ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第1番ハ長調OP.15 ピアノ・ソナタ第4番変ホ長調OP.7

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ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番ハ長調作品15
 
第1楽章 アレグロ コン ブリオ
第2楽章 ラルゴ
第3楽章 ロンド:アレグロ

カルロ・マリア ジュリーニ指揮 ウィーン交響楽団
ピアノ:アルト―ロ・ベネデッティ・ミケランジェリ

1980年のウィーンのTVコンサートのライブ録音

https://youtu.be/JjMx792YAmc?si=SoQrzK5QjoUDXSCa

ベートーヴェン ピアノ ソナタ 第4番変ホ長調作品7
第1楽章 アレグロ モルト コン ブリオ
第2楽章 ラルゴ,コン グラン エスプレッシオーネ
第3楽章 アレグロ-ミノーレーアレグロ
第4楽章 ロンド:ポコ アレグレット エ グラティオーソ

1971年録音

妥協を許さぬ音の求道者であり、希代のキャンセル魔。
彼は現代ピアノの音色をとことんまで追求した芸術家だった。日比谷のコンサートホールで彼のピアノが聴ける最後のチャンスにキャンセルされたことは死ぬまで忘れない。主催者は彼がのコンサートで使用するためにはるばる船便で運んだピアノを差し押さえた。録音嫌い、あれほどのピアニストでありながら彼はあまり裕福ではなかった。着るものなどは無頓着でまるで修行僧のようだった。
彼が記録に残しているドビュッシーの映像第Ⅰ集,第2集や前奏曲集、ラヴェルの一連のピアノ作品は近代印象派の持つ音の微妙な色彩感をまるで画家がキャンバスに描くようにピアノで紡いでみせる。
 彼の音色への拘りは、彼がベートーベンを弾くときにもあるように思われ、一音、一音が全て粒立ち、粗雑物がない。
その拘りは、彼がスケールを弾いたとしても彼の姿勢は変わらないのではないかと思わせるます。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲の中で僕が最も好きなのは第4番。次にこの第1番。第3番、第2番、最後が第5番です。4番以外は一連のこのライブシリーズで聴ける。2番を彼が弾いたかどうかボクはいまだにわからない。
第4番は以前モノラルのライブ盤で出ており、そのレコードは擦り切れて溝が無くなってしまっていた。CDで手に入ると期待したが、…発売されない。だからこのジュリーニとの共演に期待したが駄目だった。弾いたという話は聞いたことがあるが、演奏の出来栄えにOKを出さなかったらしい。
彼の演奏で第4番の第2楽章のグリッサンドを聴きたかった。

この第1番の第1楽章にもそういう魅力がある。粗雑物のない見事な粒立ちの磨かれた音が駆けあがり、駆け降りる(モーツァルトの協奏曲を彼が弾くと少し強烈すぎるけど)。この演奏だと第1楽章中間部以降ピアニッシモに抑えたオケの静寂の中に走るアルカイックな音色。そこだけでも満足できる。第1楽章のオッそろしく長いカデンツァはあっけにとられる。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタに関しては彼はほとんど数曲しか記録に残していない。他に理想的な演奏がある時、彼は自分が弾く必要がないと感じているのかもしれない。かつて吉田秀和が手記の中で彼とのインタビューでラフマニノフの協奏曲で4番だけを弾いているのは何故かと尋ねた時、彼は1番から3番までは作曲者の完ぺきな名演奏がある。何故か4番だけは満足な演奏ではないように思えるので自分が弾く意味があるかと思って弾いたそうだ。万事こんな感じか。このことは彼が作曲者の演奏であろうがなかろうが、作品に対する確固とした再現基準を持っているということでしょうね。もちろん自分の演奏もその基準を当てはめる。だから、彼はその傷がく消えないで残る録音という保存方法は我慢がならなかったのかもしれません。

YouTube で聴けるので取り上げています。ただオーケストラがウィーンフィルになっていますが、ウィーン交響楽団の間違いですね。ウィーンフィルは前にどこかで書いたけど団体としては存在してないです。ウィーン国立歌劇場管弦楽団がオペラをやらないときに管弦楽団を別に組織します。それをウィーン・フィルハーモニーと呼びます。
ウィーン交響楽団はジュリーニを常任に迎えていた時期もある別個の団体です。

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