058 パーティクルボード

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木片を圧縮し、一つの木材へと加工したものをパーティクルボードといい、家具にも使われている。
一つの板を無数の木のチップで形作っているので一つ一つの木の紋様が美しくみえる物がある。
この紋様を描いているときはその木の繊維、一本一本を描くつもりで描いていた。

ちなみに、紋様から思い出すのは自宅にある勉強机の事、もうひとつは児童館の工作室の思い出。
どちらにしようか…どちらも忘れられない思い出です。
決めました、墓場まで持っていくつもりだった内緒をお話しましょう…。

さて、あれは小学生の頃。
私は子供部屋に、憧れの立派な勉強机を置いてもらいました。その机の一番上の引き出しには鍵がついています。
そこに大切なものや、秘密にしたいものをいれて隠しておける特別な場所を手に入れた!と少し大人になったつもりでいた私はフィギュアや道具をそこにいれて訳もなく鍵をしていました。
そこに合鍵も入れて…これが悲劇の始まりです。

ある日、引き出しの鍵を開けようとしたら…鍵が無いのです。
結局その後も見つかっていないので外で落としてしまったのでしょう。

それを悟った瞬間、思考が停止し足が棒のように固まってしまったことを覚えています。
中に入っている物と永遠のお別れなのか…なんて大袈裟に考たり。
そうだ、合鍵!閉じ込められている…うわぁ!バカァ!
一つ賢くなりました、合鍵は自分だけが知る別の場所に保管しましょう。

さぁ、ここから親にばれないように引き出しを開け、中身を脱出させるゲームの始まりです。小学生のワナナキくんはどのように引き出しを開けたのでしょうか?ここからは現在のワナナキが当時の私の様子を実況放送させていただきます。

少し時間がたったおかけで落ち着いた様子、机のなかの物を取り出すために引き出しを観察し始めました!

鍵は金属製、スパイ映画のようにピッキングなんてできないし簡単には壊せません。
そもそもそこを壊したら親にばれてしまいます。これは確実に怒られますねー。
部屋に定期的に掃除にくる親にばれないためには机の外見に変化があるのはまずいですからね。

おっと、次は下からのアプローチ。
かがんで引出しの下板をみると材質は柔らかいので穴をあけて壊せそうです…ただ合鍵がどこにあるかがわからないし下板に穴を開けたら引き出しとして役に立ちませんしばれる恐れもあります。

おっと、早くもここで手詰まり万事休すか?!…ワナナキくん、うずくまって引出しを押したり引いたりしています…無情にも時間だけが過ぎていく。

しばらくして…

おや、引出しの引っかかりから何かを閃いた模様。
机と引出しの隙間を観察し始めました。
どうやら、この引っかかりがなければいいんじゃない?と考えているようです。
どうやら、隙間から微かに見える金属の板。それが机にあるくぼみにはまり、引き出しがそれ以上開かないようにしていることがわかりました。
この引っかかりさえどうにかすれば外見はなにも損なわずに引き出しを開放できます。正に一石二鳥。

おや、ここでワナナキくん子供部屋からでていきました。どこへいったのでしょう?
すぐに戻ってきました。
手に何かを持っていますね…あれはまさか、「ノコギリ」だ!父の書斎の工具箱からノコギリを黙って借りてきたようです。
しかもあれは金属も切ることができるノコギリだ、ちょっと賢い!
早速、隙間に刃が入るかを確かめています。上手い具合に入りました…あとは本当に切れるのか、それが問題です。
刃を金属にあて、数回押したり引いたり…隙間から状況を確認、どうか?

削れている!ぱらぱらと床に落ちる金属の粉末がその証拠、これならいけます!
ノコギリの刃に刃こぼれもありません!

…という事で、無事?外見になんの変化もなく引き出しを無事開けることが出来て小躍りしたのが懐かしいです。
切り終わったあとにちょっと自分、頭がいいなんて思っていた気がします…完全に自分の予測能力不足が原因なのですが。
勿論、そのあとは鍵をかけられなくなってしまいましたが仕方がありません。
机を傷物にしてしまったなぁ、とガッカリしたのも今ではよい思い出…。

この話を書き終わってから母に。

ねぇ、机の引き出しの鍵…壊れてるの知ってる?
知らない、なんで?

なんでもありません、理由は内緒です。

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