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ザ・サイレンサー 「恋の夜汽車」 自主製作盤GS
現在、グルーブ・サウンズの音源というものはとっくに大方がシーディー化も終え、しかしアナログのオリジナル盤というものも、たとえ帯付きであっても以前のように高価のままかといえばそうでもなく、もはや当時のアマチュアバンドが自主製作したレコードの世界だけが、中古レコード市場の相場という点ではエライ事になってしまった感があります。愛知県のバンドによる、おそらく1968年頃に発表された唯一のシングルがこれです。簡単に現在ではユーチューブでタダで聴けるわけですが、実際に針を降ろして聴くとなると、そこまでこぎつけるのは色々としんどいものが(笑) サイレンサーの特徴は、まずメンバーは全員の名字が漢字一文字(それは別にどうでもよいか)、当時のGS人気投票では44位と健闘、あのヤング720にも出演など、ローカルバンドながら頑張っていたようです。また、解散後はメンバーのうち二人がコスモス・ファクトリーに参加ということです。この曲はとにかく素朴な味わいが素晴らしく、シンプル、ストレート、オーソドックスなガレージ・ナンバーとして、かつ、いかにもあのイノセントな時代ならではの情熱がかんじられる佳曲です。
グループ・サウンド 7" Single 日本マーキュリー揖斐是方
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限定450枚・トゥルー・モノラル盤リイシュー エレクトリック・レコーディング・カンパニー・エディション (2023)
日本時間の1月28日あたりでしたが、プレオーダーが一瞬でソールドアウトとなった一枚です。モノラル盤のリイシュー、もううんざりです。開けて聴く気もしません。しかし己に課した無意味な義務感で怒りながら買うこの倒錯。我ながら呆れます。しかも尋常な価格ではない。このコレクターという病はいかんともしがたいのでしょうか。大笑いですが。 いろいろと調べるといかにこれが特別なプロセスを経て製作されたレコードなのかが縷々綴られています。モノラルカートリッジで高価なオーディオセットで再生すれば、正面ど真ん中にまだ23歳の小生意気な青年が生々しい存在感で歌っているのでしょう。しかしあいにくもう、高音質や存在感や臨場感で欣喜雀躍するような時期を私はとっくに過ぎ去りましたので、いかなるインパクトも受けないでしょう。聴く気もしないものを大枚はたいて買っている自分のあり方について出る溜息とでも申しましょうか笑。
アシッド・ロック THE DOORS LP, Album エレクトリックレコーディングカンパニー エレクトラ揖斐是方
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ミス・プレスのような見本盤 聴かれなかった『淋しかない』 歌・珊瑚一
まず、ジャケットの端をちぎり取ってあるのはやむをえないでしょう。1966年11月発売のビクター盤ですから当然ベルマークが印刷されていた。それはともかく、三浦綾子作詞による「淋しかない」を聴こうとしていました。珊瑚という人がどこの誰かは全く関知の外ですが。しかしながら聴こえてきたのはまったく歌詞の違う別の曲。レーベルを見ますと『黄色い道』とある。このレコードはビクター・SV-492 『ナナカマドの並木道 b/w 淋しかない』であることに疑いの余地はありません。歌詞カードにも『淋しかない』は印刷されている。ところが、B面のレーベルにはSV-415 の『黄色い道』が。A面のマトリクスがVEY-1891なのに対して、B面のそれはVEY-1654。 『黄色い道』のシングルは『ナナカマドの並木道』より以前に発売されたものでしょう。レコードのミス・プレスというものは実に様々なパターンがありますが、当初はB面をここまで自信をもって堂々とミスしているレコードというのもちょっと珍しいのでは。と思ったのですが、実はこれは「ミス」していないのかとも思えてきました。これは白ラベルの見本盤なので、以前に出したシングルA面のダメ押し、テコ入れのために敢えてこういうものにしたのではないのか?ただし、このプロモ専用のジャッケットまで製作はしなかったと、こういう事情だったのかもしれません。なんにせよ、変なレコードではあります。勿論、『黄色い道』のほうは最初の数十秒しか、『ナナカマド』のほうはまったく聴いておりませんけれども。
歌謡曲 7" Single プロモ ビクター揖斐是方
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暗い夜 b/w テスト・パターン 古谷充とザ・フレッシュメン
クール・ジャズという言葉がありますが、本当に「クール」な日本人によるジャズとはこういう曲を指すのではないかと思います。普段はジャズ・ボーカルものなど全く聴かないのですが、この曲だけは別格。何度聴いても、昭和の大人たちによる、大人のための音楽であると痛感します。確か小谷氏が20代中ごろの録音のはずなのですが、そのスモーキーな歌声のすばらしさ。言うまでもなく関西ジャズ・シーンの重鎮だった小谷氏、一昨年の逝去が惜しまれます。B面の「テスト・パターン」の歌詞、「夕暮れ前のテレビに映る テスト・パターンのその顔」この曲のリリース当時はまだテレビ放送の黎明期で、テレビの放送開始は夕方からだったはずなのでこういう歌詞。これは誤った解釈だろうか。ちょっと古すぎてそこは定かではありません笑。いずれにしても、日本のジャズ史に残る極めてモダンかつユニークなキラー・チューンだといえるでしょう。
ジャズ 7" Single テイチク揖斐是方
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YURI MOROZOV ユーリ・モロゾフ (1948-2006) 旧ソ連のアングラ・ザッパ 49枚組ボックス・セット
60年代後半からすでに、ヘンドリックスとビートルズのファンだったこの人物は旧ソ連内で密かに音楽活動を開始していたようです。当局に監視されながら生涯一貫して膨大な音源を残した、まさにソビエト・アンダーグラウンド・シーンのフランク・ザッパ。赤きシド・バレットという形容もされるようですが、その才能、作品量、表現者としての雑食性、スタジオ・ホリックぶりから連想されるのは間違いなくザッパです。サイケデリック、アシッド・フォーク、現代音楽、ガレージ、ノイズ、フリー・ジャズ、ハード・ロック、エクスペリメンタル、ポップスなど、とにかく時代によってどう変貌するのか予想不可能な鬼才、2014年に出たアルバム「チェリー・ガーデン・オブ・ジミ・ヘンドリックス」(録音は1973年)では、サンブリングながらサー・ポール・マッカートニーその人のドラムスも。国営レーベル「メロディア」のスタジオ・エンジニアという職を持ちつつ、ひそかに才能と欲望の赴くままに自らの音楽を追求していった彼の諸作は1988年以降急激に西側諸国にも認知されることとなり、今ではその音源に容易に接することができるまでとなりました。ただ、この人の音楽の特徴は「濃い」の一言。どんなジャンル/スタイルで攻めた盤にしても、「念」の込め方が尋常じゃないように聴こえる笑。それはもちろん、抑圧された環境下での自由を希求した結果に違いありません。何がでてくるか予想もつかない雑多な音楽性ではありますが、ただ一貫してそこに通底するのはサイケデリアであり、楽曲によってはどれだけヘンドリックスが好きなんだと笑ってしまうほどギターの弾き倒しもあるほど。またビートルズへの傾倒も強く、カバー・トリビュート盤もリリースしています。 2019年には、遺族公認による私家版であり、実に49枚にのぼるボックス・セット「ザ・アーカイブス」が日本のみでリリースされています。全世界5セット、ただし、実質販売はわずか3セット(笑)とのことですが、その質・量ともにただただ圧倒されるばかりです。#beatles #jimihendrix #paulmccartney
ロック その他 CD CDR 私家版揖斐是方
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第51回蜥蜴忌 オリヴァー・ストーン映画の小道具 #2
ファーストのジャケット・レプリカです。故人が最後に聴いたのはこのB面だったとか。出来過ぎた話ですが、存在そのものがフィクションのような人物でした。#oliverstone #valkilmer
ロック映画の小道具 LP, Albumのジャケット・レプリカ 高かったのは確かです揖斐是方
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第51回蜥蜴忌 オリヴァー・ストーン映画の小道具 WAITING FOR THE SUN
68年の三作目です。但し盤は入っておらず裏のデザインもオリジナルと同じシングル・ジャケット。表題曲はバンドの友人であるカメラマンとシンガー、ギタリストの三者で作詞・作曲の件で揉めて、結果的に本作には収録されなかったということです。そのエクスキューズとして、そのカメラマンにジャケット写真撮影を依頼したようですが。#valkilmer #megryan #oliverstone
ロック映画の小道具 LP, Albumのジャケット・レプリカ 高かったのは確かです揖斐是方
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生誕80年 NILSSON 'THE TRUE ONE' Pandemonium Shadow Show 1967 Promo Box ハリー・ニルソン
存命ならば本日で満80歳となったハリー・ニルソンのファースト・アルバム、これはそのプロモーション用のボックス・セットです。期待の新人、ニルソンに対して、RCAレーベルが非常に強力なバックアップでプロモーション活動を行った証明でしょう。内容はステッカー、バッヂ、ゴム風船二種、プロモ・ポスター、ファンクラブ・カード、宣材写真、プレス・リリースなどが、ブラック・レーベルのファースト・アルバムのモノラル盤とともにセットされています。また、幸運にもこのコピーには本人のサインと署名入りの手紙も入っていました。アメリカの一人ビートルズによるサージャントペパーへの回答として、素晴らしい出来を示すサイケ・ポップ・アルバムですが、あれほどビートルズ四人からの賞賛を得て、しかも友人・仕事仲間として絶大な信頼を置かれていたアーティストであるにもかかわらず、早すぎた死とともに過小評価が残念でなりません。#beatles #yardbirds #bs&t #philspector #ringostarr #johnlennon #アナログレコード #プロモーション用 #サイン入り #psychedelicrock
ロック LP Box set RCA揖斐是方
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Live 68.7.24 ジャックス
日本人が純粋な自己表現としてロックを歌ったのはいつで誰だったのか、つまり日本のロックの真の原点は、という話題になりますとどうしても1970年以降から話が始まりますが、困った傾向です。歴史をもうそろそろキチンと見直さないと。60年代後半の世界的なロックの盛隆の時代、現役時は不遇でとても短い活動期間ながら、80年代以降急激に再発見・再評価されたこのバンド、日本のロックを云々するならばジーエスとはまた別の文脈で最も重要な存在、それがジャックスでしょう。。1973年にポスター付きで数百枚だけプレスされたというプライベート・ライブ盤です。内容については最早説明不要、ジャックスの世界、ジャックスの「奇跡」としかいいようがありません。80年代は15万から20万はしていたレコード、当時に作られたボーナス曲収録の二枚組アセテートのプライベート盤、そしてジャケットを展開すると裏面がオリジナル・ポスターになっている後年の外国製コピー盤、さらに二枚組で作られたCDなど。オフィシャルでリリースされることはないと思いますが、日本のロックを語るうえで極めて重要かつ貴重な録音だと思います。#早川義夫 #JACKS #アナログ・レコード
ロック プライベート盤 トータルで六桁揖斐是方
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VINCEBUS ERUPTUM ブルー・チアー・ファースト・アルバム BLUE CHHER
ヘビー・ファズ・サイケは数多く聴いてきました。時には、あのブルー・チアーのような、と形容されるものも。しかしどれもこのアルバムのような歪で奇異な面白さがなく、昔ならハード・ロックの一言で片づけられるようなものばかり。本盤の最大の特徴は、ボーカルと演奏が馴染んでいない点、その意識的な乖離にあります。たいていはその点をネガティブに評されるのですが。研ぎ澄まされクリアーな自意識はボーカルが、混沌とした、朦朧とした外界の暴虐は演奏が、それぞれ表しているようにしか思えない。この奇妙な共存にこそ、本盤の 凄さがあるのではないでしょうか。セカンドで早くも「当時の」ハード・ロックでしかなくなってしまうのですが。数あるサイケデリック・フェイバリットの中でも突出して拘り、大事にしている一枚です。日本・米国のオリジナル盤と、プロモーション用ポスター、再発やオリジナルの日米シングル(国内初版は370円)、後年のリイシューシーデーやビデオディスクでのサマータイムブルース、米オープン・リールなど。#アナログレコード #日本盤 #帯付き #psychedelicrock #LPレコード #bluecheer
サイケデリック・ロック LP, Album,オープンリール CD フィリップス、マーキュリーなど揖斐是方
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ボブ・ジェイムス ファースト・アルバムの日本盤。+その他。
クロスオーバーだとかフュージョンに関しては門外漢ですが、この人物のこのファーストだけはアヴァンギャルド、フリー・ジャズ、実験音楽の文脈で傑作として語られているのではないでしょうか。1965年のニューヨーク録音。日本ビクターから出ていたESP盤と、米オリジナルのESP、後年のリイシューシーデーなど。正しくサイケデリックの時代を反映する非日常の音、大成してからのボブを知る人にとってはおよそ考えられない作風だと思います。それにしてもESPというレーベルの放つ異様なオーラ、全タイトル紙ジャケットで再発するべき。
フリー・ジャズ ESP 失念揖斐是方
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ERKIN KORAY エルキン・コライ 1967~1976 限定20部 エクスクルーシヴ・エディション
トルコのロックといえばジャム・カラジャもバルシュ・マンチョも当然だけれど、やはりこの人がフェイバリット。1999年にシャドックスから出た布張りの重いゲートフォールド・カバーによる方の限定盤です。アナドル・サイケデリックの帝王と呼んで差し支えないでしょうが、やはり内容は素晴らしい。ナンバー14。#アナトリアンロック #アナログレコード #psychedelic 。
サイケデリック・ロック LP, Album シャドックス揖斐是方
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存在しないはずの帯付き紙ジャケット
最早この国では誰一人興味も関心も持たなくなった古い米国のグルーブの、いずれも「紙ジャケットCD」としては発売されていないタイトルの一部です。だからどうしたといわれれば、どうもしないと答える他なく、たった一人で世間に見向きもされないテーマで物を集めることの空しさをかみしめています。それでも悦に入ってるのであるから、始末が悪い。#psychedelic #CDアルバム
ロック CD 安くない。揖斐是方
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『モリソン・ホテル』コレクションの一部
昨年の50周年記念版は開封して聴くまでもない愚作でしたが、それまでの何十年間はこの作品にも色々と拘ってきました。バンドとしては守勢に入り、今となっては同時期の新鋭等に比して鈍重かつ単調な印象を受ける盤ですが。集めてきた物のごく一部がこれらです。#アナログ・レコード #帯付き #ゴールド・ディスク #シングル盤 #8トラック・カートリッジ #CD
ロック LP, Album、CD 各国のエレクトラ揖斐是方
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HARVEY BROOKS/JAMS with JIMI HENDRIX
故・ハーヴェイ・ブルックス氏ご本人から直接送っていただいたカセット・テープ。直筆サインが入っています。バターフィールドやフラッグでの演奏が入っているのは当然としても、問題はスティーヴ・ポールズ・シーン・クラブでの演奏。1968年3月7日木曜日の夜の「レッド・ハウス」が収録されています。確かにこの当時、特に2月ごろはバディ・マイルスや氏とともにヘンドリクスは頻繁にジャム・セッションをしていたようですが、この日に関してはマッコイズのメンバーとの説もあり、だとすれば氏ではなくランディ・ホブセンがベースではないかと。氏は自身とともにギターにジョニー・ウィンターとクレジットしている点から考えても、事実誤認のような気もします。しかしまた一方で、あの有名な「スカイ・ハイ」ジャムでは自分が弾いていると堂々と宣言しているに等しく、なんとも釈然としないのであります。#jimihendrix
ロック カセットテープ プライベート版揖斐是方