『勝負師伝説 哲也』コンプリートDVD

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週刊少年マガジンに連載されていた『哲也-雀聖と呼ばれた男』のアニメ化作品。
全20話をまとめたコンプリートボックスで、初回生産限定と書かれていますが、今でも新品で購入できる模様。
麻雀を知らなくても十分面白い作品ですが、知っていればさらに楽しめます。

大塚周夫さんは晩年、芝居におけるリアリズムの追求に非常に熱心だったことはインタビューで度々口にしていますが、アニメーションにおけるリアリズム表現のひとつの到達点はこの『哲也』の房州だと思います。
房州の「麻雀以外に何もできない人間」という職人気質なキャラクター像はもちろん、作品の舞台が太平洋戦争直後の混乱期真っ只中の日本であり、大塚さん自身が当時の空気を肌身で知っていることも、大きな要因でしょう。

18話『別れの天和』においては、アニメにおける演技表現を超えているとも思える程の実在感。
インタビューで房州のことを口に出していたかはわかりませんが、芝居の力の入れ方から、このキャラクターを大塚さんが非常に気に入っていたのは間違いないと思います。

声優陣も物凄い力の入れようで、ナレーションの青野武、ゲストの肝付兼太、柴田秀勝あたりは往年の声優ファンにも嬉しいところ。

そして大好きな戸谷公次さんが演じる印南は最高というほかありません。
大塚周夫さんの後継には戸谷さんが相応しいと思っていたのだが、あまりに早いお別れとなったことが今でも悔やまれます。

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