輪島塗 鳳凰蒔絵日の出椀~錦光堂作

初版 2023/04/19 21:53

改訂 2023/05/18 01:47

久々にお椀のアップを致します。輪島の鳳凰蒔絵吸物椀です。

十客の椀ですが、共箱には「弐拾人前の内」と書かれていますので、元々二十客揃いの注文で作られたはずです。

大振りのふっくらとした吸物椀で、蓋と蓋裏に白漆と金蒔で鳳凰の絵柄が描かれています。

木地は大変薄く、大きさの割にとても軽いお椀です。糸輪も低く作られて上品です。

鳳凰の金の縁取りはとてもシャープな筆捌きで、大変上手い蒔絵師さんの手によるものです。

蓋裏をめくると鳳凰の尾の羽根が伸びています。このあたりのセンスの良さは輪島ならではです。

薄く狂いのない素晴らしい木地師さんの仕事。木目がほんのり透けていますね。使われた朱漆も質が良いです。何度も重ね塗りする輪島塗の仕上がりでこの薄さ、最初の素木地は大袈裟ではなく、日光に当てると透けて見えるくらい薄いものだったと思われます。

高台も丁寧な作りです。

桐製の共箱。「鳳凰蒔絵日の出椀」と書付があります。

今は無き輪島の錦光堂さんの製作です。

蓋裏に貼られたシールです。

明治に錦光堂を創業した「廣瀬嘉助さん」ですが、内国勧業博覧会で褒章も受けた名人です。私はこの方の作る青漆の皿も使っていますが、派手さはないものの大変見事な出来栄えです。この吸物椀も明治後期から大正初期の製作と思われます。

1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。

Default