第四次発行1銭黒色:ポーラス紙(その2)/4th Issue 1 Sen Black: Porous paper (part 2)

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【2024/1/14 タイトル及び記載を変更、追加情報を追記しました】

第四次発行1銭黒色で、ポーラス紙に印刷された例を新たに発見したので報告したい。

黒1銭印紙貼りの証書ロットに紛れていたもので、明治17年付証書に3枚貼られたもの。ここで紹介しているものに加えて、同じ消印が使われている3枚貼りの証書、消印は異なるものの同じインプレッションを持つ印紙の3枚貼り証書、合計3通の証書貼りを発見することができた。

いずれも先に報告した印紙と同じく大孔で実測ピッチ9の目打10、刷色も全く同じインプレッション。さらに、これらの証書を保管管理していたと思しき村役場の朱印(未解読)が押印されているので、恐らく同一地域でほぼ同時期に書かれた証書が同じ印紙類売り捌き人に持ち込まれ、そこで同一のシートから切り出された印紙が貼られたものと考えている。

第五次発行1銭黒色では目打10/実測ピッチは後期に使われていることから、この第四次発行1銭黒色についても明治16年から17年にかけて、当時主流であったポーラス紙に(第五次発行1銭黒と同じ)濃黒色のインクで印刷されたものとして整理している。

第四次発行1銭黒色で、ポーラス紙と思しき洋紙に印刷されたものは単片ではお目にかかったことがなく、ここで紹介した同時期に同地域で使われた証書貼りの例のみである。第五次発行1銭黒が主流であったこの時期に、なぜ昔の原版を引っ張り出して1銭印紙を印刷したのであろうか。何らかの緊急性があって、ごくわずかのみ印刷されたのか。

謎に溢れた、素敵な「駄物」である。

【2024/1/14追記】

「その1」に追記したとおり、この第四次発行一銭黒・ポーラス紙は古屋厚一氏の分類では第XIV版及び第XVII版であることが判明した。

古屋氏の版別研究リーフによると、いずれの版も稀少であるようで、ここに記載したとおり、後期にごく少数が製造されたものと推察される。

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