『ワイルド・レンジ 最後の銃撃』DVD

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2003年アメリカ作品。
ケビン・コスナー監督。

原題は『OPEN RANGE』=放牧地では締まりがないと判断したのか、邦題がワイルドに(文字通り)。
ケビン・コスナー監督・制作・主演の正統派西部劇で、比較的新しい作品。
タイトルについている最後の銃撃は、『ペイルライダー』のイーストウッドみたいな神がかりなことはなく、結構リアルに戦っています。
ラストも「結局一人荒野をさすらう」というイメージがありがちな西部劇としては異色とも言えます。

実質ロバート・デュヴァルとのダブル主役で、特にこのデュヴァルが演じるボス・スピアマンのキャラクターが秀逸です。
飄々としているようで信念があり、情け深いと思ったら冷酷な仕打ちも平気で行い、どこか達観しているように見えるのに諦観はせず、他者や自分の生き方に対して常に目を前へ向けている。
この複雑な人物を見事に演じている名優ロバート・デュヴァルのすばらしさ!

日本語吹き替えは、ケビン・コスナーにもちろん津嘉山正種、そしてロバート・デュヴァルが大塚周夫。
この作品でデュヴァルに大塚さんを持ってきたのは『ロンサム・ダブ』があったからでしょう。

デュヴァルの芝居も凄いので、それに声をあてる大塚さんの芝居も非常に聴き応えがあります。
個人的に気に入っているのは、悪党を(かなりひどい手を使い)懲らしめるシーンで、決して凄まず、“まるで日常の会話のように”脅しをかけるところです。
つまり、それまで頑固だけど優しい爺さんという印象だったボスが、仇討も殺しも決して非日常な出来事ではない生粋のアウトローであるという背景を、喋り方だけでこちらに思い知らせてくれるのです。
必聴。

ロバート・デュヴァルは大塚さんが「声をもっとあてたい俳優」として名を挙げていましたが、『ロンサム・ダブ』と地上波『ウォルター少年と、夏の休日』くらいでしょうか。
トム・クルーズの『アウトロー』では出演していたのに、デュヴァルではなかったのでとても残念でした。
(川久保さんのデュヴァルが悪いわけではありません、決して)

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