クリフォードブラウン/マックスローチ.インコンサート

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1954年のクリフォード+ローチの名演を真空パックしたようなライブ盤。

ジャズというのは楽器を使う音楽表現のひとつだが、楽器を使うミュージシャンは、技術の問題や
個性などから、それぞれが独特な演奏者となっていく。ただ、中には、楽器そのものの可能性と
一体化するような人が出てくる。クリフォード・ブラウンはそういう演奏家。トランペットで、
何ができるか。その中心部分の領域にすっぽりと収まり、そこを満たしている。

このアルバムには、彼が1952年にレコード・デビューし、アート・ブレイキーらと「バードランドの夜」
のセッションに参加し、1954年に西海岸でマックス・ローチと出会い、バンド結成という流れの中で、
初期のユニット(4月)と、レギュラー化するクインテット(8月)での演奏が、4曲ずつ収められている。
4月ユニットでも、クリフォードの演奏は完璧で、輝かしくも安定し、流麗でスイングする。こうした
演奏を聴いたら、ドラッグ中毒に陥っていたマイルスもやる気を出す。クリフォードは事故で早逝して
しまうが、マイルスを正気に戻しただけでも、ジャズへの貢献は大きい。

ビバップ後の音楽的発展をマイルスは1951年にアルバム『Dig』で示したが、その後、低迷していた
ところへ、ローチとクリフォードが、目も醒めるような音楽的達成を示しだした。そのジャズ史的記録が、
このアルバムの8曲。
クリフォードはスタジオ録音盤だと完璧すぎて面白みに欠ける嫌いがあるが、このライブ盤では、
演奏は完璧にコントロールされながら、天馬空をゆくような自由な開放感にひたりつつ疾走する。
CDの頭からそのまま流して、何度でも聴ける名盤。

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