デュモルチェライト0.106ct

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インクルージョンクォーツで"デュモルチェライトインクォーツ"というものがあります。透明でカラーレスのクォーツの中に青色の針のような形状の結晶が入り込んだ見た目で、とても綺麗なので人気の高い石です。パワーストーン派の方々には馴染みのある石なのではないでしょうか。

これまで、私は裸石のデュモルチェライトをいくつか見たことがありました。しかし、いずれも不透明であまり綺麗なものではなかったので、ラピスラズリの劣化版のような印象を拭えませんでした。

さて、2019年のツーソンショーに、クリアーなデュモルチェライトが登場しました。インクォーツでなく、純粋なデュモルチェライトです。

結晶の見た目は針ですから、まさか純粋な裸石があるとは思っていませんでした。これまで見たことのあった不透明の裸石は、不純物が多く混じったものなので鑑別でデュモルチェライト判定が出るかは怪しいです。

これをベニトアイトだ、といわれて見せられても見分けることはできないです。しかし、デュモルチェライトの硬度は8半。ベニトアイトをゆうに上回り、クリソベリルと同値です。十分に普段使いに適した硬さです。

このデュモルチェライトの産地はマダガスカルですが、詳しい産地まで分かりませんでした。どうも鉱山側が非公開のようで、マダガスカルのトラノマロで宝石質のグランディディエライトをリリースした際、バイヤーが山ほど押しかけた歴史を繰り返さないためでしょうか。他にもブラジル産の裸石を確認しました。奇跡的に大きな結晶があれば裸石に加工できるのでしょう。

鉱物名:デュモルチェライト
宝石名:デュモルチェライト
組成:Al7(BO3)(SiO4)3O3
重量:0.106 ct
産地:Madagascar
鑑別:日独宝石研究所

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