『殺しが静かにやって来る』BD

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1968年イタリア・フランス作品。
セルジオ・コルブッチ監督。

イタリア製西部劇、いわゆる「マカロニ・ウエスタン」の中の一作。
話すことのできない主人公、黒人のヒロイン、悪役の賞金稼ぎ、そして一面雪に覆われた町が舞台と、すべてが異色の西部劇。
しかし映画としては(いい意味でも悪い意味でも)記憶に残る作品です。
主人公の銃がコルトSAAではなく、自動拳銃モーゼルC96というのも変わっていますね。

本作の大塚周夫さんは、実生活においても問題行動が多かった怪優クラウス・キンスキー演じる賞金稼ぎロコの吹替え。
主役のサイレンス(ジャン=ルイ・トランティニアン)は話すことができないという役柄なので、サイレンスとのやり取りは大塚さんの一人芝居ともいえそうです。
(『夕陽のガンマン』で大塚さんが声をあてたルイジ・ピスティリも出演していますが、こちらは森山周一郎さんが担当。ダブルブロンソンですね)

本作の悪役であるロコというキャラクターは、心底恐ろしく不気味で残忍冷酷な男であり、観ているこちら側が本当に嫌悪感を覚えるほどです。
キンスキーの怪演はもちろん、吹き替えの大塚さんもゾッとするような芝居で、大塚周夫が演じた数多い悪役の中でも、その異常さは『悪魔の沼』、『テキサスチェーンソー』と並ぶでしょう。

※おそらくPALマスターのため、吹き替えが若干早回しになっています。大塚周夫さんの声も少し高く感じます。
残念ながら、これはBDでもDVDでも変わりません。

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    オマハルゲ

    2020/02/22

    k・キンスキーという役者を知ったのはTVで放送された「戦場のガンマン・5人の決死隊」でした。青野武の吹き替えでした。
    インパクトが強すぎて、映画の内容はさっぱり忘れるほどでしたw 正に「怪優」だと思います。

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      qqtys

      2020/02/22

      青野武さんは他にも何本かキンスキーをあてていたようですが、納得のキャスティングですね。
      大塚さんや青野さんのように「エキセントリックな役柄」を得意とする役者でないと、とてもキンスキーの発する狂気を表現できないでしょうから・・・。

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  • Lion

    toy ambulance

    2020/04/08

     昔、日曜洋画劇場で観たように思いますが、それまでに自分が観た映画と違い、カタルシスも救いも無いラストに強烈な印象を持ったように思います。

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      qqtys

      2020/04/10

      DVDにはハッピーエンド版のシーンも収録されていますが、やはり本編の陰鬱な終わり方こそがこの作品の評価を決定付けたのではないでしょうか。
      西部劇を「ただドンパチやって、最後は騎兵隊」というような印象で片付けている人にこそ見てほしい一本です。

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