-
隠蔵的风景:广西古生物化石记(Hidden Scenery Fossil Hunting Guangxi)
広西チワン族自治区は、中国でも南部のベトナムと国境を接する辺りに存在します。この地で産出する化石を、カンブリア紀から第4紀至るまで、三葉虫から哺乳類、植物を含む幅広い内容で、解説されています。写真や図番も見やすく図鑑として中国語が分からなくても十分に理解できる構成となっています。三葉虫では近年注目されたカンブリア紀Sandu Formationの三葉虫群を解説される、現在のところ唯一の書籍と言えます。また、以前から多く見かけるもの産地情報が謎であったデボン紀Ductina vietnamilaについては、他の産出種なども含め、貴重な情報が掲載されています。
曾 广春(Ceng Guangchu) 隠蔵的风景:广西古生物化石记(Hidden Scenery Fossil Hunting Guangxi) 978-7-5494-1996-8 ChineseTrilobites
-
金生山化石図鑑
赤坂石灰岩を産出し、現在も工業的な採掘が行われている岐阜県大垣市にある金生山、ペルム紀の地層からは多くの化石が見つかってきました。1874(明治7年)にGumbelによりフズリナ(Pseudofusulina japonica)が国内で初めて記載された事から「日本の古生物学発祥の地」とされます。三葉虫の産出は、比較的遅く1970年(昭和45年)に報告されています。この書籍にも発見当時のエピソードや当時の研究者の見解などと共に白黒写真も掲載されています。産出した三葉虫は、Pseudophillipsoa obtusicauda(KAYSER)とされています。この書籍は、非売品とされていて部数は当時の会員など僅かな発刊数であったと思われます。
東海化石趣味の会 金生山化石図鑑 - JapaneseTrilobites
-
金生山-西美濃の生いたちをさぐる-
1981年に「金生山-その文化と自然-」という書籍が発刊されており、その続編にあたる書籍です。金生山の地理的な生い立ちについて詳細に書かれています。専門的な内容で難解な書籍が多い中、この手の書籍にしては非常に読みやすいです。産業としての発展や東海道の宿場町として栄えた赤坂宿など歴史についても多くの記事があり、化石に留まらない金生山と周辺エリアの郷土史まで含まれます。化石に関しても後半に分類毎に記載がされていて、三葉虫に関しても3ページに渡り、産出種や国内の類似の比較などがされています。
金生山化石研究会 金生山-西美濃の生いたちをさぐる- - JapaneseTrilobites
-
週刊 地球46億年の旅 10号
地球をテーマに、その誕生から未来まで50号まで発刊されたラインアップのうち「三葉虫現る」と題した特集でした。150のストーリーのうち、この号では、「三葉虫の繁栄」「脊椎の獲得」「脳の誕生」の3つが特集されています。三葉虫が出現した5億4100年間を46年を1年に換算すると11月16日16時21分29秒との事、はるか昔の話と表も地球の歴史の中では割りと最近の話の様です。監修を現在の三葉虫研究でお馴染みの椎野雄太氏が担当しているので正確な情報で、難しくない一般に分かりやすい文面構成と豊富な写真と図解が掲載されていています。コレクター目線での化石の紹介もあり、私の所有しているNorwoodiaも登場しています。 https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=15792
㈱エイジャ、佐保 圭、小神野 真弘、笹川 典子、武田 昌悟 週刊 地球46億年の旅 10号 Japanese Asahi Shimbun Publication Inc.(朝日新聞出版)Trilobites
-
第8回 東京国際ミネラルフェア公式ガイドブック
東京国際ミネラルフェア(通称:新宿ショー)は、小田急第一生命ビルディング スペースセブンイベント会場で毎年6月に開催される鉱物・化石ファンにお馴染みのイベントです。この第8回からスタートした岸 雅裕氏の三葉虫に関する連載が何気に楽しみでした。(連載は、第18回まで継続されました)この年は、「モロッコの三葉虫」と題し2ページに渡り寄稿されています。モロッコ産は当時、市場には多くの種類が出てきており、この新宿ショーのドイツHorst Brkard氏の提供する良質で高レベルの標本に多くの来訪者が三葉虫の化石に魅せられた時代です。当時は、モロッコの産地というのは全くの謎であり、この記載で贋物も多くある事など参考になる情報が記載されていました。当時は、ラベルも情報が不足しており、今ほど情報が無い時代でしたので、産地情報や地質図など暫くの時期、参考にしたものでした。
東京国際ミネラル協会 第8回 東京国際ミネラルフェア公式ガイドブック - JapaneseTrilobites
-
第5回特別企画展 よみがえる古生代の生きものたち
国内の自然史博物館としては、レベルの高い展示がされている愛知県豊橋市の豊橋市自然史博物館の企画展図録です。構成として①古生代以前の世界②バージェス動物群③メゾンクリーク生物群④ボリビアの化石⑤福地の化石⑥金生山の化石。となっており中部地方ご当地産地が2つも組み入れられています。化石中心の企画展で三葉虫も多く登場しており、バージェスやボリビア、福地といった産地の標本が多く登場します。この図録から産地の情報が乏しいボリビアの産地状況や福地の産地情報なども多くの紙面を割いており、今でも参考に出来る内容であります。
松岡 敬二 第5回特別企画展 よみがえる古生代の生きものたち - JapaneseTrilobites
-
第42回特別展 「来て!見て!感激! 大化石展」解説書 化石でたどる生命の歴史
大阪市立自然史博物館にて2011年7月2日~8月28日まで開催された夏季特別展の図録です。”大”化石展とあるように非常に幅広い時代と分野から、時代を追ってテーマを決め、実物化石をメインに展示する企画展でした。驚く事に殆どの出展化石は、大阪市立自然史博物館の所蔵品で構成されたものでした。三葉虫に関しては、「4海の生物の繁栄-古生代の生き物-」のテーマの中、他の古生代の化石と共に登場します。特に時代や産出国の区分は無く、アメリカ、モロッコ、ロシアなどの一般種が主体で、2011年という開催年から見て、1990年代までの古い剖出の標本が展示されていました。図録として見たときに各テーマの解説が丁寧で、登場化石も全てフルカラーで数多く掲載されていて、とても見やすい構成となっています。
川端 清司、初宿 成彦、樽野 博幸、塚腰 実 第42回特別展 「来て!見て!感激! 大化石展」解説書 化石でたどる生命の歴史 - JapaneseTrilobites
-
第36回東京国際ミネラルフェア 公式ガイドブック
新型コロナの制限が明け、海外ディーラーが戻ってきました。特別展は「モルダバイト」、特集記事では美しい標本が見られます。毎回連載されている福田 芳生氏による記事が「三葉虫の解剖と古生態」となっていて三葉虫の解剖学的見地での特集となっています。福田氏は、著書「古生態図集・海の無脊椎動物(1996)」でも三葉虫に多くの紙面を割いて記事を書かれています。今回の記事は、決して目新しい学説による内容では無いのですが、三葉虫の生態にスポットを当てて一般に分かりやすく解説されています。
Tokyo International Mineral Association(東京国際ミネラル協会) 第36回東京国際ミネラルフェア 公式ガイドブック - JapaneseTrilobites
-
第14回 東京国際ミネラルフェア公式ガイドブック
東京国際ミネラルフェア(通称:新宿ショー)は、小田急第一生命ビルディング スペースセブンイベント会場で毎年6月に開催される鉱物・化石ファンにお馴染みのイベントです。毎年、鉱物系と化石系を交互に特別展を行っているとはいえ、2019年までの32回の中で三葉虫を特集した例は、この1回しか無いのです。立松 正衞氏の世界的な三葉虫コレクションが展示されました。世界に数点しかない様なコレクションといってもコレクターには価値が分かるでしょうが、一般の来場者にとって三葉虫の形態の多様性に驚いたと思われます。エルラシアやファコプス位の三葉虫の概念が覆る様な多様性は、同じ三葉虫と一括りにするレベルの生物群とは思えなかったと思われます。岸 雅裕氏の寄稿は、「モロッコの三葉虫-モロッコ紀行抄-」でした。現地に行けば良い化石が買えるのではと普通は思いますが、現地の土産物レベルでは贋物や満足できる標本は無いという事が記載されています。実際に私も岸氏と同じルートでモロッコ旅行した際にも同感でした。良い原石の発掘からクリーニング、販売までのルートは既に出来上がっているのが実情です。
東京国際ミネラル協会 第14回 東京国際ミネラルフェア公式ガイドブック - JapaneseTrilobites
-
福地の化石:山腰 悟さんのコレクション
「福地」は、岐阜県高山市(旧吉城郡上宝村)に所在し、国内でも有数の古生代の地層があります。且つては多くの研究者や採取者で賑わったそうです。この小冊子には、現地で旅館業等を行っていた山腰 悟氏(?-1999)が生涯をかけ採取してきた標本を中心とした貴重な福地の化石がカラーで紹介されています。ひだ福地自然館から福地化石館(むかし話の里)と引き継がれた山腰コレクションは、今でも現地で閲覧可能です。この小冊子は、山腰氏が逝去された後に研究者や東海化石研究会メンバーらが偲んで制作されたもので、化石の標本が貴重なだけでなく、山腰氏の人柄や存在が、かけがえのないものっだたのか伝わってきます。
福地の化石:山腰 悟さんのコレクション 岡崎 美彦,蜂矢 喜一郎,水野 吉昭 - JapaneseTrilobites
-
福井県立恐竜博物館特別展「中国大陸の6億年~恐竜の里、浙江省の化石たち~」
2004年7月10日~9月26日まで開催された福井県立恐竜博物館特別展「中国大陸の6億年~恐竜の里、浙江省の化石たち~」の図録です。展示のメインは恐竜で間違いありませんが、6億年というスケールのため古生代から縄文時代の暮らしまで幅広い内容でありました。浙江省の名前が入っていますが、浙江自然博物館の特別協力があり、浙江省だけでなく中国各地からの標本が集まっています。また日本からも北陸、関西、東海エリアの博物館の協力があり、日本と中国とで、比較しながらの展示がされています。三葉虫は、中国古生代の展示だけでなく、澄江動物群、福地といった産地の標本が展示されていました。
野田 芳和,矢部 淳,金 幸生 福井県立恐竜博物館特別展「中国大陸の6億年~恐竜の里、浙江省の化石たち~」 4-9900754-3-9 JapaneseTrilobites
-
神奈川県立博物館資料目録(自然科学)第10号;櫻井欽一コレクション標本目録第1集 化石
櫻井欽一氏(1912-1993)は、鉱物学者として、この筋では知らぬものはいない程の足跡を残した方ですが、鉱物だけでなく貝類や化石に関しても膨大なコレクションを残されていました。桜井氏の死去後、「桜井コレクション」と呼ばれた多くのコレクションが散在することなく、国立科学博物館と神奈川県立生命の星博物館に寄贈されています。化石コレクションの一部は、「原色化石図鑑」にも多く採用され、国内の多くの関係者の目にする所となってきました。この目録では、神奈川県立生命の星博物館が引き継いだ凡そ2,500点の化石コレクションが整理されています。一部カラー写真で紹介されていて、その他は、①番号②学名③和名④分類⑤時代⑥産地と区分され掲載されています。三葉虫も外国産を中心に多く掲載されており、標本の種類や状態から見て昭和30年から50年代にかけ収集されてきたコレクションと分かります。
濱田 隆士ほか 神奈川県立博物館資料目録(自然科学)第10号;櫻井欽一コレクション標本目録第1集 化石 1342-8993 JapaneseTrilobites
-
知りたいサイエンス,カンブリア爆発の謎;チェンジャンモンスターが残した進化の足跡
5億4千万年前のカンブリア紀に起きた「生命の爆発的進化」これを紐解く上で重要な産地であるバージェスと更に保存状態と多様性で群を抜く澄江動物群。飛躍的に研究が進んだこれらの産地からの状態の良い化石から分かってきた生命の進化の謎を、一般書ならではの分かりやすい解説で紐解きます。カンブリア紀初期では重要な役割を果たした三葉虫の発生の起源についても記載しており、エディアカラ紀のパーバンコリアを起源とする説を有力としています。
宇佐見 義之 知りたいサイエンス,カンブリア爆発の謎;チェンジャンモンスターが残した進化の足跡 978-4-7741-3417-8 JapaneseTrilobites
-
生痕化石の世界
化石と言えば生物そのものの姿を残す体化石がありますが、生痕化石は、生物が残した営みの痕が化石化したものです。こちらの書籍では、その代表的な生痕化石である①住まい②行動③食べ痕④排泄物についての項目があり、三葉虫については、行動の痕に関しての解説がされています。通常では化石化が難しい三葉虫の脚について当時の見解が示されています。化石の中では地味な存在である生痕化石は、古生物の生態を伺い知るのに重要な手掛かりを与える事が理解できる書籍です。
福田 芳生 生痕化石の世界 Japanese 築地書館Trilobites
-
生痕化石からわかる古生物のリアルな生きざま
古生物の生態を知る上で重要な生痕化石ですが、派手な存在ではないですから、化石を収集したり古生物に興味がある人でも興味を引く人は少数派なんだと思います。この書籍は、そんな奥深い生痕化石について、一般に分かりやすい文章で解説しています。難解な論文や専門書とは違うスタンスで、最新の生痕化石に纏わる学説やエピソードなど普通の化石(体化石)からでは決して見えてこない古生物の姿が見えてきます。国内の生痕化石の産地にも記述があり、意外と多くの生痕化石が広い範囲で産出する事も驚きであります。
泉 賢太郎 生痕化石からわかる古生物のリアルな生きざま 978-4-86064-526-7 JapaneseTrilobites