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KAK/KAK アメリカン・サイケデリック・ロックの名作 1969年
一曲目はカンの「コネクション」を思い出さずにいられない、あちらは何年でしたか、どちらが早いのでしょうか「アンリミテッド・エディション」に入っているムーニーの。二曲目のイントロはクレヨラの「ハリケーン・ファイター・プレーン」を想起させるし、B面一曲目の雰囲気はモビー・グレイプだし、こう書くとあたかもこのバンドはオリジナリティー、絶対性に欠けるような印象を持たれるかもしれません。しかし、本質はその対極にあり、サイケデリック・ロックとして極めて優れた内容と音楽性を持つ名盤だと思います。クイックシルバーメッセンジャーサービスのファンなら直ちに納得していただけるのではないか、どこまでも澄み切った青空の中を縦横に駆け巡りながら上昇し大気圏外にまで突き抜けていくような、透徹したギターの音色、このクリアネスこそカクの身上。これが唯一のアルバムで終わったことが残念な非常にユニークかつ貴重なバンドでした。空中に舞うタンバリンも印象的なアートワークも相俟って、サイケデリック・ロック史に今も鮮烈な存在感を示す一枚でしょう。カントリー調のA面と、キャッチーなリフ、弾きまくりのギターが圧倒的なB面がむしろ逆にするべきだったと確信する米プロモ・シングルもありました。
サイケデリックロック LP, Album エピック揖斐是方
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YURI MOROZOV ユーリ・モロゾフ (1948-2006) 旧ソ連のアングラ・ザッパ 49枚組ボックス・セット
60年代後半からすでに、ヘンドリックスとビートルズのファンだったこの人物は旧ソ連内で密かに音楽活動を開始していたようです。当局に監視されながら生涯一貫して膨大な音源を残した、まさにソビエト・アンダーグラウンド・シーンのフランク・ザッパ。赤きシド・バレットという形容もされるようですが、その才能、作品量、表現者としての雑食性、スタジオ・ホリックぶりから連想されるのは間違いなくザッパです。サイケデリック、アシッド・フォーク、現代音楽、ガレージ、ノイズ、フリー・ジャズ、ハード・ロック、エクスペリメンタル、ポップスなど、とにかく時代によってどう変貌するのか予想不可能な鬼才、2014年に出たアルバム「チェリー・ガーデン・オブ・ジミ・ヘンドリックス」(録音は1973年)では、サンブリングながらサー・ポール・マッカートニーその人のドラムスも。国営レーベル「メロディア」のスタジオ・エンジニアという職を持ちつつ、ひそかに才能と欲望の赴くままに自らの音楽を追求していった彼の諸作は1988年以降急激に西側諸国にも認知されることとなり、今ではその音源に容易に接することができるまでとなりました。ただ、この人の音楽の特徴は「濃い」の一言。どんなジャンル/スタイルで攻めた盤にしても、「念」の込め方が尋常じゃないように聴こえる笑。それはもちろん、抑圧された環境下での自由を希求した結果に違いありません。何がでてくるか予想もつかない雑多な音楽性ではありますが、ただ一貫してそこに通底するのはサイケデリアであり、楽曲によってはどれだけヘンドリックスが好きなんだと笑ってしまうほどギターの弾き倒しもあるほど。またビートルズへの傾倒も強く、カバー・トリビュート盤もリリースしています。 2019年には、遺族公認による私家版であり、実に49枚にのぼるボックス・セット「ザ・アーカイブス」が日本のみでリリースされています。全世界5セット、ただし、実質販売はわずか3セット(笑)とのことですが、その質・量ともにただただ圧倒されるばかりです。#beatles #jimihendrix #paulmccartney
ロック その他 CD CDR 私家版揖斐是方
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椿説弓張月/三島由紀夫
また今年も今日が来たので、1969年11月に横尾忠則のジャケットで発表された三島由紀夫のセカンド・アンド・ラストアルバムを。三島自身が一人で声色を変えて何役もこなした自作の朗読パフォーマンスで、没後半世紀余、歴史的・文化的な価値は損なわれるどころか、ますます高まっていると思います。が、繰り返して聴く気が起きないのですな、どうも。後年、ジャケット改悪でシーデー・リイシューされたとて、それでも聴けない笑。当たり前だが、本物すぎて、どうしても馴染めないのです。ただ、兜をかぶっているのではなく、兜にかぶられている態の先生の写真と横尾アートだけが印象に残るばかりなのでした。かかる日になどて三島は英霊となりたまいし。そんなフレーズが浮かぶ憂国忌です。#三島由紀夫 #横尾忠則
歌舞伎 LP, Album CD コロムビア揖斐是方
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第51回蜥蜴忌 オリヴァー・ストーン映画の小道具 #2
ファーストのジャケット・レプリカです。故人が最後に聴いたのはこのB面だったとか。出来過ぎた話ですが、存在そのものがフィクションのような人物でした。#oliverstone #valkilmer
ロック映画の小道具 LP, Albumのジャケット・レプリカ 高かったのは確かです揖斐是方
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第51回蜥蜴忌 オリヴァー・ストーン映画の小道具 WAITING FOR THE SUN
68年の三作目です。但し盤は入っておらず裏のデザインもオリジナルと同じシングル・ジャケット。表題曲はバンドの友人であるカメラマンとシンガー、ギタリストの三者で作詞・作曲の件で揉めて、結果的に本作には収録されなかったということです。そのエクスキューズとして、そのカメラマンにジャケット写真撮影を依頼したようですが。#valkilmer #megryan #oliverstone
ロック映画の小道具 LP, Albumのジャケット・レプリカ 高かったのは確かです揖斐是方