Scala 3 “Gefühl Und Härte“

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これは見逃してましたねぇ。Berlinのエレクトロ・ポップ/ニューウェーブ・バンドScala 3 (スカラ・ドライ)のファースト・アルバム”Gefühl Und Härte (ゲフュール・ウント・ヘルテ: 直訳すると「感触と硬さ」)を、今回は紹介します。先ずは、彼等のバイオグラフィーからご紹介しますね。
 1979 年の夏に、Scala 3 が設立されたとき、Fred Thurley (フレッド・サーリー)とHans Paix (ハンス・パイ)ことHans Schumann (ハンス・シューマン) はすでに 4 年間一緒に演奏していました。Pierre Lengauer(ピエール・レンガウアー)の加入によりバンドはトリオとして完成し、彼等は、最初から独自のプロフィールを確立したいと考えていました。それで、Thurleyの言に寄ると、 「最初のコンサートはとても興奮しました。初めてステージに立った時、クラブは完全に満員でした。学校の生徒全員がそこにいたのです。1980年には、ベルリンの最も有名な音楽会場、Quartier Latin (カルチェ・ラタン)やWhite Russiaと一緒に出演したKant-Kino及びFriedenauer Music Hall(フリーデナウアー音楽ホール)で何度も演奏しています。 1980年11 月には、Scala 3 は、Freien Volksbühne(フライエ・フォルクスビューネ)で 6 日間にわたって開催された「インターロック・フェスティバル 1980」の 2 日目にはIdealとも共演しています。 1980年初頭に、ファースト・シングル”Schizo-Kid City”/ “Quellen der Wut (クエレン・デア・ヴート)”を自身のレーベルからリリースします。その理由は、彼等がレコード業界からのオファーに懐疑的であったので、妥協したく無かったからだとのことです。そうして、彼等は、本作品でもあるファースト・アルバム”Gefühl und Härte”を、あのKlaus SchulzeのスタジオIC Studioで、Schulzeのプロデュースで作製します。例のシングル曲は、”Schizo-Kids”と改名して収録されています。このアルバムでは、タイトル通り、「パンクバンドのようだが、ハードロックを演奏する」と言うコンセプトで作製されています。英国Magazineがやっているように、パンクとRoxy Musicを融合しようとの試みでした。その後、元NeonbabiesとToni Kambiz (G)と Monika Buske (Sax, Kbd)が加入して、独と蘭のツアーを敢行しています。3月末に、Scala 3は、ベルリンのクラブQuartier Latinで開催されたRocknacht Berlinに出演しています。しかしながら、1981年末に、KambizとBuskeが脱退し、更にLengauerも脱退してしまいます。残った2人は、デュオとして、セカンド・アルバム”Scala”も作製に取り掛かります。この作品は、後にAlphavilleのプロデューサーとなるColin Pearsonがプロデュースしています。その時には、長年の友人であったRobin Terry (B)に協力してもらい、無事、リリースされます。このアルバムは、通常のLPに12インチのマキシ・シングルが付いた変則2枚組となっています。しかし、リリース後、Paixがバンドから離脱し、Ruhe Nach Vornで働いています(休養期間に入っています?)。またTerryもフリーのベーシストとして働き出し、バンドとしてのScala 3は分解してしまいます。Thurleyは、Scala 3としての活動を一旦停止し、1982年末から、Olaf Kobold (Drs)とCarsten Schmitzとで、新曲作りとリハーサルを1年間やっていましたが、どうも上手く行かず、Scala 3としてのサード・アルバム作製には至りませんでした。その後、Thurleyは、フラワーパワー・バンドRubbermind Revengeとして活動しています。このバンドには、Olaf Kobold (Drs), Mattis Manzel (B; 元Miko-Band), Suzi Wong (Vo), Ralf Droge (Trombone, 元Flucht Nach Vorn)が参加しており、1988年に、アルバム”Hippies Are More Fun Than People”を出しています。その後、Thurleyは、ベルリンで数年間、言語聴覚士として働いています。
 以上がScala 3の略歴となります。結構、波瀾万丈でしたね。なお、本作品”Gefühl Und Härte“は、後に、5枚組コンピレーションCDボックスセット”NDW Classics 2 (Original Album Series)”に1枚のCDとして丸っと収録されていますので、そちらの方がお得かもしれませんね。それで、先述のように、この作品の時のメンバーは、Fred Thurley (Lead-Vo, G, Piano), Pierre Lengauer (B, Vo), Hans Paix (Drs, Vo)のトリオで、Klaus Schulzeは、B4以外をプロデュースしており、内容的には両面とも5曲ずつです。それでは、各曲をご紹介していきましょう。

★A1 “Metropolitana” (2:08)は、弾力のあるリズムがちょっと意外な曲で、この時期の独バンドに無いタイプですね。パブロックっぽいのかな?
★A2 “Schizo-Kids” (4:05)は、Gの鋭いカッティングとリズム隊がニューウェーブっぽい曲で、独語歌詞もバッチリで、キャッチーですね。コーラス部分の低音が不気味!でも曲は「陽キャ」ですよ。
★A3 “Ghetto Intern” (2:25)は、意外にもシンセで始まり、クラヴィーアの音色も美しいスローテンポな曲です。これはKlaus Schulzeのプロデュース力なのかな?
★A4 “Travestie” (3:45)は、分厚い音の壁ながらも、疾走感のある曲で、中々カッコ良いです。曲の構成もしっかり組み立てられており、Gソロの後、シンセのSE音が出てくるのも良い。
★A5 “ZX” (4:30)も、オルガンとGのリフが上手く絡み合った構成のしっかりした曲で、スピード感もあり、途中の爽快な疾走感から、後半の盛り上がりもグッド!でも”ZX”って何?
★B1 “Only You / Freundschaft” (2:55)は、何だか「青春パンク」のような曲で、私には懐かしいメロディで、パンク映画のサントラ”That Summer”を思い出しました。
★B2 “Ich Glaub', Ich Träume” (2:45)は、メタリックな鋭いGと、変調(?)Voが特徴のパワーポップな曲で、中々、演奏も上手いです。そしてブレイクもカッコ良く決まってます。
★B3 “Sog Der Resignation” (5:35)は、スローでゆったりした中をGが伸び伸びと弾きまくる冒頭から、段々とビート感も出てくる曲で、途中でシンセやピアノも挿入され、構成もしっかりしています。終わり方も良い!
★B4 “Quellen Der Wut” (4:17)は、LFOなシンセで始まり、オルガンが効果的な曲で、Voも色っぽく歌っています。途中からGが主導権を握って、よりパワーポップ色が強くなります。
★B5 “Vergessen” (3:30)は、切迫感のある曲調と耳元で囁くようなVoが特徴ですが、そのようなVoは最初だけで、全体的には良質なパワーポップです。
 全体を通しての個人的な感想は、米西海岸辺りのパワーポップと似たようなロック(例えばThe Jars等)"で、独語歌詞以外には、それ程、NDW的な「不格好(良い意味です)」なところは余り感じませんでした。確かに、グラム・ロックとパンクを混ぜ合わせたような断片も感じますが、やはり根はパワーポップだと思います。また、ハードロックでも無いです。これはメジャーのコード進行を多用しているからとも言えましょう。解散したのは、ちょっと惜しいバンドの一つですね。なので、皆さんも「陽キャ」のScala 3、聴いてみて下さい!

A1 “Metropolitana” (2:08)
https://youtu.be/jnn5sgBo_o4?si=Et8D417lJ3IoyPFf

A2 “Schizo-Kids” (4:05)
https://youtu.be/5Td98WU8rQc?si=f8Va-Q5iNGhELcYT

A3 “Ghetto Intern” (2:25)
https://youtu.be/1fkvMeG6eSQ?si=PWz09e6_aqaH2Wn4

A4 “Travestie” (3:45)
https://youtu.be/vgXVf7HHxx4?si=xs8yLuyy57DdsVeO

B2 “Ich Glaub', Ich Träume” (2:45)
https://youtu.be/jXQdY8oValQ?si=0uSiUzrRTeIH-ZDc

B3 “Sog Der Resignation” (5:35)
https://youtu.be/QSmbhppEOTo?si=TvWDMToycYIwnpSF

B4 “Quellen Der Wut” (4:17)
https://youtu.be/xelcX5EUw_Q?si=q1zmWPisz40jQTMM

B5 “Vergessen” (3:30)
https://youtu.be/5Td98WU8rQc?si=f8Va-Q5iNGhELcYT

[オマケ: A4, A2, B1; Live in Berlin, 1981]
https://youtu.be/bR_hgyYkKaw?si=RLRK1NtehO7yjpLl

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