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『デビルズ・ゾーン』デジタルリマスター版BD
1979年アメリカ作品。 デヴィッド・シュモーラー監督。 青春を謳歌する若者5人が車の故障で立ち往生し、ガタイのいい初老の男に助けられたもののその男は…。 『悪魔のいけにえ』に触発されたホラー映画の中の一本。 しかし『悪魔のいけにえ』のリアルさに比べると、マネキンなどの物体を操る超能力を持った大男に襲われるというかなりオカルトチックな設定。 作品の内容に反してピノ・ドナッジオによる音楽が妙に美しいのが印象に残ります。 マネキンを操る不気味な男を演じるチャック・コナーズの吹替えはもちろん大塚周夫。 チャック・コナーズは大塚さんが複数作で担当していますが、『大いなる西部』のバカ息子や『殺し屋ハリー』での片手が機械化された異常な殺し屋など、ろくでもない役が多いような…。 一点、本作の売りを上げるならば、後に『チャーリーズ・エンジェル』や『シーナ』『007 美しき獲物たち』に出演することになるタニア・ロバーツが(被害者役で)出演していることでしょうか。 本作でも抜群のポロポーションを魅せてくれます。
映画ソフト ニューライン チャック・コナーズqqtys
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『ビッグ・リボウスキ』
1998年アメリカ作品。 ジョエル・コーエン監督作品。 ジョエル・コーエンとイーサン・コーエン、コーエン兄弟によるコメディ映画。 時は湾岸戦争真っ盛りで、所はアメリカ西海岸のロサンゼルス。 楽しみと言えば仲間とのボウリングと飲酒とマリファナくらい、そんな冴えない無職の中年オヤジであるジェフリー・リボウスキ(自称“デュード”)が、同姓同名の富豪と間違えられて強盗に入られた上に、腹いせに自宅のカーペットに"用"を足されたところから厄介な事件に巻き込まれていきます。 大塚周夫さんはそんなダメ中年のリボウスキを見ていると元気が出てくるという、謎の語り部を担当。 映画は彼の語りから始まり、そして彼の言葉で幕を下ろします。 出番は少ないですが、少ない分非常に気を使って芝居をしているのを感じます。 元々はパイオニアLDCによってDVDが発売されていたようですが、後に販売元がジェネオンに変わり、現在流通しているのはこちら。 吹き替え版も新たに作り直されており、キャストは一新されています。 新版ソフトの販売年が2012年なので割と最近の新録版ということになるのですが、キャストは往年の吹き替えを思わせるような方々がずらり。 メインが菅生隆之、玄田哲章、二又一成というだけでなく、本当にちょっとしか出てこない脇役ですら広瀬正志、牛山茂、宝亀克寿といった面々。 なぜこんなバカ映画でこの布陣なのか、素晴らしいと言わざるを得ません。
映画ソフト ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント サム・エリオットqqtys
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『殺しが静かにやって来る』BD
1968年イタリア・フランス作品。 セルジオ・コルブッチ監督。 イタリア製西部劇、いわゆる「マカロニ・ウエスタン」の中の一作。 話すことのできない主人公、黒人のヒロイン、悪役の賞金稼ぎ、そして一面雪に覆われた町が舞台と、すべてが異色の西部劇。 しかし映画としては(いい意味でも悪い意味でも)記憶に残る作品です。 主人公の銃がコルトSAAではなく、自動拳銃モーゼルC96というのも変わっていますね。 本作の大塚周夫さんは、実生活においても問題行動が多かった怪優クラウス・キンスキー演じる賞金稼ぎロコの吹替え。 主役のサイレンス(ジャン=ルイ・トランティニアン)は話すことができないという役柄なので、サイレンスとのやり取りは大塚さんの一人芝居ともいえそうです。 (『夕陽のガンマン』で大塚さんが声をあてたルイジ・ピスティリも出演していますが、こちらは森山周一郎さんが担当。ダブルブロンソンですね) 本作の悪役であるロコというキャラクターは、心底恐ろしく不気味で残忍冷酷な男であり、観ているこちら側が本当に嫌悪感を覚えるほどです。 キンスキーの怪演はもちろん、吹き替えの大塚さんもゾッとするような芝居で、大塚周夫が演じた数多い悪役の中でも、その異常さは『悪魔の沼』、『テキサスチェーンソー』と並ぶでしょう。 ※おそらくPALマスターのため、吹き替えが若干早回しになっています。大塚周夫さんの声も少し高く感じます。 残念ながら、これはBDでもDVDでも変わりません。
映画ソフト TCエンタテインメント クラウス・キンスキーqqtys
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『大脱走』製作50周年記念版 BD-BOX
1963年アメリカ作品。 ジョン・スタージェス監督。 あまりにも有名な戦争映画の金字塔。 ソフトパッケージが、どれもバイクにまたがったマックイーンというのが面白い。 そして吹き替えファンから見ると、ソフト発売の際に少しずつ収録されている吹き替えの尺が伸びるという、何度も弄ばれたタイトルとしても記憶されるでしょう。 制作50周年記念のBDでほぼ完全な形になったようですが、それでも二言ほど“わざと”削られているそうです。 差別用語として封印するのか、時代を尊重して残すのか・・・政治的なものが絡むのは実に厄介な話です。
映画ソフト 20世紀フォックス 5000円ほどqqtys
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『勝負師伝説 哲也』コンプリートDVD
週刊少年マガジンに連載されていた『哲也-雀聖と呼ばれた男』のアニメ化作品。 全20話をまとめたコンプリートボックスで、初回生産限定と書かれていますが、今でも新品で購入できる模様。 麻雀を知らなくても十分面白い作品ですが、知っていればさらに楽しめます。 大塚周夫さんは晩年、芝居におけるリアリズムの追求に非常に熱心だったことはインタビューで度々口にしていますが、アニメーションにおけるリアリズム表現のひとつの到達点はこの『哲也』の房州だと思います。 房州の「麻雀以外に何もできない人間」という職人気質なキャラクター像はもちろん、作品の舞台が太平洋戦争直後の混乱期真っ只中の日本であり、大塚さん自身が当時の空気を肌身で知っていることも、大きな要因でしょう。 18話『別れの天和』においては、アニメにおける演技表現を超えているとも思える程の実在感。 インタビューで房州のことを口に出していたかはわかりませんが、芝居の力の入れ方から、このキャラクターを大塚さんが非常に気に入っていたのは間違いないと思います。 声優陣も物凄い力の入れようで、ナレーションの青野武、ゲストの肝付兼太、柴田秀勝あたりは往年の声優ファンにも嬉しいところ。 そして大好きな戸谷公次さんが演じる印南は最高というほかありません。 大塚周夫さんの後継には戸谷さんが相応しいと思っていたのだが、あまりに早いお別れとなったことが今でも悔やまれます。
アニメ 東映ビデオ株式会社 20000円弱qqtys