-
Nobiliasaphus delessei
2009年にニュースになった世界最大の三葉虫の発見、そこはポルトガルのカネラスにあるスレート建材採石場から発見された90㎝を超える個体でした。ユネスコ世界ジオパークにも指定(Arouca Geoparque/2009)されている事もあり、個人コレクターには入手困難な産地の一つです。Nobiliasaphusといえばポルトガル産でも一般種ではありますが、大きさというよりは尾部に棘が出ているのが特徴です。本種は、カネラスでも2番目に大きい70㎝もの個体が発見されているそうです。
Middle Ordovician(Dariwillan) Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-756 ValongoTrilobites
-
Morocops ovatus
最も一般的なファコプスであり、モロッコ産に限らず、ザ・ファコプスといえます。2000年代始めくらいまでは、Phacops speculatorと称され、その後、Barrandeopsという属名に変わり、現在はMoroccopsで落ち着きました。モロッコ産のファコプスは、細かい所まで見ていくと多種多様な種類が現在では提唱されています。本種と比較して複眼や顆粒、体形などがどう様に違うかという基準になる種類に思えます。
Devonian Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-23 -Trilobites
-
The Back to the Past Museum Guide to Trilobites Ⅱ
初版の2010年版は、三葉虫コレクターのバイブルとしての地位を確立し、世界の三葉虫コレクターの目標としての標本や幅広い三葉虫に関する情報源として欠かせない書籍でした。初版は絶版でしたが第2版といえるイタリア語版がソフトカバーにて増刷的な立ち位置で2019年に出されました。今回の書籍は、初版と同じハードカバーの英語版に戻り構成は同じですが、累層が異なり登場する標本も違います。よって、2巻として追加情報だけで構成されています。前回の累層が無いので、より珍しい産地が多く、古典産地も多く登場しています。 <購入希望の方へ> 日本での代理店である「三葉虫の巣穴」様へ、直接メールで購入依頼をお願します。 税・送料込みで、¥19,800/冊 で頒布頂けるそうです。 sanyochunosuanaアットマークgmail.com (アットマークは通常の1文字に置き換えてください) 正直、私が海外から取り寄せたより圧倒的に安価です。
Enrico Bonino, Carlo Kier The Back to the Past Museum Guide to Trilobites Ⅱ 9782960243628 EnglishTrilobites
-
Amecephalus piochensis
Chisholm Shale累層では、三葉虫自体の産出が少ない事もあり、一般種などと言えるような種類が存在しません。本種は、Amecephalusの仲間では地味な存在ですが、全体像が分かる個体が殆どであり、この個体でも尾部は完全ではありません。まるでハルぺスの仲間の様な頭部を持っていて、この個体では欠損していますが、長めの頬棘もあります。
Middle Cambrian Alokistocaridae,Ptychoparioidea,Ptychopariina,Ptychopariida TRI-504 Chisholm ShaleTrilobites
-
Travels with Trilobites: Adventures in the Paleozoic
古生代に君臨した三葉虫の歴史を時代や主要産地を辿りながら解説しています。そこに登場する三葉虫標本は、世界でもトップレベルの標本ばかりであり、これらの大きな写真を見ているだけで、三葉虫コレクターとしては眼福であります。一般的な種類は殆どなく、多くが超希少種で構成されていて、著者自身がコレクターということからも内容の力の入れようが伝わります。
Andy Secher Travels with Trilobites: Adventures in the Paleozoic 978-0-231-20096-7 EnglishTrilobites
-
The Trilobite Collector's Guide
三葉虫コレクターのガイドという事で予約していて、届いて期待以上の内容に驚いています。A4判のフルカラーのハードカバー、コレクター目線での構成となっていて、三葉虫を集めるに当たっての道筋が簡潔でありながら適切に指南されています。(項目については、Amazonなどに掲載されています)何よりも驚くのが掲載されている標本、世界のトップレベル標本が大きな写真と共に掲載されていて、図鑑としても見る事が可能です。この書籍は、ベテランの三葉虫コレクターでも満足度の高い内容となっています。
Andy Secher (著), Richard Fortey,Melanie J.Hopkins The Trilobite Collector's Guide 978-0-231-21380-6 EnglishTrilobites
-
Pseudophillipsia sp.
イタリア北東部、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア自治州は、東アルプス山脈を隔て北にオーストリア、東にスロベニアに国境を接します。この辺りのアルプス山脈は、石炭紀からぺルム紀の石灰岩が広がり、少数ながら三葉虫も産出する事が知られます。メキシコPest Museumの図鑑が数少ない情報ですが、P.elegans(GEMMELLARO)やP.gemmellaroi(GRECO)などが産出する事にはなっています。購入時は石炭紀となっていて事実、後期石炭紀の地層もあるのですが、Pest Museumの図鑑に合わせペルム紀で登録しています。私の所有する全三葉虫コレクションの中でも、最も入手困難な標本の一つでないかと思っています。
Lower Permian Phillipsiidae,Proetoidea,Proetina,Proetida TRI-757 Val DolceTrilobites
-
Nyterops yetieifliensis
頭部だけの部分化石ですが、モロッコ産とは違う頭鞍のブツブツの病的な異様さに惹かれ、購入した標本です。比率的に大き目で不揃いのブツブツは、見方を変えれば気持ち悪くも見えます。ファコプスが好みの収集家でも、この種類が好みであるとする収集家は少ないかもしれません。
Lower Devonian(Eifelian) Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-751 FreilingenTrilobites
-
Moroccan Trilobites, Ordovician
近年、積極的にモロッコ産三葉虫の記載に励んでおられるJoan Corbacho博士の著作。記載者名で何度も目にする氏名なので、モロッコ産を収集しているコレクターには、重要な図鑑になると思います。謎が多く小ロットで絶産することが多いイメージのオルドビス紀の三葉虫に焦点を当てています。一部デボン紀などもあり未記載種も掲載されていたり、剖出や修復についてもページを割いています。当館の学名も同一種は、この本を参考に変更していく予定です。
Joan Corbacho Moroccan Trilobites, Ordovician 978-84-09-30661-9 EnglishTrilobites
-
Asaphus punctatus
ロシア産アサフスの防御姿勢の個体には傾向があり、幼体での産出が殆どであります。この標本も成体の半分ほどの大きさしかない幼体です。推測するのに、まだ体の小さい幼体では、身を守る時に防御姿勢を取る方が有効であったと思われます。生息環境に幼体の大きさでは脅威になり、生体の大きさに成長すると太刀打ちが出来なくなる天敵がいた可能性はあり得ると思います。
Middle Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-38-2 Asery levelTrilobites
-
Flexicalymene retrorsa
Flexicalymeneは、モロッコ産とオハイオ産が多産したので、軽視されてしまいますが、良く見ると完成された姿をしていて、この標本を見ていると美しいなと感心してしまいます。それなりの数が出る産地ですが、完全な防御姿勢で風化が少ない個体を探してみると、コレクターが満足できる品質の標本は少ないのです。 https://muuseo.com/trilobites/items/241?theme_id=20904
Upper Ordovician Calymenidae,Calymenoidea,Calymenina,Phacopida TRI-9-2 ArnheimTrilobites
-
Pterygometopus angulatus
ロシア産では数少ないファコプスの仲間であり、小さくて特徴も産出も少ない地味な存在です。近縁というか混在に近い形でEstoniopsという属名も見かけますが、Estoniopsの方が写真等で比較すると幅広なのかと感じていましたが、必ずしもという訳でもなく、比較は難しいです。本種は、頭鞍部のブツブツが無い種類の様です。
Lower Ordovician Pterygometopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-547 Kunda levelTrilobites
-
Dalmanites limuloides
まだRochester Shaleが閉鎖されていなかった頃は、本種はシルル紀の一般種として軽視される存在でした。当時でも群衆化石はそれなりの高額の標本もありましたが、単一個体の標本は入門種だと私も思っていました。ただ他の産地を見てみれば、ダルマニテスは、同じアメリカ産でもWaldron ShaleやHenryhouseでも結構な希少種ですし、英国産も簡単に入手できるような供給量はありません。現在も状態の良い標本が市場に出てくると直ぐに売りけれる様な人気種であります。
Middle Silurian (Ludfordian) Dalmanitidae,Dalmanitoidea,Phacopina,Phacopida TRI-14 Rochester ShaleTrilobites
-
Dolerolenus zoppii
イタリアの三葉虫などコレクターでも知名度が低いですが、コレクターのバイブルといえる「The Back to the Past Museum Guide to Trilobites/TRILOBITI - Guida essenziale al riconoscimento e classificazione」では、複数ページを割いて載っているのは思い出せると思います。地中海に浮かぶサルデーニャ島、その南西部に古いカンブリア紀の地層があり、本種が代表種として産出します。数少ない同種の標本を参照すると平坦で派手さは無いですが、大き目のフリル状の胸部などの特徴はあります。
Lower Cambrian (Stage 3, Series 2) Dolerolenidae,Redlichioidea,Redlichiina,Redlichiida TRI-754 Nebida(Punta Manna Member)Trilobites
-
Symphysurus sp.
近年、軟体部が保存された化石が多く発見され注目を集めるFezouata層、何と言っても特徴なのは大型の三葉虫でも軟体部が保存されている事です。拡大しなくても大きな組織の構造が分かるのは、三葉虫の構造を知り得る画期的な産状といえます。この標本は、それでも小さい方ですが、触覚の節構造、頭部から胸部にかけてのグチャグチャに見える部分も内蔵の保存が化石化しているものです。
Lowor Ordovician (Floian) Nileidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-725 FezouataTrilobites