W.A.T. “World According To (Eindhoven 1983-1985)”

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W.A.T.と聞いて、パッと音楽が思い出すことが出来る方は少ないと思います。今回は、蘭のポスト・パンク・バンドW.A.T. (World According To)のセルフ・コンピ・アルバム”World According To (Eindhoven 1983-1985)”を紹介します。正直、私もこのバンドのことは全然知りませんでしたので、ちょっと調べてみました。W.A.T.とは、A.M.A.H. Keultjes van MeursことAd Van Meurs (G, Vo)とF.J.G.M. van den NieuwenhofことFrank van den Nieuwenhof (B), Ankie Keultjes (Kbd, Vo)によるバンドで、1982年に蘭Eindhovenで結成されています。当時はドラムレスであったので、BOSS Dr-55リズムマシンを使っていたらしいですが、アルバムの録音では生Drsを使っているようです。またシンセはアナログのPro Oneシンセを使っており、それにアルペジオの打ち込みをしていたとのことです。翌年1983年には、6曲入りデビュー・ミニアルバム”Defreeze”を蘭のレーベルPlurex Recordsからリリースし、RotterdamのDe Dielen で行われたフェスPandora's Music Boxに出演、また仏ReimsでのフェスMusiques de Traversesにも出演しています。そして、ラジオ局VPROのニューウェーブ等を掛ける番組Spleenにも出演したりしています。その後、1985年にはセカンド・アルバム”We” (音はテクノではないです)を蘭のテクノ・レーベルPrimeからリリースし、同年には蘭のレーベルから、6曲入りサード・ミニアルバム”Thin Blue Notes”もリリースしています。その後1988年に、バンドは解散し、Ad Van MeursはThe Watchmanとして活動していくことになります。

 以上がW.A.T.の略歴なのですが、この位しか分かりませんでした(すまん!)。それで、本作品は、彼等が出した3枚のアルバムから曲をセレクトして、纏めたセルフ・コンピ・アルバムと言うことになります。内容的には、A2, A4, B2, B3はファースト・アルバム”Defreeze”から、A1, A3, A6, B1, B4, B5はセカンド・アルバム”We”から、A5, B6はサード・アルバム”Thin Blue Notes”からセレクトされており、両面共6曲ずつ収録されており、ベルギーのレーベルStroomからのリリースとなっています。それでは、各曲をご紹介していきましょう。
★A1 “Love Suspect” (3:34)は、ややファンクっぽいリズム隊に、伸び伸び弾かれるGと良く通る女性Voから成るポストパンクな曲で、新鮮です。
★A2 “Get Famous” (4:46)では、シーケンスと語るような女性Voで始まるニューウェーブっぽい曲で、その後にタイトなリズム隊と単音弾きのGで疾走しています。
★A3 “Wax” (3:39)は、大胆なDrsと這い回るBにアルペジオGから成るポストパンクな曲で、時に入るシンセがニューウェーブっぽいかな?
★A4 “Defreeze” (4:07)は、機関車のようなリズム隊とシーケンスするシンセに、浮遊感漂う女性Voが心地良い曲で、ニューウェーブだなぁと。ミニマルなBと間奏のシンセが絶品!
★A5 “Thin Blue Notes” (4:37)は、いきなりのアコギとGで始まり、ちょいとマカロニ・ウエスタン調のアンサンブルで、洗練されていてシャレ乙。間奏のGもグー!
★A6 “The Captain” (4:24)は、やや落ち着いた曲で、シンセのメロは良いし、Bのリフはちょいファンク調。カッコ良い!
★B1 “THX” (3:42)は、蠢くようなBラインとDrsを中心に男性Voが女性コーラスと共に歌うポストパンクな曲で、間奏のGもそれっぽい。
★B2 “Art Lovers” (4:58)は、タイトなDrsとGの刻みと躍動的なBから成る曲で、ここではメインは女性Voで、時にラップ調にもなり、スライドGも挿入され、良い塩梅です。
★B3 “Ivanhoo” (4:27)は、やや焦燥感を感じさせる曲で、女性Voです。GとBの噛合せが絶妙で、中半〜後半のシーケンスの挿入も良い味付けです。
★B4 “Hossa” (4:25)では、Gのアルペジオの中、コンガ等を使ったファンク調のリズム隊が始まり、重ねられたGが伸び伸びと弾いているインスト曲です。
★B5 “Sangatte” (4:59)は、ミニマルなGのリフに囁く女性Voが中心となった落ち着いた曲です。メロも良く、中半からの盛り上がりもグー!
★B6 “Conspiracy In The Dark” (4:32)は、めっちゃカッコ良いノリの良い曲で、歪んだGが新鮮です。Voは女性で、バックの演奏には疾走感があります。

 総じて、「軽いニューウェーブ」と言うよりも、ソフィストケートされたポストパンクな曲が多い印象ですが、歌詞が全部英詩で、そこがちょっと残念な所ですね。しかしながら、曲作りやアレンジは卓越しており、かなり聴き易く、また演奏の細部にも凝っている所をビンビン感じます。BOSS Dr-55と記載がありましたが、どうも生Drs(誰が叩いているかは不明)を使って録音されているようで、少なくとも、このようなチープなリズムボックスは使われていません。なので、蘭のバンドですが、これが英国のバンドだったら、もっと評価されていたのではないでしょうか?ポストパンク・ファンの方には是非とも聴いて欲しい一枚です❗️

B6 “Conspiracy In The Dark”
https://youtu.be/XoIh6v_qRrw?si=gdJI6q2BPtBccU4g

[Bandcampでfull album聴くことができます]
https://stroomtv.bandcamp.com/album/world-according-to

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    4AD

    2024/02/01

    WEというLP持ってましたが NEW WAVEという感じがしなかったので売却済です

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