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Aulacopleura pogsoni
Aulacopleuraといえば同じシルル紀チェコ産のA.koninckiiは、一般種として知られますが、こちらは見た目は同じでも遠くは離れた南半球オーストラリア産、Sinespinaspis markhamiが有名な産地からの種類です。こちらでは、滅多に見かける事との無い希少種ですが、チェコではLeonaspis系のが逆に珍しいのは興味深い所です。ネガだけの標本は評価が低く安価で購入できますが、写真で鑑賞する私としては、あまりデメリットではなく、細部まで保存されている状態の方が重要です。 [Negative]
Lower Silurian Aulacopleuridae,Aulacopleuroidea,Proetida TRI-678 CottonTrilobites
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Amphoton deois
頬棘がなく丸い頭部を持ち、大き目な尾部も同様に丸いため、全体的に優しい印象を持ちます。胸部は節々がしっかりとしており、鋭く短めの棘になっており、背軸部にも棘の痕跡を持つので、頭部尾部との対比が別物の感じがあります。中国では、属名Amphotonの事を双耳虫という事から、頭部の見た目が耳を持っているかのような形状に由来するものと思われます。 中国名:女神双耳虫
Middle Cambrian Dolichometopidae,Corynexochina,Corynexochida TRI-691 ZhangxiaTrilobites
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Schizostylus brevicaudatus
成体でも大きくならなかった種類の様です。一番の特徴は、先端に吻というより角のような尖りがある事かと思います。ファコプスでは珍しく背軸部に棘も確認でき、短くとも鋭い頬棘も持っています。ボリビア産は、Calmoniidae科に偏りがあるので、同じような種類ばかりに見えてしまいますが、本種は非常に特徴がはっきりしているので、見分けがしやすい種類です。 [Left side:Positive/Right side:Negative]
Middle Devonian Calmoniidae,Acastidae,Phacopina,Phacopida TRI-345 BelénTrilobites
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Viaphacops sp. (aff. bombifrons)
オクラホマ州デボン紀では、主流といえるHaragan累層より少し後の時代になるBois d' Arc累層より産出するViaphacops。何故かHaragan累層からは産出していません。Viaphacops bombifrons (Hall,1961)という記載された種がいたのですが、再び属名を失っている理由も謎であります。Kainops raymondiとは複眼の縦列が明らかに少なく明確に区別がつくのですが、Paciphacops campbelliとの比較において頬(Genal angle)がViaphacopsの方が尖っているというのが一番分かりやすいのではと感じますが、種類を分ける程の差があるのだろうかというのが正直な感想です。
Lower Devonian (Lochkovian) Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-493 Bois d'ArcTrilobites
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Eremiproetus sp.
実物を見るとProetida(目)とは思えない大きさに先ず驚きます。長い頬棘だけでなく側葉にも長くてしっかりとした棘があり、中軸部にも短く鋭い棘が並んでいます。新種でありEremiproetusという属名も仮であると思うのですが、比較対象となる個体が見当たらないため、正解が分からない個体です。
Middle Devonian Tropidocoryphidae,Proetoidea,Proetina,Proetida TRI-732 -Trilobites
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Kochina sp.
Kochinaという種類は、Spence Shaleの4cm台の大きさのあるKochina vestinaが知られますが、本種は、同じユタ州産でもMarjum Formationから産出した個体で、Kochinaに似ているというだけで新属新種であると思われます。既に研究が尽くされているユタ州産でも、まだ可能性があるというのが古生物の面白い所です。 【標本リンク】FFストア https://www.ffstore.net/detail/koc_001.html
Middle Cambrian Ptychopariidae,Ptychopariina,Ptychoparioidea,Ptychopariida TRI-758 MarjumTrilobites
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Treveropyge rotundifrons
ドイツ西部ラインラント=プファルツ州から産出するデボン紀の三葉虫。Steinsberg産の種類は、更に西に直線距離で80㎞ほど離れたGees産と比べるとの細部までは明瞭ではないですが、大型で褶曲の影響を受けた種類を産出するようです。Treveropygeは、モロッコ産でイメージがつきますが、「Eifel-Trilobiten2:Phacopida 1」を見てみると10種類以上が記名されており、研究が進んでいる事に驚きます。私には、この標本がTreveropygeといわれてもピンとこない位、特徴が分かり難いです。
Lower Devonian (Emsium) Acastidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-638 Rupbach SchichtenTrilobites
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Leonaspis chacaltayana
ボリビア産といえばデボン紀のノジュールから産出する産地が昔から知られていますが、数は少ないですがシルル紀からの三葉虫も知られます。産出も少ないだけでなく種類も限られ、本種以外では数種を見かける程度の産地です。Leonaspisなので、モロッコ産や世界の他産地の種類と姿は同じに見えますが、その中ではシルル紀にしては大きくなる産地だった様です。数少ない論文を見ると本種以外にL.aracanaという種も存在しているのですが、市場では区分されてはいなそうです。
Silurian Odontopleuridae,Odontopleuroidea,Lichida TRI-669 CataviTrilobites
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Bat stones
山東省から産出する燕子石は、特徴的なDrepanura premesnili(長い尾棘がある方)の尾部や多数に散らばる破片がコウモリが飛び回る景色に見える事から、日本や英語圏では、蝙蝠石(Bat stones/Batman)と呼ばれてきました。三葉虫の概念が無い古くから知られていますが、破片ばかりの集合体で完全体が希という事もありますが、その不思議なデザインを生かし、硯などの工芸品の石材として利用されてきました。近年になりDrepanura paronaiの良質な完全体がクリーニングできるようになるまでは、学術的な情報も限られており、工芸品の派生的な彫刻された三葉虫が多く出回っていた事実もあり、三葉虫化石という評価は収集家の中でも低かったと思います。 (補足情報) Synonym:Neodrepanura=Drepanura 中国名:璞氏蝙蝠虫
Middle Cambrian Damesellidae,Dameselloidea,Lichida TRI-120 KushanTrilobites
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Chotecops ferdinand
Hunsrück Shaleの軟体部が保存されたChotecopsは、三葉虫コレクターでなくても存在を知っている様な重要な化石ですから、既に新規標本を見込めなくなって久しい現在、例え市場に出て来ても、簡単には購入は出来ない価格に高騰してしまいました。化石化時に貧酸素環境において長い時を経て黄鉄鉱に置換されているため、通常の化石では残らない軟体部が残る事があります。この標本は小さ目ながら、腹側から剖出され触覚や並んだ脚が保存されており、外骨格だけでは伺い知れない腹側の構造を鮮明に残しています。
Lower Devonian (Pragian) Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-94-2 Hunsrück ShaleTrilobites
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Acernaspis orestes
三葉虫の軟体部で一番残りやすいのが触覚ですが、脚に関しては触覚より太くて外骨格にも近いように思えますが、何故か残存する化石は少ないのです。外骨格と違い組織の組成が腐敗しやすい事もありますが、そもそも軟組織が残存する環境が余程整う必要があるのという事もあります。更に脚は大概は外骨格の下側にあるため、折角の完全体外骨格の殻を壊し捲ってまで確認はしないという理由もありそうです。質の高いシルル紀三葉虫が産出するカナダ、ジュピター層ですが、この標本を見るまで軟体部が残存する事は私は知らなかったですが、左の触覚と右前方の脚が、はっきりと分かります。
Lower Silurian(Telychian) Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-466-2 JupiterTrilobites
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Hamatolenus vincenti
カンブリア紀モロッコ産の中では小さな種類であり、珍しい存在では無い本種ですが、頬棘の長い棘に加え第2胸節から伸びる長い棘が特徴的で、見た目も均整を取れた姿をしています。希に第1胸節からも棘があり片側3本ある個体も同一種とされているのですが、実際これが欠損しやすいだけなのか、実は別種なのか判断はされていない様であります。 [Left side:Negative,Right side:Positive]
Middle Cambrian (Stage 5, Series 3) Ellipsocephalidae,Ellipsocephaloidea,Ptychopariina,Ptychopariida TRI-332 Jbel Wawrmast(Tissafinian)Trilobites
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Nobiliasaphus delessei
2009年にニュースになった世界最大の三葉虫の発見、そこはポルトガルのカネラスにあるスレート建材採石場から発見された90㎝を超える個体でした。ユネスコ世界ジオパークにも指定(Arouca Geoparque/2009)されている事もあり、個人コレクターには入手困難な産地の一つです。Nobiliasaphusといえばポルトガル産でも一般種ではありますが、大きさというよりは尾部に棘が出ているのが特徴です。本種は、カネラスでも2番目に大きい70㎝もの個体が発見されているそうです。
Middle Ordovician(Dariwillan) Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-756 ValongoTrilobites
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Morocops ovatus
最も一般的なファコプスであり、モロッコ産に限らず、ザ・ファコプスといえます。2000年代始めくらいまでは、Phacops speculatorと称され、その後、Barrandeopsという属名に変わり、現在はMoroccopsで落ち着きました。モロッコ産のファコプスは、細かい所まで見ていくと多種多様な種類が現在では提唱されています。本種と比較して複眼や顆粒、体形などがどう様に違うかという基準になる種類に思えます。
Devonian Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-23 -Trilobites
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The Back to the Past Museum Guide to Trilobites Ⅱ
初版の2010年版は、三葉虫コレクターのバイブルとしての地位を確立し、世界の三葉虫コレクターの目標としての標本や幅広い三葉虫に関する情報源として欠かせない書籍でした。初版は絶版でしたが第2版といえるイタリア語版がソフトカバーにて増刷的な立ち位置で2019年に出されました。今回の書籍は、初版と同じハードカバーの英語版に戻り構成は同じですが、累層が異なり登場する標本も違います。よって、2巻として追加情報だけで構成されています。前回の累層が無いので、より珍しい産地が多く、古典産地も多く登場しています。 <購入希望の方へ> 日本での代理店である「三葉虫の巣穴」様へ、直接メールで購入依頼をお願します。 税・送料込みで、¥19,800/冊 で頒布頂けるそうです。 sanyochunosuanaアットマークgmail.com (アットマークは通常の1文字に置き換えてください) 正直、私が海外から取り寄せたより圧倒的に安価です。
Enrico Bonino, Carlo Kier The Back to the Past Museum Guide to Trilobites Ⅱ 9782960243628 EnglishTrilobites