これが一番見たかったんです!~バチカン美術館『ラオコーン像』

初版 2023/12/13 16:25

改訂 2024/02/09 12:55

バチカン美術館に入場しました。二階に上がるとサン・ピエトロ聖堂が見えます。

順路では彫刻を中心としたピオ・クレメンティーノ美術館に行くことになります。彫刻に囲まれた長い廊下を通り抜けると「ベルベデーレの中庭」が見えてきます。

これが「ベルベデーレの中庭」。

この噴水の植物の奥にその彫刻はありました。

それが「ラオコーン像」です。ローマで今回一番見たいものでした。

彫刻はもちろんですが、ドラマチックさを増す舞台設定が本当に素晴らしいです

ウィキペディアより……神話によれば、アポロン神殿の神官ラオコーンは、トロイア戦争の際、トロイアの木馬をイーリオス市内に運び込もうとする市民たちをいさめたが、この行為はアテーナーの怒りを買った。アテーナーはラオコーンの両目を潰し、さらに海に潜む2頭の蛇の怪物を使ってラオコーンを襲わせた。ラオコーンは子供たちと一緒にいたが、子供たちは2人とも怪物に食われてしまった。このことは『アエネーイス』の第2巻などに歌われている。また、蛇を送ってラーオーン親子を殺させたのはポセイドンないしアポロンだともいわれる(アポロンはトロイア戦争に於いてイーリオス側に味方した神だがラオコーンがかつて自分の神殿内で妻と交わったためこの時罰を与えた)。

まさに人間が死にゆく劇的瞬間を刻んだ作品ですが、マッチョ過ぎない均整の取れた肉体美。

こちらはウフィツィ美術館のラオコーン。オリジナルの右腕が発見される前の作品なので、当時こうであろうと想像されていた「伸びた腕」が付けられています。

ウィキペディアより……『ラオコーン像』が発掘されたときにはラオコーンの右腕や左右の息子たちの腕や手は損壊し、失われていた。当時の芸術家や鑑定家たちは、失われた腕がもともとどのような形だったのかを議論している。ミケランジェロは、ラオコーンの右腕は肩を越えて背中に回っていたのではないかと考えた。逆に、右腕は大きく広げられている方が英雄の像としては相応しいとする者もいた。教皇は非公式なコンテストを企画し、失われた腕がどのようなものだったかの案を彫刻家たちに命じて、ラファエロに審査させている。その結果、ラオコーンの右腕は大きく伸ばされた状態が相応しいと判断され、新しく伸ばされた腕の状態で修復された。

1906年に肘を曲げた腕が発見され、1950年代にバチカン美術館がこの腕がラオコーンのオリジナルであると鑑定し、修復された経緯があります。確かにこちらの方がより「苦悶に満ちた最期」に思えます。ミケランジェロの見立ては素晴らしいですね。

腋下の静脈の浮き上がり方の何と自然なことか。

2000年以上前の彫刻がこのレベル。ギリシャ、ローマ、恐るべしです。

1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。

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    とーちゃん

    2023/12/16

     ミケランジェロ、
    凄いですね … 。

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    グリーン参る

    2023/12/16

    とーちゃんさん
    失われた右腕が見つかる400年前に、こうであったであろうというミケランジェロの天才性、おっしゃる通り素晴らしいです。画家のラファエロでは「三次元ではどうしたらより劇的で真実味のある造形になるか」予想するのは難しかったのでしょうか。

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