バロックはここから始まった~『聖マタイの召命』(サン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会)
初版 2023/11/05 18:15
改訂 2023/12/18 11:22
パンテオンから歩いて2-3分のところにこのサン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会があります。名前の通り、「ローマに住むフランス人のための国民教会」です。それにしてもローマの教会名の長さにはいつも辟易してしまいます。
1589年の完成ですが、外見は素っ気ないくらい地味です。
しかし、中は一転バロックらしい絢爛豪華な装飾。
遠くの主祭壇の絵はフランチェスコ・バッサーノ作 1589年『聖母被昇天』。近くで写真を撮り忘れました。
壮麗な雰囲気が漂いますが、バロックの教会はどちらかというと「背脂チャッチャのコッテリ系」です。
17世紀前半に描かれたドメネッキーノの聖セシリアを描いたフレスコ画。
内装、天井画も素晴らしいのですが、この教会は何と言ってもコンタレッリ礼拝堂のカラヴァッジオの祭壇画3点で有名です。左から『聖マタイの召命』『聖マタイと天使』『聖マタイの殉教』
そのままでは真っ暗で絵はよく見えないのですが、礼拝堂付属のコイン投入機に1ユーロ入れると2分間、2ユーロで4分間、3つの絵に照明があたり、絵をきちんと見られるようになります。みんなこの絵を見たいので次々にお金を入れていきます。私も4ユーロ入れました(笑)。
カラヴァッジオのメジャーデビュー作と言っていい『聖マタイの召命』。バロック絵画はここから始まったと言われる傑作です。しかし、どんなに頑張ってもこの角度が限界。やはりこの傑作を真正面から見られないのは残念です。
実際の採光窓からの光と画中の光が見事に一体となって、とてもダイナミックな絵になっています。
いまだにペテロはこの指さしている男性か、コインを数えている若者か結論が出ていないそうです。
『聖マタイと天使』マタイの驚いた瞬間をストップモーションのように見事に描き込んでいます。
『聖マタイの殉教』ギリシャ神話のようなダイナミックな構成ですね。
そういえばロンドン・ナショナルギャラリーで、ルカ・ジョルダーノのこんな絵を見たことを思い出しました。
チャールズ・メリン作「幼きキリストへの崇拝」1640年頃
作者失念しました。
エティエンヌ・パロセル作「天上の聖ジョヴァンナ」(1742)
この天井画もドメネッキーノの作品です。
祭壇画は大型で取り外し出来ないものがほとんどです。展覧会で日本に来ることもなく現地に行かなければ見られませんが、トレドの『オルガス伯爵の埋葬』同様、苦労しても訪れる価値があると思います🎵。
1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。
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