ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第7番ヘ長調op.59-1  アルバンベルク弦楽四重奏団

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アナログレコードでは枚数がかかるのであまりなかったが、CDでははよくある。このCDはウィーン・アルバンベルクSQのベートーヴェンの弦楽四重奏曲として単曲の録音として手に入れた。こいつが傷だらけになったころラズモフスキー第1、第2が一枚ものとして出た。同じ録音だったので内心穏やかではなかったが、ラズモフスキー1~4などというコンプが出ないうちに3.4番と合わせて手に入れた。そのうち大フーガも含めて全集として出るだろうと思いつつ。(やっぱり出るよな)レコード会社を写ればそこでもラベルを変えて発売される。(ビートルズなんかでもあるよね。国によって組み合わせが違ったりはあまり聴かないけど)

ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第7番ヘ長調op.59-1

第1楽章 アレグロ
第2楽章 アレグロ ヴィヴァーチェ エ センプレ スケルツァンド
第3楽章 アダージオ モルト エ メスト -アタッカ(フィナーレへ連続で) 
第4楽章 テーマ ルッセ,アレグロ(ロシアの主題による)

ベートーヴェン中期の傑作。ただし発表当時の聴衆はそっぽを向いた。

作品59で括られた3つの作品の内第一番と呼ばれる。ラズモフスキー伯爵の依頼により作曲されたといわれる。
ベートーヴェンの楽器の扱いについての最も優れたバランス感覚がはっきりと聴き取れる。
第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ4つのパートが平等に扱われていて、複雑でありながら暖かく明るい。
ただ、緩徐楽章にあるベートーヴェン特有のメランコリィはこの頃にはまだ歌としての流れを持っていて、深い抒情性はあるけれど、内省的な深さについては後期のものほどではない。
風通しはよいが、語られている言葉は広く、深く、情緒的な側面をあまり感じない。
 

メンデルスゾーンやシューマンのロマン的な深さではなく、ボロディンやドヴォルザークのメロディの美しさに基づくものでもない。
敢えて、そうありたいと努力を重ねたブラームスのピアノを含んだアンサンブルがそのそばに立つ。

ベートーヴェンが音と光りを失って後、弦楽四重奏曲によって自己の内省を表現することについて、最終的には形式にこだわらなくなってゆくのに対して、この中期の傑作は目に見え、耳に聞こえた世界から音楽を紡ぎ出した彼の到達点がある。

室内楽の中で、彼は弦楽四重奏曲とピアノ・トリオに多くの作品を残し、彼自身あまりよく知らなかったと思われるチェロソナタという分野にも偉大さを見せる。

ウィーン風手すさびの色濃いピアノ・トリオに対して彼の中期の四重奏曲は独自の抒情性と明朗性とメランコリィを併せ持っているマイルストーンのように思えてならない。

ブダペストSQや旧ジュリアードのような峻厳さも、スメタナSQの中庸の歌もないけれど、この演奏はベルクやシェーンベルクを通過して振り返った『音』に語らせる魅力がある。ていうか、頭で理解したベートーヴェンより音楽が先に来る。

https://youtu.be/QrGe49Wi-sw?si=zRvZyAjlCISsFLVb

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    woodstein

    9 days ago

     個人個人で好みはあるのでしょうが、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲では中期(7~11番)が聴きやすいですかね。ベートーヴェンらしさが感じられます。

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    Mineosaurus

    9 days ago - 編集済み

    コメントありがとうございました。1番から6番までのハイドンからモーツアルトの方を向いている作品も好きですが、ボクは11番から以降の変幻自在と閉じた世界が一番好きです。ただ閉じてうずくまった世界ではなく、何度聞いても違った部分が聴こえてくる。
    海外の難解な文章を翻訳を通して読むよりももっと直截的に頭に流れ込む世界があります。
    14番の第1楽章から鼻歌で口ずさむ爺はちょっとおかしいのかもしれませんけど、( ´艸`)

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      woodstein

      9 days ago

       あと、これは偏見なのですが、アルバン・ベルグというと、その作曲家の名前に引きずられるせいか、その名を冠する弦楽四重奏団には縁遠くなってしまいました。このチクルスのCDは、東京SQを初めとして、メロスの新旧両盤なども所有していますが、結局アマデウスSQを座右にしています。

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