「加賀のお蘭」~蘭蒔絵吸物椀
初版 2022/08/02 16:26
改訂 2022/12/25 13:37
今思い出すと、「エースをねらえ!」に出てくる高校生は皆ずいぶん老けた、もとい「成熟した若者」でしたね。宗方コーチでさえ二十代後半、藤堂さんなんて高校生でも尾崎紀世彦みたいなもみあげでしたし、お蝶夫人のベルサイユのマダム然とした雰囲気は17-18歳とは思えません。
中でも「加賀のお蘭」こと緑川蘭子のキャラ設定は特異でした。「人生とは不条理なもの」ということを体現していた登場人物だったと思います。
さて加賀蒔絵ではないかと思われる蘭蒔絵吸物椀をご紹介します。共箱には驚異の「百人前」の文字が。さらさら描いていますが、めっぽう腕の良い蒔絵師さんです。
ここでこのお椀を「加賀のお蘭」と呼ばせて頂きます。

十客揃いの11センチほどの小型の吸物椀です。とても質の良い黒漆を使っています。明治初期頃の製作でしょうか。

蓋と身の内外に蒔絵を施します。

絵柄もよく練られていますが、実に練達な蒔絵師さんです。

蘭の葉が実に伸びやか。

ハッブル望遠鏡の写真にも似ています。

わずかに椀の胴をそらせた幕末から明治初期のやや古いタイプの椀形状です。

金から銀に変わるグラデーションの上手い事。

身の内側、蘭の絵柄もシャープなのに可憐です。

箱書には「百人前」の文字。作る方はもちろん大変ですが、いったい誰がこんな椀を百も作らせたのでしょうか。すごい注文主が居たものです。
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