51 スピノサウルス (SPINOSAURUS) 未だ謎の多い全体像 発掘の度に修正され、想像が新たになる獣脚類最大種

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スピノサウルス (Spinosaurus)

 獣脚類/テタヌラ類/スピノサウルス科/体長:17m?/名前の意味:棘のあるトカゲ
 1億1,200万から9,700万年前(白亜紀考期)/産出地エジプト、モロッコ、ケニア(可能性)

基本アフリカ産の大型獣脚類。背中には最大1.6mの高さにもなる棘(きょく)突起があり、皮膚で覆われた帆のような形となっていた。体内の余分な熱を発散させたり異性へのアピールに使ったとの説もあるが、この不思議な帆の実際の役割はいまだにわかっていない。またこれは骨に直接皮膚で覆われた薄いモノではなく、脂質に覆われ、ある程度の厚みがあることも今ではわかってきた。
魚食性とされるが、これだけ大きな肉食恐竜が魚だけを食べて生きていたというには大いに疑問もある。その歯は通常の肉食恐竜のように肉や骨を断ち切るためのかみ合わせではなく、やや外に開いた鋭い歯並びは相手を捕獲し生きながら呑み込むタイプのワニや首長竜のような歯並びにも思える。他の動物を襲うにしても、闘争で背中の帆が傷つく恐れがあるような大型の肉食恐竜などとの”食うか食われるか”の闘争はちょっとい考えにくい。小型の恐竜や哺乳類を水辺で捕獲して飲み込むための道具であったように思える。

スピノサウルスは最初の発見であったエジプトバハリア渓谷の化石によって1915年に記載されたが、、ドイツに保管されていたそのタイプ標本は第2次世界大戦の空襲によって破壊された。最初の化石から復元されたものは全長12mの幼体と思われたが、最近多くの発見がる中で最大の骨格は成長しきった大人のものとおもわれ、、その推定体長は17~18mと推定されている。

ただこれらはあまりにも確定するには貧弱な資料であり、様々な推測をもたらし今も議論されている。

その中には完全水棲説もある。体型や水中での安定性が問題であり、化石分類上の疑問や標本のキメラ性などが加わり、安定していない。ただ2020年に新たにスピノサウルス・エジプティアクスの尾椎が発表され、縦60センチにも及ぶ神経棘が発見され、上下に広い幅を持つ尾を持っていたことが確認されたことから、水中での安定性、を補完し、俄然完全水棲説が勢いを吹き返している。
また、水の中を泳ぐ推進力と言うならスピノサウルスの後足の第1趾は接地していたようでかなり頑丈であることから水かきがあったと考えることもできなくはないと個人的には思っている。
(2番目の絵は完全水棲説に元絵づいた想像図。)

このカードのスピサウルスの帆はこのカードの制作年代にお応じた学説に準じており、いまではスピノサウルス亜科をなす様々な恐竜の要素を持っているといえる。つまりね、ちょっと古いタイプだね。またブラジルのスピノサウルス亜科としてエジプティアクスによく似た体型のオキサライアなどが幼体としてつまり、ジュニアシノニムとして認められれば、この恐竜の生息範囲が大きく広がることにもなる。
謎だらけだね。

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