ベイズンストリートのブラウン&ローチ

0


 2管クインテットはジャズではごく普通の編成だから作品は無数にあるわけだが、その中でもほとんど頂点に位置するのではないかと思うくらいに完成度の高い、かっちりとした演奏だ。
 音数を多く詰め込んでしかも明確流麗なブラウニーtpの演奏・展開が素晴らしい。ソニー・ロリンズtsもブラウニーとの相性がぴったりで、ブラウニーに引きずられたのか音数を多くした、いつものロリンズとはちょっと違った演奏スタイルで、それがまたいい(録音時、ロリンズ26歳)。

 しかし最高なのはマックス・ローチdrだろう。多彩で変化に富み、加えてタメも切れもあるソロは端正さをも兼ね備えていて文句なし。ハードバップの教科書になりそうな演奏。特に「慕情」のソロは格別にカッコよくて、何十分でも聴いていたくなった。
 エマーシー・レーベルでの最終録音(1956年1月、5月)というこの盤を聴いて、クリフォード・ブラウンはやはりブラウン=ローチ・クインテットに尽きると思った。

Default