フェルディナンド・ヒラーのピアノ協奏曲 第1、第2、第3番

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フェルディナンド・ヒラー

 ピアノ協奏曲 第1番ヘ短調op.5
  satz1 アレグロ モデラート
  satz2 アダージオ
  satz3 アレグロ モデラート コン グラジア
★ ピアノ協奏曲 第2番嬰ヘ短調op.69
  satz1  モデラート,マ コン エネルギア エ コン フォーコ
  satz2  アンダンテ エスプレッシーヴォ
  satz3  アレグロ コン フォーコ
 ピアノ協奏曲 第3番 変イ長調 ”コンチェルト エスプレッシーヴォ”

  satz1 アレグロ コン アニマ
  satz2 アンダンテ クワジ アダージオ
  satz3 allegro コン スピリート

ピアノ:指揮  ハワード シェリー(弾き振り)
 オケ:   タスマニア交響楽団(オーストラリア)

またまたようわからん作曲家がと思われる方もいるでしょうが、学校で習ったりする有名な作曲家は長い音楽史の中のひと握りです。
埋もれてしまった作曲家はごまんといます。今でこそクラシックというと高尚なイメージやとっつきにくさがありますが、当時は歌謡曲やポップスやジャズと同じように大勢のごひいきのファンがいたんですから。歌劇とかオペラは今の日本の歌舞伎。つまり元は大衆演劇です。
このヒラーもその埋もれた一人です。この人は、多くの有能な弟子を持っていたモーツァルトの愛弟子フンメルに師事していました。19世紀には、知らぬ者のない人気ピアニストです。ショパン、リスト級ですね。当時は自分が弾くために作曲した人が多いです。
彼は4曲のピアノ協奏曲を残しています。室内楽も素晴らしい。このCDではその3曲が収録されています。残る1曲はピアノ小協奏曲となっていますが、スケール感がある第1楽章は聴きものです。というか、ドンドコドコドンというテーマが何だか和太鼓のようで面白いですわ。

このCDでは★印の2番が押しです。
https://youtu.be/J6fyi5nntyo?si=IcvH6XVO1M6Vycnw

比較的抜けて有名で、知っている方もいるかもしれません。
ロマン派の巨匠風の三楽章構成の作品です。
曲想は当時の聴衆からは絶賛されたとのことです。
確かにそれだけのことはあると思わせる作風で、ショパンやリストを思わせます。(オーケストラ・パートがあまり練れてないところもよく似ています。)実際にショパンとの親交は厚く、お互いの才能を認め合った友情は深いものでした。
第1楽章のアンダンテの旋律は、スケールは感じさせないものの、好ましい出来映えです。アンダンテよりも、アレグロですね。
第2楽章は感傷に傾きすぎるかな、と思わせはしますが、静謐なロマンティシズムが、瞑想性すら湛え、秀逸です。

そして終楽章の歯切れの良さも魅了します。こういうピアノの曲調をボクはちょっと聞いたことがありません。踊るような旋律です。
埋もれるのは惜しい作品です。

ボクが初めて聞いたのは確かマイケル・ポンティのピアノ、ルイ・ド・フロマン指揮ルクセンブルク放送SOでした。

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