あのゴム紐を、覚えていますか?  ブルドッグ/フォー・リーブス

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ゴム紐を己の演芸に使った成功例としては、まず口にくわえるユートピア、次に彼らのこの曲でのパフォーマンスでしょう。動画検索で改めて見ても、これは奇天烈を極めます。喜多川御大から「ユーたち、ゴムを使いなさい」とか言われたらしいのですが、それにしても。当時は全く笑わなかった、が、45年が経過して、なんなんだこれはと。確かに歌っている最中の演出・小道具としていろんな試みがあったのは事実です昭和歌謡では。しかし、腰に結わえたゴム紐を曲の途中から使いだし、ビヨーンビヨーンと伸ばしたり引っ張ったりするのです。困りましたねこれには。しかも「黙れ うるさいぞお前ら 見ろ 俺の目を」と歌いながら「寄るな 女に用はない 信じろこの俺を」と続く。そして決め台詞が有名な「ニッチもサッチもどうにもブルドッグ」ってもう何が何だか大笑いの錯乱状態ではありませんか。しかし、四人のコスチュームやサディスティックな歌詞から察すると、ブルドッグとは男色相手の、ゴム紐は鞭の暗喩とも解釈でき、実はこれこそジャニー喜多川氏のフェイバリットだったのではと勘繰ることもできます。すでに二人が鬼籍に入りいまや「トゥー・リーブス・レフト」の寂寥。昭和のワイルドな滑稽さ炸裂の怪曲です。

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