角川書店 角川文庫 髑髏検校

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昭和五十年六月十日 初版発行
昭和五十年六月三十日 再版発行
発行所 株式会社角川書店

昭和14年(1939年)に雑誌「奇譚」に連載された横溝正史の中編時代小説「髑髏検校」。
日華事変が泥沼の様相を呈していた頃、探偵小説の執筆が儘ならなくなった横溝正史が捕物帳などの時代小説を書いていたことはよく知られていますが、そんな時代にブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」を翻案して書いたといわれている、横溝正史の異色作ですね。江戸を舞台に、ドラキュラ伯爵に相当する不知火検校(髑髏検校)と、ヴァン・ヘルシング教授に相当する鳥居蘭渓の戦いを描いた、まさに正統派の吸血鬼譚。しかし、検校の正体に独特の味付けが施されていて、歴史上の某有名人であることが明かされる驚愕のラストは必見です。
本書には表題作の他に中編「神変稲妻車」が併録されています。角川文庫には昭和50年(1975年)に収録されました。
画像は昭和50年(1975年)に角川書店より刊行された「角川文庫 髑髏検校」です。「連獅子」の仔獅子の精を彷彿させる出で立ちの人物と、虚ろな目をした女。まるで歌舞伎の何かの演目を描いたような画柄ですが、女の首筋に残る、血を吸われた痕が吸血鬼譚であることを物語っています。

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