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Art P “No Message”
Art P、正式名称はArt Programmingで、独Bremen出身のJens-Markus Wegener (イェンス・マルクス・ヴェジェナー)とFrank Grotelüschen (フランク・グローテリューシェン)とが、1982年初頭に知り合ったのがきっかけで活動を始めた電子音楽デュオです。元々のきっかけは、Grotelüschenが、自分の持っているシンセRoland 101を売ろうと新聞に広告を出して、Wegenerがそれを買ったことから、2人の交流が始まり、そうして、お互いに仲良くなり、GrotelüschenがドラムマシンRoland TR-808とJupiter 4シンセを、自分の休暇中6週間に、Wegenerに貸したことをきっかけにデュオで活動を始めています。そうして、Wegenerは、数週間の内に6〜7曲を作り上げ、そこで、Art Programmingとして正式に活動を開始、曲作りに精を出して、1983年に、Korg Mono/Polyの他にも、ベースシンセとしてRoland TB-303をFricke Sequencerで駆動させ、またゲストにNorbert PautnerとヴォーカリストClaudia Roebkeを迎え入れて、ファースト・カセット”Art Programming”をリリースします。ゲストの2人は後にライブ・メンバーにもなっており、後には、Yamaha DX-9シンセも導入するようになります。その後、本作品であるセカンド・アルバムを作るに当たって、よりプロらしくする為に、デュオの名前をArt Pと短くしました。そうして、BremenのDub City Studioにて、ヴォーカルもフィーチャーして録音を開始します。ファーストもセカンドも、Wegener自身のレーベルP.A.P. (Programming Art Productions)からカセットでリリースされています。Art Pは、1989年までに、”Terminal Zeit”と言う曲をU.S.S. Dancefloorのコンピに提供し、これが、ダーク・インダストリアルと初期EBMを意識したエレクトロ・チューンであり、この曲でデュオは解消となります。その後、Wegenerは、カセット・コンピ”Berlincassette 2-85”に参加、「Bremen電子音楽シーンのグラン・パ」と呼ばれたこともあり、後に、Public Propagandaのような会社を設立して独音楽マーケットのキーパーソンになったり、1990年代中期には欧州で最も大きく成功したプロモーターとしても知られるようになります。また、彼は、SPVやPiasレーベルのプロモーションをやったことで、Electronic Body Musicを一つのジャンルにまでしています。
大体のArt Pの流れはこんな感じです。それで、セカンド・アルバムでもある本作品では、Frank Grotelüschen (Synth, Vocoder, Tapes, Effects, Compositions, Programming, Arrangement, Drs-Machine), Jens-Markus Wegener (Synth, Vocoder, Tapes, Effects, Drs-Machine, Composition, Programming, Arrangement)の他に、Evelyn Gramel (Vo [A4,B2]), Peter Apel (Vo [A2]), Sabina Mai (Vo [A4,B2]), Yamatsu Dix (B)も参加しています。シンセ・マニアの2人が作った作品ですので、各曲を紹介していきましょう。
★A1 “David”は、何だかスパイ映画風のシンセのリフと生Drsに近いマシンドラムのリズムからなるミニマルなインスト曲です。
★A2 “A Place To Fear”は、ちょっと初期YMOっぽい曲で、Peter ApelのVo入りです。リズムの作り方と裏で入るシンセ音がかなりYMOに似ていますが、それ程オリエンタル風ではないです。
★A3 “Polaroid”は、ヴォコーダーを使った曲で、ん〜これはTelexの”Moscow Discow”っぽいです。それにしても、打ち込みは凄く上手くて、緻密で、殆どプロ並です。でも、シンセソロもちょいフュージョン臭いかな?
★A4 “No Message”は、イントロのシンセがカッコ良いですが、その後は強力なマシンリズムとシンセのコードの刻みから、女性Voも入ってきます。サビでのコーラスも良い感じですが、間奏のシンセソロがどうにもフュージョン臭いですね。
★B1 “White Jackets”は、ややしっとりと落ち着いたインスト曲で、Tubeをシンセで演ったようなイメージですね。リズムもTR-606っぽい音で軽めに仕上げています。
★B2 “Sounds Of The City”では、リズムをシンセで使ったり、更にそれにマシンリズムを加えたりで、凝っています。2人の女性によるユニゾンVoも可愛らしいですね。この曲は割と面白かったです。
★B3 “Five Minutes”も、割と落ち着いており、ヴォコーダーも入っているほぼインスト曲で、途中のブレイクなんかは上手いなあと感心します。またシンセ・ベースもファンキーです。
★B4 “Beams”は、静かなシンセによるミニマルなインスト曲で、リズムマシンは使っていません。ある意味、アンビエントと言って過言ではないでしょう。
確かに、打ち込みとかは凄く上手くて、プロ顔負けなのですが、全体にフュージョン臭いと言うかシティーポップっぽくて、個人的にはちょっと拒絶反応が出そうでした。時代を考えると、そう言う曲調も仕方ないのかな?また彼等は機材オタクっぽいので、シンセの音色からは、当時のフュージョンとかシティーポップのような感じだったのかな?と思います。ただ音楽としては緻密なので、一度は聴いてみてもよいかも‼️
B2 “Sounds Of The City”
https://youtu.be/A0vD8covnjk?si=t2vEgDzDp4Yh8WbW
[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lw1XV5g1KMphSX23bSyCEPxBCsSq8WUkk&si=iDp8ipjXBIT5qxr5
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