Person-20-1 サン=サーンス テーマの美しさ

初版 2024/09/22 23:00

改訂 2024/09/22 23:25

ピアノ協奏曲第5番ヘ長調Op.103(エジプト風)

   1.アレグロ アニマート
   2.アンダンテ


   3.モルトアレグロ

この協奏曲は第1楽章第1主題でピアノが奏でる旋律の美しさに尽きる。
第1楽章序奏が薄い弦楽のピチカートの上を滑ってゆく。
直ぐに現れるピアノは細かいパッセージを刻みながら、少し水っぽいくらいオーケストラと平板なやりとりがある。
弦楽の総奏の後、管楽に受け継がれる旋律の後から、ロマンティックで鮮やかなピアノの旋律が不意に浮かび上がる。

その、美しさ!
細かすぎるピアノのパッセージの中に、今ひとつ引き締まった心とオーケストラの充実があれば、こうまで軽んじられる作品ではないはずだ。
たくさんのピアニストがこの旋律の美しさに、何とかこの協奏曲をショパンのようにと思い、録音する。
ボクはその度に期待を込めて聴き、その都度今度こそと思い続けてきた。
そうなんだ。数え切れない辛酸と喝采を知っている、豊かな人生経験を積んだ歴戦の例えば、ルービンシュタインのようなピアニストや、真摯に求道するリヒテルのようなピアニストは第2番協奏曲は残したが、この曲を残そうとはしなかった。
おそらく、歴史の埃をかぶり、次第に忘れられてゆくだろうという思いが何処かにあったのではなかろうか。

でも、この曲は残っている。
その旋律線の唖然とする美しさとわかりやすさで。

この曲が第2楽章のオリエンタルなムードにより、『エジプト風』と名付けられていることなど、どーでもよろしい。
聴くべきは額と頭の区別がなくなったフランス人作曲家のその見た目さみしい頭の中にあったこの!数瞬のメロディの愉悦である。

サンサーンスのピアノ協奏曲は第2番あたりを聴いて終わりになる人が多いけれど、作為的すぎる印象はぬぐえなくても、この第5番のリリシズムは一聴に値するでしょう。

オーケストレーションに厚みがあれば、おしゃべりなピアノのパッセージは重みがなく、総奏の厚みの中に沈んでしまうでしょう。これはピアノ芸術家が書いた典型的なピアノ大好き協奏曲です。

いや、5つ連続で書くのはいくらなんでもしんどい。

古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。

Default
  • File

    kerberos-MG34

    about 4 hours ago

    5連続アップお疲れ様でした。

    本人は歴史の舞台から去っても、
    曲はこうして誰かの心に残って歴史を紡いでいる…
    とても浪漫を感じますね。

    私は音譜が全く読めず、
    リコーダーや鍵盤ハーモニカすら引けなかった為、
    音楽に関しては何もコメント出来ず申し訳ない。

    返信する