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BlogCats-29 Ran(蘭)
こういう種類があるわけじゃないんだろうけれど、飼い主さんはご自身のブログの中で『スモークさび猫』とおっしゃっていた記憶があります。
言い得て妙。
実に楽しく、シックな毛並みなのですが、ちょっと彩色がうまくいかない。
毛並みに目を奪われていると雰囲気全体のバランスが悪くなるので、結構手を焼いた記憶があります。古生物を描く隙間の気分転換で、時間の制約があるので仕上がりがいつもアバウト。
ホントは前脚まで入れたかったのですが、写真を見ながらの構図の限界でした。この『蘭ちゃ』(呼び方が蘭茶なのか…)の左前脚は他の体色とは違っていて、スモークする前のような色具合で、神様が念入りに塗っていてふと用事を思い出してそのまんま仕上げずに忘れてしまったのか、それとも、履かせるソックスを左前脚だけ間違ったのか…
非常に特徴的な毛皮でした。
この間展示した『もか=Moca』もそうですが、こういう色合いの猫は多くのヴァリエーションを持っていて、うれしいことにたくさんの方に飼われていたりします。
こういう猫ちゃんを描いていると生き物の多様な色彩と種の生き方の違いを考えさせられますね。
人と共存ししてゆく動物は多かれ少なかれ、人の感性を反映させた体型や色を発達させてゆきます。
それは猫自身がそうしようと思ったものではないでしょう。
犬にも猫にも様々な種類が登場し、今も世代の定着を認定され、新たな種類の猫や犬が生まれてきます。
そういう人間側のダイナミズから一端ドロップアウトして、再び自分たちで存在をアピールしはじめる猫達の中に、『蘭ちゃ』や『もか』のようにもう一つの種の流れを静かに主張しはじめるものが生まれているようです。
ペットショップにはいないけれど、偶然が生むこの体色のシックな主張は人為ではいかんともし難い混沌の中で汲み出される宝です。
チラリと覗く牙の先端に鞘に収まりきれない野性があるみたい。
https://youtu.be/97MaExxbCjo?si=bn55gNwJr9wnMWv0
音楽はエリック=サティのジムノペディ第1番
たくさんのピアニストが弾いているけれど、この曲だったら高橋アキさんよりボクはお兄さんの裕司さんの方がしっくりくる。
ジムノペディは古代ギリシャの神々を湛える酒宴のエクストラガンツァ(どんちゃん騒ぎ)を意味する言葉ギュムノパイディアからきているらしい。
サティのこの曲はその宴の後の寂寥を感じる。
大理石の石段のあちこちに酔っ払った人々が転がっており、おお鼾で眠りこけているその隙間を音もなく猫がその愚かな肉の塊をスルスルとよけながら降りてくる。
表情には呆れた顔も怒りもなくて、彼は噴水の受け皿に背を伸ばし、赤い舌でひっそりと水を飲む。
そんな、感じだな。
