明治後期~大正 輪島熊谷形吸物椀

初版 2022/12/24 20:18

改訂 2023/06/01 08:25

明治後期から大正頃の製作と思われる輪島の吸物椀です。箱書に「熊谷形」と書かれていますが、この少々平たくてわずかに反りのある椀の形を「熊谷形」というのでしょうか。私は初めて聞きました。椀のサイズは最大で11.5センチほど、あまり大きくはありません。

十客揃いのお椀です。

黒漆であまり目立たない模様ですが、上品でとても美しいです。

安定性が良いうえに、椀としては最高と言っていいとても美しい形だと思います。糸輪がわずかに反っており、持ち上げた蓋を落としづらい構造になっています。

見る向きを変えてみても蓋と身の模様が連続しており、とても丁寧な蒔絵です。

湯焼けは全くなし。使われていません。

糸輪も薄い繊細な作りです。

銀蒔が美しいです。

これは花弁なのでしょうか。ざらざらした微妙な触り心地。

全部で二十客作られたようですが、手元には十客のみです。

派手さはありませんが、輪島塗らしい完成度の高い、素晴らしいデザインセンスだと思います。

1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。

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