僕ハギえもん 萩蒔絵吸物椀
初版 2022/07/17 10:51
改訂 2024/07/31 21:13
明治末から大正の頃と思われる蒔絵椀です。この頃、輪島は漆の質、蒔絵の技量のピークと言っていい時代だと思います。(後年の輪島の漆は油分が多くなります)
十客揃い、蓋の表裏に蒔絵、身は黒漆のみで蒔絵はありません。
この椀も湯焼けもなく、ほとんど使われていません。
私はこの胴が張ったプロポーションが大変気に入っています。しかも持ちやすい。
橙と黄の二色で萩の花が描かれています。蓋の上を涼しげな風が吹き渡るようです。
蓋の絵柄は手描きなので、一客ずつそれぞれ微妙に違います。
拡大しても漆絵は正確で、葉の部分も単調にならないように変化を付けています。
椀木地にも狂いはなく、製作前に時間を掛けて木地を十分乾燥させているのが分かります。
蓋裏には瓢箪の蒔絵。洒落ています。
共箱は簡素な作りですが、真田紐が付けられ持ち運びも便利です。製作工房は分かりません。
数客並べると萩の森を歩いているような気分になります。懐かしい日本の野山の景色を見るようです。
華美でなくても美しい、輪島塗の真骨頂です。
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