言葉は時代と場所を映す鏡
先日購入した『殺しが静かにやって来る』ですが、旧版DVDにあったセリフが削られておりました。 『殺しが静かにやって来る』2k特別版BD https://muuseo.com/qqtys/items/173 qqtys 主人公サイレンスに親指を撃ち抜かれた悪徳判事が「私をカタワにしてしまった」という部分です。 もう一点、サイレンスが言葉を発しないことに苛立った保安官に対して、夫の復讐を依頼した女が事情を説明するシーンでも、言葉が切り抜かれているように感じました。 (おそらく、「オシ」と言ったのでしょう) 同様のことは『大脱走』でもありました。「めくらじゃない」というセリフがカットされています。 『大脱走』製作50周年記念版 BD-BOX https://muuseo.com/qqtys/items/63 qqtys 確かに、差別的な用語なので、メーカーとしては面倒ごとは御免被るということで削除してしまう気持ちは分かります。 ただ、例えば『殺しが静かにやって来る』であれば、100年も前の雪降り積もる片田舎で、まともな教育を受けていない人間たちが使う言葉というものは、日本語に訳せば差別的で汚らしいものになるに決まっているわけです。 そういった空気感を伝えようとする意図があって、あえて差別的な言葉を選んで翻訳したのではないでしょうか。 そういえば、イーストウッドの『運び屋』で、主人公の老人アールが、車がパンクして困っている黒人家族に「ニグロ」と声をかけるシーンがありました。 でも、あの映画を見て彼が差別主義者だと思う人はいないでしょう。 ただ少し、時代遅れな人間なだけなのです。 言葉を言い換えただけで世の中が良くなるなら、いくらでも変えていって結構ですが、実際はどんなものだろうと、私は考え込んでしまうのです。 #教えて