではベックリンは使わないみたい。この絵はヴァレンティン・ルースの1895年の作品。「メドウとウッドランド」

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