セイコーマチック クロノメーター ウィークデーター プロトタイプ 35石 ステンレスケース 6246-8990

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ミュージアム・オーナーの一番好きな機種、セイコーマチッククロノメーター6246-9000、及び関連機種を蒐集してゆく過程で、ベースとなった6216-9000とウィークデーター6218-8950との類似性を強く感じ、これは兄弟機種(三つ子)ではないか?と思うようになった。

この3機種を製造開始年月の時系列で並べると
・1965年2月:ウィークデーター6218-8950
・1965年7月:クロノメーター6246-9000
・1965年9月:ウィークデーター6216-9000

そして、1999年に徳間書店から発売された「THE SEIKO BOOK - 時の革新者セイコー腕時計の歴史-」に「セイコースタイル」の説明として、セイコーマチッククロノメーターの外装デザインのラフスケッチが掲載されていた。
(著作権の関係上、その画像は掲載出来ないが)このスケッチ画は正に6218-8950のケース形状で、文字板12時下には筆記体で「Chronometer」、6時上に筆記体で「Automatic」の文字が入っていた。(Seikomaticのロゴ表記は無し)

確かに「セイコーマチッククロノメーター」としてデザインされたものであったが、実際に発売されたのは6246-9000の形状であることから、このデザインはボツになったのか?
いや、このデザインは1965年2月:ウィークデーター6218-8950として製造されている。
そして、その5か月後にCal.6216Aをベースとした6246Aを搭載したクロノメーター6246-9000が製造されているのである。

Cal.6218Aは、日付カレンダーと曜日カレンダーディスクに段差があり、文字盤6時上に曜日窓を配置することで段差が目立たない。
その段差を解消するためにCal.6216Aが開発され、文字板3時の位置に段差のない日付/曜日を配置し、更にクロノメーター級の精度を出すために専用部品の採用と特別調整を行ったのがCal.6246Aである。

では、6216-9000の位置付けは?...そうか、過去に初代グランドセイコーの廉価版として「クラウンスペシャル」が、キングセイコーの廉価版として「クロノススペシャル」が発売されたように6216-9000はセイコーマチッククロノメーターに添付された「クロノメーター検定テスト合格証」を省略してノンクロノメーターの最上位機種として発売されたものと理解したのである。

さて、このアイテム個体の文字盤は1999年に徳間書店から発売された「THE SEIKO BOOK-時の革新者セイコー腕時計の歴史-」に掲載されていたセイコーマチッククロノメーターの外装デザインのラフスケッチと同様のものである。

スケッチ画では文字板12時下には筆記体で「Chronometer」と表記されていたが、この個体はブロック体である。
しかも、そのロゴ書体はセイコーマチッククロノメーター6246に添付されているクロノメーター説明書(7枚目の画像下)と同じ書体である。

このプロトタイプ6246-8990は、セイコーマチッククロノメーター6246-9000外装デザインの完成に至る昇華のプロセスを裏付けることができる貴重なものである。

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