糸巻文赤花縁鉢

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底部から口縁にかけて、細い乳白ガラスの筋を幾重にも巻き付けた「糸巻文」の鉢である。ガラスが熱いうちに乳白ガラスの線を巻き付け、成形するという、熟練の技を必要とする手間の掛かった作品となっている。口縁には赤を暈し、襞状に仕上げた花縁鉢と呼ばれるもので、大きさから蜜豆や氷菓子を盛ったものと考えられる。糸巻の技法を用いた製品は大正を中心に数多く作られ、氷コップやコンポート、鉢類、電笠などに多く見られる。乳白の線をさらに細かく、緻密に巻き付けたものは「千段巻」と呼ばれ、こちらも多くの作品が現存している。
白の糸巻が繊細さを際立たせ、涼やかな効果を発揮している。

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