Person4-2 イザイ 無伴奏ヴァイオリンソナタより

初版 2024/03/15 00:42

改訂 2024/03/15 00:46

イザイが作曲した無伴奏ヴァイオリンソナタ作品27は6番まで。

それぞれの作品はその時代に自分を除き、自分が認めるヴァイオリニスト6人に献呈されている

第1番はゼフ・シゲティに第2番はジャック・ティボーに第3番はジョルジュ・エネスクに第4番はフリッツ・クライスラーに第5番はマシュー・クリックボームに第6番はマヌエル・デ・キローガに

それぞれ献呈された。

各曲にはそれぞれの楽曲にサブタイトルがついている。

ここでは第2番の第2曲(マリンコニア=憂鬱)を取り上げている。

彼自身の演奏かクレーメルで聴きたかったけど、単独で第2曲だけが聴けるものがあまりなかった。YouTube では若いヴァイオリニストだけれど、繊細な演奏があったのでそれを聴きつつ読んでくだされば幸いです。

イザイという希代の天才は、自作自演の楽曲にあってもきわめてストイックに表現をコントロールしていた。

既に身内にある技術と音楽性を自分の確信的な音楽に載せる。

かつてヴァイオリンの天才達が陥った、例えばパガニーニのヴァイオリンの可能性に挑戦するような乾いた技術の連続はない。

近代からの彼を含む数人をのぞいてヴァイオリニストにとってとんでもなく高度であるかも知れない演奏技術も彼にとっては自己表現に伴う当然の絵筆であった。

彼の師はアンリ・ヴュータンであり、ヘンリク・ヴィニィヤフスキであった。彼の才能に内省への堅牢な窓を架けたのは師による薫陶であったのかも知れない。

でも、彼の演奏はフランコ=ベルギー派の正統を受け継ぎながら、作曲については、ヴァイオリンという楽器構造を知悉したきわめて古典的なアプローチに寄り添いつつ行っている。

バッハは残された作品の純粋な音構造に不変の魅力を残し、それぞれの演奏を鏡のように映し出すけれど、イザイの音楽にはやはり時代の表情があり、普遍よりもまず、イザイが脳裏に浮かぶ。
しかし、近代からのヴァイオリンヴィルトゥオーソの華々しさや顕示される厚かましいほどの技術の羅列もない。
高度であることは生半可ではないけれど、弾くものの魂を許容し、音楽が人間の息づかいに溢れている。

普通に難しい。

彼の作品にはピアノの伴奏やオーケストラとの協奏がきわめて少ない。

ほとんどがヴァイオリンのみの無伴奏である。

彼の頭や心で鳴る音楽は無音の中からヴァイオリンの旋律となって立ち現れ、彼が既に持っている表現によって完全に耳に届く。

そのための作業に伴奏はあまり必要なかったのかも知れない。

それは様式として人の情緒と論理性を見事に矛盾せずに合一させた大バッハの立ち位置とは異なるにしろ、雄弁な技術と音の言葉達を融合させることのできる固有の世界を構築している。

もちろん演奏家としての彼の天才に異論はあろうはずはない。

彼はセザール・フランクやギヨーム・ルクーのヴァイオリンソナタの初演者であり、エルネスト・ショーソンの詩曲の初演者である。世の評価はそれに尽きる。

この第2曲はそのような名曲としての評価はないけれど、凄い。
短い曲であるのは致し方ないが、ヴァイオリンでは既に17世紀からあった現代では普通のテクニックとしてある重音技術を、もう一度高度であった頃に引き戻したような旋律に満ちている。
2つの音が単に旋律と通奏に分かれるのではなく、ピアノの右手と左手のようにメロディアスである。
シンプルでありながら主情的でノスタルジックでありながら、抑制されストイックである。
ぐっと奥歯を噛んでコートの襟を立て、一点を見据えたまま歩く頑迷さ。
霧が濃く、決して晴れることのない重く低い雲のかすかに薄くなった部分から降りる光の数条が点々と男の歩く先々の石畳に薄く陽の温みを運んでゆく。
グレゴリオ聖歌の『怒りの日』の一節が薄く、しかし生々しい灰色で歌われる。
これはベルリオーズの幻想交響曲やリストのピアノと管弦楽のための『死の舞踏』のテーマよりも遙かに底の深いところからこみ上げるものがある。

古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。

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