魅惑のチョコレート ~ カサ・アマリエ

初版 2022/07/25 15:00

改訂 2024/09/07 10:14

皆さんは「アマリエ」というスペインのチョコレートをご存知でしょうか。1797年創業のバルセロナの会社の製品です。ミュシャの絵の缶に入っていることでも有名かもしれません。パッケージデザインが良いだけでなく、実際とても美味しいチョコレートです。

金属製の缶にはミュシャの絵が描かれており、リーフ型のチョコレートが入っています。アーモンド(スペイン産)のチョコレートが絶品ですが、残念ながらアーモンドのチョコは日本ではほとんど売っていません。

ケースのミュシャの絵柄は三種類。左上から「夢想」右上「桜草」左下「ビザンチン」、右下「カフェ」のみラファエル・ド・ペナゴスの作です。

2018年、バルセロナに行った際、この会社の三代目経営者アントニ・アマリエ氏の邸宅、カサ・アマリエを見に行きました。

グラシア通りに「不協和音の一角」と言われる場所があります。当時モデルニスモの建築家として有名だったガウディ、モンタネール、カダファルクの三人が100メートルの間に競い合うように邸宅を作りました。それぞれが美を競い合う統一感の無い建物のせいで「不協和音の一角」と呼ばれるようになったのです。右はガウディ設計の「カサ・バトリョ」で、その左にあるギザギザ三角の家が今回ご紹介するガダファルク設計の「カサ・アマリエ」です。

この階段状の三角屋根は「オランダ風切妻屋根」と言われています。バルセロナの建物ではまず見ないゴシック様式です。ゴシックといってもかわいい感じですね。

下から見上げたカサ・アマリエです。エスグラフィアートという壁に文様を彫った特徴的な外観です。これは日本の家紋にあたるもののようで、それぞれの家固有の模様があるようです。このエスグラフィアートは、北部セゴビアの家々にも見られました。

入口の柱には守護聖人サン・ジョルティの像があります。

受付を終えて入口を入ったところです。正面左にアマリエの経営するカフェが見えます。

この丸型のステンドグラスはどの場所にも置かれておりとても美しいです。

ホール左の照明です。この丸い鮮やかなガラスが邸内デザインのベースとなっています。

この階段からカサ・アマリエの見学ツアーが始まりますが、カサ・バトリョと違い、ガイドさんが邸内を説明する形式になります。日本語ツアーがないので私達は英語の説明を受けました。見学前に靴の上に靴袋のようなカバーを掛けること求められ、その後館内を歩きます。2015年に改修が終わり、とても建物を大切にしていることが分かります。となりのカサ・バトリョは「東博の鳥獣戯画展」を思わせる大混雑ですが、こちらはとても人が少なく快適です。ツアーは12名の定員なのですが、私達夫婦を含め計4人と余裕のある見学となりました。

入口ホールの彫刻と梁です。かなり装飾的な外観になっています。

天井は吹き抜けでステンドグラスが嵌められています。明るく開放感があります。

赤いカーペットの刺繍も大変複雑です。段差も小さく昇降がしやすい階段になっています。

ホール天井のステンドグラスです。アールヌーボーを思わせる模様が美しいですね。

天井ホール全面がステンドグラスというのも大変珍しい気がします。

ちょっとした窓の装飾もきれいです。窓の丸模様とランプシェードの丸が共鳴しています。

窓が大面積になるとこんな感じになります。

窓からグラシア通りが見渡せますが、これがカサ・バトリョでしたら、のんびり外を眺めることもできません。

メインダイニングです。暖炉の前で寛ぐ木製の椅子と一体になった木枠の珍しいデザインです。光が入って良いですね。

奥の暖炉はこんな感じになっています。

美しいリビングルームです。色の組み合わせが素晴らしいですね。

19世紀初頭らしい装飾的な天井。

一方では古いイスラム建築を思わせる天井も見られます。これだけいろいろな要素を盛り込んでも「不協和音」にならないのは見事です。

こちらも邸内で使われているイスラム様式のアラベスク風タイル。

ドアノブはアールヌーボーらしい優雅な曲線を描いており、とても手間の掛かった造作になっています。

娘さんの寝室のベッドも凝った彫刻が施されています。

こちらはまた別の部屋の天蓋付ベッド。

至る所に見られる壁紙の美しさ。

廊下も手抜きの無い美しさ。

タイルも本当にきれいです。

陶器のコレクターであったアマリエ氏のコレクションルーム。私もこんなところに若狭塗を飾りたいです。

コレクションケースがまた素晴らしい。

ツアーの最後に一階の階段ホールで、アマリエのホットチョコレートが出されます。ちょっと塩味が効いていてとても美味です(私も自分で作るココアには必ず塩を入れます)。これをチュロスに付けて食べたいです!

カサ・バトリョも良いですが、このカサ・アマリエも素晴らしい邸宅なので、バルセロナに行かれた際は是非見て欲しいと思います。

#思い出

#邸宅

#アールヌーボー

#ガウディ

1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。

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    レLEGOの日記

    2024/01/28 - 編集済み

    見学できるんですね😳

    すごいことだ!

    ホットチョコレート、美味しそうです🤤

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      グリーン参る

      2024/07/03

      レLEGOの日記さん、
      お返事しておりませんでした。本当に申し訳ありません。

      カサ・アマリエはガウディーの邸宅と違ってツアーという形でのみ見学が可能です。ですが参加する価値は十分あります。ガダファルクの家はとても美しいインテリアで、ガウディより甘い印象。お客も少なくとても快適に見学できます。靴にカバーを掛けて中を歩かせる気の使いようで、とても大切に保存されているのが分かります。見学後は下の売店でチョコレートを購入すると気分もアゲアゲ。
      カサ・バトリォの隣ですので、併せて見学すると楽しさが倍増します。

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      レLEGOの日記

      2024/08/18

      靴にカバーを掛けさせるとは、相当気を使っていますね。
      歴史あるものを大切にする、素敵なことだと思います😄

      最近サボってて、返信が遅くなってしまいごめんなさい。
      ボチボチ復活しようと思っているので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします🙇

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      グリーン参る

      2024/08/21

      明治村ではありませんが、このカサ・アマリエは非常に大切に保護されている建物です。見学客もとなりのカサ・バトリオと比べて相当に少ないですので、とても落ち着いて内装を堪能できます。
      画像は数年前に行った旧岩手銀行です。

      レLEGOさんのコレクションの公開を楽しみにしております。
      こちらこそ宜しくお願い申し上げます。

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    グリーン参る

    2024/09/06 - 編集済み

    数枚画像を追加しました。

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      レLEGOの日記

      2024/09/06

      こんなところに住むって、どんな気持ちなんでしょうね。
      毎日美しいものに囲まれて、時間が緩やかに過ぎて行くのでしょうか。

      まだ先のことだと思いたいですが、こういうところで穏やかに人生が終わるといいなぁと思います。

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      グリーン参る

      2024/09/07

      レLEGOの日記さん
      これがすべて施主さんの希望通りのデザインか分かりませんよね。ガダファルクの家が、アマリエファミリーにとって居心地の良い場所であればいいなぁと思います。私は趣味の良い家だと感じました。
      家は穏やかでありながら明日への活力を培うところですから、私はカサ・アマリエは○だと思います。

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      レLEGOの日記

      2024/09/07

      そういえば居心地のいい家って、家族も含みますよね。
      どんなに立派な家でも、そこに住んでいる人達の関係が悪いと、ギスギスした居心地の悪い家になってしまう。

      明日への活力を培うためには、家や家具のデザインだけではなく、そこに住む人達も重要ですね。

      この家がアマリエファミリーにとって、居心地のいい場所だったらいいなぁと、私も思いました😄

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