55 スコミムス(SUCHOMIMUS) スピノサウルス科の新たな系譜

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スコミムス (Schomimus)

 獣脚類/テタヌラ類/スピノサウルス科/体長11(?)m/名前の意味:ワニもどき
 年代:1億2,100万~9,900万年前/産出地:ニジェール

 アフリカ産の大型獣脚類。1998年になって記載(学会発表)されたスピノサウルス科の仲間。全長は推定11メートルとされる。ワニのように細長い顎には円錐形の歯が並び、前足の親指には大きな鉤爪があった。スピノサウルスほどではないが、背中には長く伸びた、脊椎の棘(きょく)突起を支柱とする帆があり、やはり体温調節に使われていたと思われる。鉤爪のある頑丈な前脚が魚を捕獲するのに適していたことから、魚食性だったとされている。
しかし、これだけ大きな肉食動物の食欲を魚だけで満たすことは難しく、他の恐竜を襲ったり、死体を漁ったりしていたと思うのが自然な考え方のように思う。ただ、鰐のように普段の動作が緩慢で活発な動きを省略する生き物であったならそれなりの体力の温存はできただろうし、獲物を襲う時にだけは爆発的な敏捷性を発揮する省エネ型の恐竜であった可能性も高い。爬虫類の特質である。哺乳類よりはるかにしぶとい。
近年スピノサウルスの尾椎が縦に幅のある水中活動に適した特徴であった可能性も論じられ、大まかにスピノサウルス科がいくつかの系統に分割されてきつつあるが、この当時のスコミムスの再現骨格にはそのような印象はない。スピノサウルス科はまだまだ変化しそうだ。

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