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1999年度信州新町化石博物館特別展 三葉虫の世界~出現・繁栄から絶滅まで~展示目録
長野県信州新町に所在する信州新町化石博物館で開催された1999年夏季企画展の図録です。世界的な三葉虫化石コレクションである立松 正衞氏のコレクションが主体で展示された展示会でした。当時としては驚くレベルの三葉虫化石が一般公開されています。今でも信州新町化石博物館の常設に三葉虫化石は多く展示されているのですが、目録を見ると博物館所有の標本も半数近くを占めている事が分かります。協力者も東海化石研究会の会員や今でもHPがある古くからの三葉虫コレクターが名を連ね、当時の一級の三葉虫化石が集まっていた事が分かります。
成田 健 1999年度信州新町化石博物館特別展 三葉虫の世界~出現・繁栄から絶滅まで~展示目録 - JapaneseTrilobites
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A Pictorial Guide to North American Trilobites
アメリカとカナダの一般種が時代を問わず載っていて、フィールド図鑑として用いられる事を目的として作られています。白黒写真と解説が1ページに2種のペースで48種が網羅されています。超希少種など一般の採取者には必要ないので、この構成の種類で十分に思えますが、それにしても北米は三葉虫の産地に恵まれていて、羨ましく思えます。2018年(発売は2019年)にSecond Editionが発売されていますので、それなりに需要と販売があったのだと想定しています。
Joseph J. Kchodl A Pictorial Guide to North American Trilobites 0-9773581-1-9 EnglishTrilobites
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A Pictorial Guide to North American Trilobites Second Edition
2005年に発行された第1弾に続く第2弾であり、第1弾の更新版に当たります。よって第1弾と同じ標本が登場しますが、白黒からカラーになり、産出州毎、時代を追って纏められていて参照しやすくなりました。北米ということで、以前よりカナダ産の種類が充実しました。フィールドガイドですが、現在では産出できない閉鎖産地や、一見では採掘不可能な超希少種まで網羅されています。フィールドガイドらしくユタ州やオハイオ州などの現地ガイドや露頭の写真も掲載され、そこで採取できる種類などが載せられています。 【外部リンク】Paleojoe.com https://www.paleojoe.com/
Joseph J. Kchodl A Pictorial Guide to North American Trilobites Second Edition 0-9773581-9-4 EnglishTrilobites
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A Pictorial Guide to the Orders of Trilobites
世界の三葉虫情報サイトで最も情報量が多く、質の高いウェブサイトが「A Guide to the Orders of Trilobites」ですが、運営者のSamuel M. Gon Ⅲ氏が自費出版したイラストによる目(Oeders)の解説書です。化石は写真の方が良いと考えがちですが、複数の化石から復元したイラストは特徴を捉えるのに非常に適しており、三葉虫に限らず現生種の図鑑であっても採用される手法です。この書籍はもう入手できないのが残念ですが、Websiteには今もアクセスでき、繊細で正確なイラストを閲覧できます。 【参考リンク】 https://www.trilobites.info/guidestart.htm
Samuel M. Gon Ⅲ A Pictorial Guide to the Orders of Trilobites - EnglishTrilobites
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A Sea without Fish: Life in the Ordovician Sea of the Cincinnati Region
4億5000万年前のシンシナティの海は、現代の主役ともいえる魚類が発生する前でしたので、多くの無脊椎動物が繁栄し、現代とは全く異なる海の世界が広がっていました。陸上には原始的な生命くらいしか進出していないオルドビス紀、海中の様子は化石から紐解いていくしかありません。まだ主役の一翼であった三葉虫は勿論、多くの無脊椎動物の暮らしや体の構造など写真やイラストと共に学ぶ事のできます。注目が集まるカンブリア紀より後のオルドビス紀の海の方が知られていないだけに、貴重な情報源となりうる良書です。
Richard Arnold Davis, David L. Meyer A Sea without Fish: Life in the Ordovician Sea of the Cincinnati Region 978-0-253-35198-2 EnglishTrilobites
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Acadoparadoxides briareus
一般的に入手可能な三葉虫の内、最大級の大きさを誇るのが本種です。私の全コレクションの中でも最も大きな三葉虫です。片側10㎏を超える重さのため、撮影の為に標本箱を下ろしたり、移動したりするだけでクタクタになる程です。Paradoxididae(科)の仲間は、チェコ、カナダ等広い範囲で産出し、何れも大型になりますが、モロッコ産の巨大さは群を抜いている様に思えます。A.mureroensis(Sdzuy, 1958)が最も知名度がある種名ですが基本的には出回る標本の大きな個体は本種と思われます。2010年代以降に大きさによる細分化が行われ、A.nobilis(SDZUY,1958)やA.levisettii(Geyer and Vincent, 2015)など小型の種類も同定されるようになりました。本種は、見た目のインパクトが大きくインテリア等の一定の需要があるため、模造品や補修品が多く流通しています。個人的に真贋を見分けるポイントとして、綺麗すぎない事やAcadoparadoxides独特の側葉部の成長線がある事が挙げられます。長年市場を見ていますが、10万以下で買える様な標本にレベルの高い標本は先ず無いと感じます。 [Left side:Negative,Right side:Positive]
Middle Cambrian Paradoxididae,Paradoxidoidea,Redlichiina,Redlichiida TRI-146 Jbel WawrmastTrilobites
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Acadoparadoxides levisettii
モロッコのAcadoparadoxidesというと30㎝を超えるような巨大な三葉虫、A.briareusとして知られますが、この標本は10㎝にも満たない小型の個体、近年になり新種の記載がされました。事実上収集できる最も大きな三葉虫であるA.briareusは、コレクションするには抑えておきたいのですが、数が増えてくると嵩張るし重いしで、案外扱いに困るものですが、この様な小型の標本であれば扱いが楽で助かります。小型の本種ですが数が極めて少なく、記載はされて別種となりましたが、通常の大型個体の子供でないのかという気がしてなりません。
Middle Cambrian Paradoxididae,Redlichioidea,Redlichiida TRI-625 Jbel WawrmastTrilobites
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Acanthopyge consanguinea
この種類を保有しているコレクターは、さすがに少ないと思います。かつて「Bug X」と呼ばれ、実物を目にする機会が無い幻の三葉虫でありました。入手したくても、そもそも市場に姿を現わさず、コレクター間で取引される様な特殊な種類でした。見た目は、モロッコのAcanthopyge(Lobopyge)と大きさも変りませんが、やや華奢なのは、Dicramurusなどモロッコと共通する種類と同じ様にオクラホマ産の特徴です。この標本は、「Black Cat Mountain」ブランドでも伝説的プレパラーターのBob Carroll氏による絵入サインが底面にあります。
Lower Devonian Lichioidea,Lichida TRI-350 Bois D'ArcTrilobites
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Acanthopyge sp.
本種は、2016年に初めて市場に姿を現すと、もう一段落したかと思ったJorfの新種に再びコレクターを注目させる事になりました。既に幾つかのタイプが確認されていますが、上から見ると円盤状に棘が広がる、このタイプが個人的には好みであります。これは、入手不可能な伝説種といえるDeiphonを彷彿とさせる容姿に惚れてしまったのだと思っています。三葉虫のデザインとして、個人的に上位の好みの種です。
Middle Devonian Lichidae,Lichioidea,Lichida TRI-688 -Trilobites
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Acanthopyge sp.
今や幻種となっている存在感のあるAcanthopyge haueriと同型の新種が発見され、市場に出てきたのが2010年頃でした。mdl-storeのブログでは、新産地Boulachghaleとされる地の近郊とされていますが、広域で地名が無い土地のようで、以前のA.haueriが産出したMrakibとは産出場所は違うけど、エリアとしてはMrakib近郊との事で、詳細な産地地図も提供頂きました。ただ、こちらで公開は控えますので、mdl-storeのブログ通りの情報で正しいようです。A.haueriと比較すると華奢で尾部の尾板が小さく、尾部の長い棘は熊手の様に下に伸びているのが特徴です。その棘を含め無数の粗い棘が疎らに存在しており、Hammi氏の剖出により、それらが温存されています。新産地でも完全体自体が極めて少数であり、その中で頬棘が残る個体は数えるほどしか存在していないと言われており、新種も幻種となる思われます。 (2024.3産地情報の記述を更新しました)
Middle Devonian Lichidae,Lichioidea,Lichida TRI-755 -Trilobites
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Acanthopyge sp.
Acanthopygeといえば、モロッコ産の、独特の尾板の希少リカスやLobopygeなどが思い浮かぶものの、実は日本でも産出するなど三葉虫コレクターでも知る人は少ないと思います。海外産でも希少種ですが、日本では幻種といえるレベルであり、完全体でない尾部だけのこの標本の希少さは言うまでもありません。海外産の明瞭な標本に見慣れてしまうと何だか分からないかもしれませんが、尾部の大きな棘や尾板の畝などリカスである事は分かります。 (Left side:Negative/Right side:Positive)
Lower Devonian Lichioidea,Lichida TRI-607 -Trilobites
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Acanthopyge(Belenopyge) balliviani
南米ボリビアの高地で産出したAcanthopygeですが、ノジュールという産状のため、細部の保存は良好な一方、全体が残ったものや全体の縁が残り難い特徴がどうしてもあります。イメージとしては、モロッコ産のLobopygeとほぼ同じであります。ボリビア産自体が以前より入手がし難くなっていますが、その中でも本種の全体が残った個体は、とても貴重になってきています。
Middle Devonian Lichidae,Lichioidea,Lichida TRI-266-2 BelénTrilobites
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Acastella heberti
ウクライナ西部のポジーリャと呼ばれるエリアからは、シルル紀後期からデボン紀初期の地層がある様ですが、情報が乏しく何よりも特筆すべき様な派手な種類は出てこないため、認知度は低いと思われます。幾つかの文献や図鑑、Web上などで見かけれも本種かシルル紀のカリメネ辺りと地味な数種しか知られていません。
Lower Devonian Acastidae,Acastoidea,Phacopina,Phacopida TRI-513 BorschtivTrilobites
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Acernaspis orestes
三葉虫の軟体部で一番残りやすいのが触覚ですが、脚に関しては触覚より太くて外骨格にも近いように思えますが、何故か残存する化石は少ないのです。外骨格と違い組織の組成が腐敗しやすい事もありますが、そもそも軟組織が残存する環境が余程整う必要があるのという事もあります。更に脚は大概は外骨格の下側にあるため、折角の完全体外骨格の殻を壊し捲ってまで確認はしないという理由もありそうです。質の高いシルル紀三葉虫が産出するカナダ、ジュピター層ですが、この標本を見るまで軟体部が残存する事は私は知らなかったですが、左の触覚と右前方の脚が、はっきりと分かります。
Lower Silurian(Telychian) Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-466-2 JupiterTrilobites
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Acernaspis orestes
シルル紀カナダのJupiter累層から、圧縮の影響が少なく透明感さえある質感の良い標本が近年出回るようになってきました。出回るといっても数は多くはありません。この種は、初期のファコプスの仲間であるAcernaspisです。ファコプスの代名詞ともいえるデザインは、丈夫な殻と完全に丸くなる事のできる防御態勢、高度に発達させた複眼と棘棘とは違う防御方法を確立し、デボン紀には一時代を築きました。
Lower Silurian Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-466 JupiteTrilobites