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MSBR & Spstic Colon ”Live Electronics At Matsuyama”
皆さん、MSBRこと田野幸治さんのことを覚えていますか?1990年代初頭から2005年まで活発に活動していた日本のノイズシーンにおいて重要な人物です。MSBRとして音楽活動を、また雑誌「電子雑音」の編集長として日本におけるノイズ:ミュージックの啓蒙に尽力した方です。更にショップ「デンザツ・コム」も運営していました。彼が、まさかの大腸癌で夭折したのは2005年夏でした。44歳と言う若さです。個人的にも友人であったので、大変ショックでした。そこで、今回は、日本のMSBRと米国のSpastic Colonのライブ音源のスプリット盤を紹介します。MSBRはMolten Salt Breeder Reactorの略で、彼が松山にいる時に、インスタレーションとして展示した作品の名前でもあります。その頃は、美術家武智さんと共に活動していましたが、やがて活動の拠点を東京に移し、脱サラ(彼は元々エンジニアでした)して、国内外のライブは元より、旬なノイズ・アーティストの日本ツアーのサポートや音源のリリースなどを行なっています。ラウドなハーシュ・ノイズなどの時は「ノイズのはらわた」と言う企画名で、電子音響系の場合にたは「Streamline」と言う企画名で来日アーティストのライブのサポートをしています。また、MSBRの作品は奇っ怪なハンドメイドの包装がなされており、購入者は収納にも困る具合(笑)でした。また田野さんは漫画も描いており、大のプロレス好きでもありました。音楽活動については先述の通りです。一方、Spastic Colonは、米国西海岸のErik HoffmanとJorge Martinのデュオで、私は彼等の日本ツアーの時に初めて知り合いました。その後、ErikはGround Fault Recordingsを始め、当時のノイズ・ミュージックをラウドなもの、静謐なもの、そして、その中間のアブストラクトなものに分類して、世界中のノイズ・ミュージシャンの音源をCDとして流布していましたし、MSBRと共に私が同行した時も泊めてもらい、アンプ等を貸し出してくれました。2021年には、それまでにリリースしたシリーズCDを纏めた34枚組CD&2CDRsボックスセットもリリースしています。
それで、本作品についてですが、Spastic Colon(これ、意外と凄いネーミングで「痙攣する腸管」の意)が初来日した時に、田野さんが、彼等に同行して国内ツアーをしているのですが、その時の四国松山市(田野さんの実家があるところ)でのライブ音源を収めています。Spastic Colonは、多量の機材を駆使して、茫漠としてスモッグのような灰色ノイズを吐き散らしています。所々にリズムのような機械音も聴き取れますが、ライブ録音の為か、音は不明瞭な輪郭を成しています。私は彼等のスタジオ音源を聴いたことがないので、この、T G.の”The Second Annual Report”みたいな音が本来の音楽かどうかは分かりません。一方、MSBRは名機Korgのギターシンセを使った(ギターは使わない)ササクレだったハーシュノイズを放射しています。彼の、一見見た目は優しそうな男性なのに、放射するノイズの強度は非常に高いと言うギャップも魅力の一つです。簡素なジャケですが、内容は濃いので、1990年代のノイズ勃興期が知りたい人ならば、この作品ももってこいなので、お勧めです(ただ300部限定なので、今では入手困難かな?)。
A MSBR “Live Garppling Electronics 1-25.05.97” (22:23)
B Spastic Colon “Mr. Donut's Choco-Ring” (19:14)
本作品はYouTubeに上がっていなかったので、各アーティストのライブ音源を貼っておきます。
A) MSBRの京都でのライブ
https://youtu.be/ej4uf2MSYQw?si=7PUPsokG_V0lnnZ3
B) Spastic Colonのライブhttps://youtu.be/9FXSKCyDrUY?si=q84zFUYc6nfd0w4F
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