YURI MOROZOV ユーリ・モロゾフ (1948-2006)  旧ソ連のアングラ・ザッパ 49枚組ボックス・セット

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60年代後半からすでに、ヘンドリックスとビートルズのファンだったこの人物は旧ソ連内で密かに音楽活動を開始していたようです。当局に監視されながら生涯一貫して膨大な音源を残した、まさにソビエト・アンダーグラウンド・シーンのフランク・ザッパ。赤きシド・バレットという形容もされるようですが、その才能、作品量、表現者としての雑食性、スタジオ・ホリックぶりから連想されるのは間違いなくザッパです。サイケデリック、アシッド・フォーク、現代音楽、ガレージ、ノイズ、フリー・ジャズ、ハード・ロック、エクスペリメンタル、ポップスなど、とにかく時代によってどう変貌するのか予想不可能な鬼才、2014年に出たアルバム「チェリー・ガーデン・オブ・ジミ・ヘンドリックス」(録音は1973年)では、サンブリングながらサー・ポール・マッカートニーその人のドラムスも。国営レーベル「メロディア」のスタジオ・エンジニアという職を持ちつつ、ひそかに才能と欲望の赴くままに自らの音楽を追求していった彼の諸作は1988年以降急激に西側諸国にも認知されることとなり、今ではその音源に容易に接することができるまでとなりました。ただ、この人の音楽の特徴は「濃い」の一言。どんなジャンル/スタイルで攻めた盤にしても、「念」の込め方が尋常じゃないように聴こえる笑。それはもちろん、抑圧された環境下での自由を希求した結果に違いありません。何がでてくるか予想もつかない雑多な音楽性ではありますが、ただ一貫してそこに通底するのはサイケデリアであり、楽曲によってはどれだけヘンドリックスが好きなんだと笑ってしまうほどギターの弾き倒しもあるほど。またビートルズへの傾倒も強く、カバー・トリビュート盤もリリースしています。
2019年には、遺族公認による私家版であり、実に49枚にのぼるボックス・セット「ザ・アーカイブス」が日本のみでリリースされています。全世界5セット、ただし、実質販売はわずか3セット(笑)とのことですが、その質・量ともにただただ圧倒されるばかりです。#beatles #jimihendrix #paulmccartney

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