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角川書店 角川文庫 不死蝶
昭和五十年四月三十日 初版発行
発行所 株式会社角川書店
昭和28年(1953年)に雑誌「平凡」に連載され、その後、昭和33年(1958年)に加筆された横溝正史の長編小説「不死蝶」。
信州の射水という架空の町を舞台に、過去と現在が交錯する連続殺人事件を描いた、横溝正史の作品ですね。23年前の事件に端を発する連続殺人、古くから対立している二つの名家など、如何にも横溝正史らしいシチュエーションの物語で、特に鍾乳洞が頻繁に出てくるところなどはあの「八つ墓村」を思い出させます。正直、物語自体には新鮮味はあまり感じられないのですが、ブラジルの“コーヒー王”の養女という設定のヒロイン・鮎川マリのキャラクターがちょっと毛色が変わっていて面白かったと思います。
本書には表題作の他に中編「人面瘡」が併録されています。角川文庫には昭和50年(1975年)に収録されました。
画像は昭和50年(1975年)に角川書店より刊行された「角川文庫 不死蝶」です。両腕が蝶の翅になった、黒のジャンプスーツを着た鮎川マリと思しき女。これも印象的な表紙画でしたね。本屋の文庫本コーナーに“緑三〇四シリーズ”の横溝作品が所狭しと並べられていた頃、目を惹いた表紙画の一つでした。
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