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第五次発行25銭黄色:無地紙、篆書八角印付き(5例目) / 5th Issue 25 Sen Yellow, normal paper with Tensho hexagonal cancel (fifth example)
第五次発行25銭黄色はメインカタログでは(未発行50銭緑を除くと)洋紙20円の次に難関とされていて、辛抱強く拾い物を探さないといけない代物であり、年に1枚入手できれば御の字というところ。 この度、海外オークションのロットに紛れていたものを入手することができた。無地紙、目打10で、私のコレクションにある他のものと同様の篆書八角印が押されている。 若干オフセンターではあるがフレッシュな刷色である。 これで無地紙は5枚(全て八角印)、ポーラス紙は2枚(八角印はなし)となった。
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第四次発行5円濃紅色/淡紅色:2枚貼り証書
第四次発行5円濃紅色/淡紅色、目打13の縦2枚ペアが貼られた明治16年付の証書。 高額面印紙が貼付された例としてコレクション集などの文献でもしばしば登場する第一国立銀行の証書で、 貼られた印紙のコンディションも画像2枚目のとおり上々である。 JAPEX2023で上京したおりの即売ブースで、ふと訪れたディーラーさんが出してくれたクリアファイルに入っていたもの。 言値でファイル丸ごと買い求めたのだが、他にも第五次1円の目打13のペア貼り、第一次1円小型の単貼り、第二次10銭青の複数貼りなどの豪勢なもの揃いであった。 その中でもこの5円2枚貼り証書はまさか出会えるとは夢にも思っていなかった逸品。 こういうものこそ、気負わずに自然体で構えておかないと出逢えないということを改めて認識した次第。
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第四次発行1銭黒色:ポーラス紙(その2)/4th Issue 1 Sen Black: Porous paper (part 2)
【2024/1/14 タイトル及び記載を変更、追加情報を追記しました】 第四次発行1銭黒色で、ポーラス紙に印刷された例を新たに発見したので報告したい。 黒1銭印紙貼りの証書ロットに紛れていたもので、明治17年付証書に3枚貼られたもの。ここで紹介しているものに加えて、同じ消印が使われている3枚貼りの証書、消印は異なるものの同じインプレッションを持つ印紙の3枚貼り証書、合計3通の証書貼りを発見することができた。 いずれも先に報告した印紙と同じく大孔で実測ピッチ9の目打10、刷色も全く同じインプレッション。さらに、これらの証書を保管管理していたと思しき村役場の朱印(未解読)が押印されているので、恐らく同一地域でほぼ同時期に書かれた証書が同じ印紙類売り捌き人に持ち込まれ、そこで同一のシートから切り出された印紙が貼られたものと考えている。 第五次発行1銭黒色では目打10/実測ピッチは後期に使われていることから、この第四次発行1銭黒色についても明治16年から17年にかけて、当時主流であったポーラス紙に(第五次発行1銭黒と同じ)濃黒色のインクで印刷されたものとして整理している。 第四次発行1銭黒色で、ポーラス紙と思しき洋紙に印刷されたものは単片ではお目にかかったことがなく、ここで紹介した同時期に同地域で使われた証書貼りの例のみである。第五次発行1銭黒が主流であったこの時期に、なぜ昔の原版を引っ張り出して1銭印紙を印刷したのであろうか。何らかの緊急性があって、ごくわずかのみ印刷されたのか。 謎に溢れた、素敵な「駄物」である。 【2024/1/14追記】 「その1」に追記したとおり、この第四次発行一銭黒・ポーラス紙は古屋厚一氏の分類では第XIV版及び第XVII版であることが判明した。 古屋氏の版別研究リーフによると、いずれの版も稀少であるようで、ここに記載したとおり、後期にごく少数が製造されたものと推察される。
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第四次発行5銭褐色 使用例(4):35枚貼り証書(明治15年) / 4th Issue 5 Sen brown - usage on document (4): Meiji 15 document with 35 copies
第四次発行5銭褐色の使用例で、実に35枚が貼られた明治15年の証書。5銭印紙とともに第五次発行10銭印紙が2枚、同1銭印紙が5枚貼られており、当時の税率である金高2000円の0.1%=2円=200銭が収められている。 この証書は古屋厚一氏のコレクションリーフの一枚であり、未完成リーフの状態ではあるものの、第四次発行5銭褐色の使用例としては恐らく最大枚数と思われ、コレクションのショーピースにもなりうる派手な使用例であるが、それ以上に、版別研究のためには極めて貴重なマテリアルである。 貼られている印紙の印面紋様特徴を精査したところ、35枚全てが同一の版であることがほぼ確実となっている。 加えて、ここに貼られている印紙の多くのポジションで第三次発行5銭茶褐色印紙と一致するものを発見できており、第三次発行-第四次発行での原版流用の重要なエビデンスが次々と得られている状態である。定常変種もこのミュージアムで紹介している2種類が確認できている。 研究のネタとしてまだまだ楽しめそうな、貴重なマテリアルといえよう。
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蚕種免許印紙:明治5年度使用(その3)右枝先端の葉脈落ち/ Silk Worm Egg Revenue: Meiji 5 (part 3) - var right branch leaf vein missing
明治5年度使用・海外用の蚕種免許印紙で、右側の枝の先端部、葉っぱ4枚の葉脈が欠落している派手な忘彫エラー付きです。 左下桜紋の下側の青海波の小波も不完全のように見えますが、なんと言っても4枚もの葉っぱが真っ白になっているのが強烈な一枚です。 蚕種免許印紙は種紙1枚につき1枚が貼られたので、使用済みは理論的には全て単片であるので、折角のエラー印紙でもポジションが全くわからないということは残念ではありますが、それでも貴重なエラー印紙としてアルバムに大切に収めて愛でています。
unechan
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第四次発行5銭褐色:定常変種「右額面"銭”の下横棒落ち」【追記版】/ 4th Issue 5 Sen Brown: variety - right value inscription "Sen" one stroke missing [amendment]
第四次発行5銭褐色印紙の定常変種で、右額面"銭”の旁の下の横棒が欠落している忘彫エラー。 このエラーは古屋カタログ(2011)には未収録であるが、長谷川カタログ(2016)に変種番号22-2として新たに収録された。 ここで示した個体は、第四次発行5銭褐色がなんと35枚も貼られたえげつない証書(おまけに第五次発行1銭黒が5枚と同10銭青が2枚貼られている!)の中から発見したもの。 印面の特徴を精査したところ、なんと第三次発行5銭茶褐色の第6版の定常変種と同一ポジションであることがわかった。画像2枚目で、第三次と第四次の2枚を比較してみたが、細かい紋様の特徴を含めて完全一致=同一ポジションであることがわかる。ちなみに長谷川カタログ(2016)に収録されている第三次と第四次のエラー印紙の画像(それぞれとp.161の変種番号17-6とp.166の変種番号22-2)でも完全一致することが確認できた。 すなわち、この第四次発行5銭エラー印紙(版別不明)は、第三次発行5銭の第6版エラー印紙と共通の原版を用いて印刷されたものであり、第三次発行と第四次発行との関係性を立証する、手彫印紙研究の上で貴重な実例であると考えられる。 貴重な出会いであるので、星5つとしてみた。本当に手彫印紙は深い! ======== 2023/10/15 追記:2枚目の発見、他 ============================================== 第四次発行5銭褐色印紙が4枚(横ベア+単片2枚で、見かけは田型)貼られた証書(追加:画像3枚目)の版別を行なっていたところ、田型に貼られている4枚の印紙(画像4枚目)の上にある横ペアの右側の印紙がこの定常変種(画像5枚目)であることを発見した。2枚目の発見となる。 さらに、古屋カタログ(2011)p.29に掲載されている第二次発行5銭の第6版・右"銭"下横棒落ちエラー印紙が、この第四次発行5銭の定常変種と全く同一のポジションであることが分かった! すなわち、この第四次発行5銭エラー印紙の発見によって、第二次-第三次-第四次で同一の原版が流用されたということが実証されたことになる。 (ここに至った経緯については改めて小生のLabノート「手彫証券印紙ノート」にまとめる予定です)。 ================================================================================= -----(以下、少々ややこしい説明ですみませんが、備忘録として記載いたします。詳しくは改めて小生のLabノート「手彫証券印紙ノート」にまとめます) 第三次発行5銭印紙については、古屋(2011)は、その前のシリーズである第二次発行5銭印紙(以下「ルーレット目打」)との関係として、 「ルーレット目打の褐色5銭と同様に14版まで存在する。また、次の版はルーレット目打の版を和紙目打(注:第三次発行)に流用したことが確認されている。すなわち第1版、第7版、第8版、第9版、第10版、第14版の6つの版である。」 と述べている。また、長谷川(2016)では、 「5銭の多くはルーレットと同じ版を用いているが、流用されたことが確実な版と、不詳の版があり研究課題となっている。」 とある。さらに、長谷川(2022)では、 「ルーレットが14版であったので、目打の5銭も14版が確認されている。全てが同一版の流用である。」 とある。 一方で、第四次発行5銭印紙については、 古屋(2011)では「第1版は改色(和紙・ルーレット)5銭第1版の流用で、第2版も同じく第2版の流用である」とあり、 長谷川(2016)では古屋(2011)と同じ記述で、 長谷川(2022)では「134頁(註;129頁の誤り)には、ルーレットで使用した第3版に(註:「3版」=第1版、第2版、第3版の誤り)...」とあって、129頁に第二次発行(和紙ルーレット)と第四次発行(洋紙目打)の同一ポジション2枚組が第1版から第3版でそれぞれ示されている。 これらの記述をつなぎ合わせると、第三次発行5銭と第四次発行5銭との間では、少なくとも第1版から第3版の3つの版は、第二次発行5銭の原版を流用/再流用した和紙ルーレット-和紙目打-洋紙目打の共通版ということになる。 以上のことから、今回の共通版エラー印紙については、カタログなどでの版別を信じるとしたら第三次発行5銭の第6版なので、従前の3つの版以外での第三次-第四次共通版の(再)発見となる。今後はこの印紙の第四次での版別について詳細に分析する必要がある。
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第四次発行1銭黒色:ポーラス紙(その1)/4th Issue 1 Sen Black: Porous paper (part 1)
【2024/1/14 タイトル及び記載を変更、追加情報を追記しました】 第四次発行1銭黒色印紙で、ポーラス紙に印刷された例。証書に貼付された2x2ブロックを水剥がししたものである。 ルックス、特に濃い黒色の刷色と、若干ボヤけたようなインプレッションはまさに第五次発行(電胎版)1銭黒色であるが、画像2枚目のとおり印紙間のガッター巾が約2mmの狭巾であり、広巾(約3mm)の第五次発行1銭黒色とは明確に異なっていることから第四次発行のものとわかる。 このブロックの右上の印紙を取り出したものを画像3枚目以降に示す。 印面のインプレッション、紙の質感は第五次発行1銭黒色のポーラス紙であるが、第五次発行1銭黒色と比べて、画像3枚目の赤丸で囲んだ部分(印面内枠下側、左にある雲型飾りの左側と、隅飾りの間の小ループ)が存在すること、「銭」の特徴が異なっていることに加え、確定している第五次発行1銭黒色の全ポジション(2版 x 50ポジション)印紙と合致しなかったことから、確実に第四次発行1銭黒色と言える。 画像4枚目は裏面のスキャン。裏面から印面が透けて見えるという、ポーラス紙の特徴を有している。 画像5枚目は裏面の透過画像。明らかな斑点模様が認められ、構造として第五次発行1銭黒色/ポーラス紙と合致している。 古屋・長谷川両氏による専門カタログでは第四次発行1銭黒色は無地紙とアイボリー紙の2種類が挙げられており、ポーラス紙は第五次発行のみである。 この謎の印紙、初めてお目にかかるものであり、これまでの常識を覆すものであるため、現時点ではレア度としては最高の五つ星をつけてみた。 ちなみにこの他にも同時期に使用されたと思しき明治17年付の証書貼りの例を同時に入手している。 最終結論を出すまでにはさらなる分析と調査が必要であるが、場合によっては極めて興味深い発見になるかも知れない。 【2024/1/14追記】 この第四次発行一銭黒・ポーラス紙に関して、先日、世界一のコレクション・アキュミュレーションを精査する機会を得た際に、古屋厚一氏の手による分類リーフの中から該当するものを見出すことができた。 これによると、第四次発行一銭黒・ポーラス紙はXIV版とXVII版の2つで、このミュージアムで紹介している二例はいずれかの版にあてはまるものと考えられる。 ちなみに古屋氏の分類ではXV版とXVI版が長谷川氏による第五次発行一銭黒のI版とII版に該当する。 古屋氏は洋紙目打の一銭黒・ポーラス紙は4種類存在し、それらを第14-17版として一連の版番号を割り当てたのかも知れない。 このように、謎であった第四次発行一銭黒・ポーラス紙に戸籍が与えられたのは大きな進展であった。 貴重なコレクションを精査する機会を与えて頂き、深く感謝する次第である。
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第四次発行5円濃紅色/淡紅色: 目打のヴァリエーション / 4th Issue 5 Yen bright red violet / Purple: perforation variation
第四次発行5円濃紅色/淡紅色印紙の目打にはピッチ12 1/2 (perf. 12 1/2)と、複合目打であるピッチ12 1/2 x 11の二種類がある。 画像1枚目は最初に入手した一枚で、ピッチ12 1/2 x 11 (perf. 12 1/2 x 11)のもの。用紙の厚さがおよそ120μmという厚手洋紙に印刷されているせいか、目打ちのキレが悪く、特に縦方向がボサついている。 画像2枚目はコレクションルームを飾っている個体で、ピッチ12 1/2 (perf. 12 1/2)のもの。およそ110μmの厚さの洋紙が使われているにも関わらず、目打のキレは極めて良くてシャープな印象を受ける。 この二種類の目打のインプレッションはカタログに収録されている画像を見ても同じような感じなので、5円印紙を入手するチャンスに巡り会えたならば目打ちのキレが悪いものを選べば複合目打である可能性が高い、ということにもなろう。
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第一次発行 1銭 灰色/黒色のヴァラエティー(18): 上額面「1」上セリフ落ち+左警告文「處」第二画横棒落ち / 1st Issue 1 Sen - variety (18) - top serif missing in “1” of upper value inscription + second stroke missing in second character of left warning inscription
第一次発行 1銭 灰色/黒色のヴァラエティー(18): 上額面「1」上セリフ落ち+左警告文「處」第二画横棒落ち / 1st Issue 1 Sen - variety (18) - top serif missing in “1” of upper value inscription + second stroke missing in second character of left warning inscription 第一次発行1銭黒色印紙のヴァラエティーで、上額面表示の「1」の上セリフが欠落している忘彫エラー。明治10年の証書に第一次10銭、同5銭と共に貼られた縦3枚ストリップの真ん中の印紙である。 このエラーは古屋(2011)カタログには未収録であったが、長谷川(2016)カタログに変種番号1-2として収録されている。 この印紙、さらに左警告文の「處」の第二画目の横棒も欠落しており、一枚の印紙に2箇所の忘彫エラーがあるという面白い例。長谷川カタログでは「處」には言及されておらず、見落としと思われる。 ちなみに同カタログに収録されている画像はやや不鮮明ではあるが、「處」の第二画目の横棒が欠落していることが確認できるので、確かに2箇所のエラーが(偶発変種ではなく)定常変種として存在することの裏付けとなる。 画像2枚目がヴァラエティーの説明、画像3枚目がこの印紙が貼られた証書。 複数のエラーがある印紙はカタログでも例が少なく、面白さという点では抜群のアイテムである。手彫証券印紙はとにかく面白い!
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第一次発行 5銭 橙黄色/茶色 ヴァラエティー(その8):左警告文「處」タレ落ち、菊紋花弁誤刻、枠線はみ出し / 1st Issue, 5 Sen bistre - variety - 2nd character of left warning inscription stroke missing, chrysanthemum crest petal erroneously engraved, frame lines erroneously engraved
第一次発行 5銭 橙黄色/茶色 のヴァラエティーで、左警告文「處」のタレが欠落している大きなエラー。これに加えて、菊紋の花弁の彫りが不正確で、複数箇所で小花弁が欠落している(一部は印刷時にうまく印刷できなかったものかも知れない)。さらに、随所で枠線がはみ出ているという、ヴァラエティーの宝庫のような1枚。未使用であるので、使用時のスレなどではないことは確かであろう。長谷川(2016)などのカタログには未収録であるのが不思議なほど。おまけに右マージンのルーレットに大きな段差があり、古屋(1979)にあるとおり、ルーレット器具の長さが印紙二枚半程度であったことを示すエビデンスとなっている。 縁あって最近入手した未使用数枚の中に潜んでいた宝物である。面白さとしても抜群なので、レア度は五つ星とした。 画像2枚目はヴァラエティーの説明。
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第四次発行5円濃紅色/淡紅色: デザインの詳細 4th Issue 5 Yen bright red violet / Purple: detail of the design
手彫証券印紙の高額面、5円と20円では、花模様の地紋の上に額面、警告文などが印刷されているという、実に凝ったデザインとなっている。 コレクションには縁あって出会えた2枚しかないため、コレクションルームを飾った単片を再登場させて、印面紋様の詳細を紹介する。 画像2枚目が印面中央部(「印紙」の周辺)の拡大図。地紋として二種類の花(菊と桜)が交互に配置されている。 画像3枚目は地紋の拡大図。デザインの都合か、菊の花弁は12枚、桜の花弁は4枚と、本来の枚数から変えられている。 画像4枚目は額面表示部分付近の拡大図。ケルト紋様のようなロープ模様の枠が美しい。 当時の職人技の粋を尽くした、高額面印紙にふさわしい複雑かつ美しいデザインで、見飽きることがないほどである。 [2023/8/8: 菊花弁の数を訂正しました]
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第五次発行25銭黄色:無地紙、篆書八角印付き / 5th Issue 25 Sen Yellow, normal paper with Tensho hexagonal cancel
第五次発行25銭黄色の無地紙、目打10(実測9程度)。海外ネットオークションで巡り会えた、貴重な一品。 このコレクションでは一番まともなコンディションで、おまけに、このミュージアムでもご紹介した篆書八角印付き。 画像2枚目で示すように、この特徴のある消印が押されたものは4枚目となった。
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第五次発行25銭黄: 消印について / 5th Issue 25 Sen yellow: cancellations 【2023/12/24追記】
高額面(5円、20円)を除くと手彫證券印紙の中の最難関である第五次発行25銭黄色印紙は、雑多なロットに潜んでいるのを掘り出すしか入手のチャンスはないと言っても良いほど。今回入手した手彫印紙のロットに入っていた傷モノではあるが、貴重な一枚を追加することができた。ライティングの加減で橙色味がかかってしまっているが、実物は綺麗な黄色である。 この一枚を入手したもう一つの理由は、押されている消印。篆書体の、八角形と思しき特徴のある消印が押されている。 この消印については、小生のコレクションルームを訪れていただいた、muuseoで印紙類の膨大なコレクションを披露されておられる印紙類研究家さんから頂戴したコメントでご指摘いただいたもので、氏が所有されておられる第五次発行25銭黄色印紙(下記URL参照)にも押印されている。 https://muuseo.com/carow151852/items/77?theme_id=34634 小生の所有する5枚のうち、3枚が同じ消印(画像2枚目)で、さらに、長谷川(2022)にも同じ消印をもつ第五次発行25銭黄色印紙が図示されている。恐らく同じ時期に同じ場所で使われたものがまとまって海を越え、様々なコレクターの手に渡ったものが、少しずつ里帰りしているものと推察される。 切手と違って、印紙は消印の重要性や有用性はほぼ無いが、この第五次発行25銭黄色印紙に限っては、興味深い共通点として今後の調査対象としていきたい。 【2023/12/24追記】先日、縁あって手彫証券印紙の大コレクションを拝見する機会を頂き、この第五次発行25銭についてもストックブック2ページ分(あるところにはあるものである!)を精査させていただいた。予想通り、この篆書八角印消しが全体のおよそ8割を占めており、一箇所でまとまって消費されたことがまず間違いないと言えるエビデンスを得ることができたと考えている。 また、某オークションでこの印が押された単片を含むロットを落札できたので、到着次第、改めて紹介したい。
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第五次発行25銭黄:ポーラス紙(その2)/ 5th Issue 25 sen yellow: Porous paper (2)
第五次発行25銭黄のポーラス紙、目打10(実測値でピッチ9.2程度)。縁あって入手できた2枚目。 印面の一部が変色しているものの、色調は先に紹介したポーラス紙と同様に若干暗い目の黄色で、無地紙のものとは明確に異なっている。また、「銭」の字体も先に紹介したポーラス紙のものに類似しており、無地紙のものとは明らかな差異が認められる。 とにかくマテリアルの絶対数が少なく、早急な断定は難しいところであるが、無地紙とポーラス紙とで版が異なっている可能性が高いように思われる。 [2023/6/15追記] この単片、古屋氏により2003年に上梓された「手彫証券印紙」(たんぶるぽすと増刊No.23)の、p.117にあるリーフの"Porous Paper, Perf 10."で示されている3枚のうち、1枚目のものであることが判明。このリーフには、"This paper is known to exsits these three copis only"(原文ママ)とあり、ポーラス紙の希少さが伺える。
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第五次発行 25銭 黄色:ポーラス紙 / 5th Issue 25 Sen yellow : Porous Paper
第五次発行25銭黄色で、色調が異なる単片。この印紙の紹介で「変色した単片」と紹介したもので、通常のものに比べると茶橙色が若干混じったような、暗めのシェードである。画像2枚目はスキャン時の色調を合わせるために、先に紹介した代表的な黄色の刷色の無地紙の単片と同時にスキャンしたもの。赤色や橙色のインクでよく見られる黒化と考え、オキシドール処理を施したが変化が見られなかったので、もともとこの色調のインクで印刷されたものと考えられる。 用紙は小孔が随所に見られる荒い構造の洋紙で、画像3枚目に示した透過画像でわかるとおり、第5次発行1銭や10銭に見られる、網目状のポーラス紙であることが確認できた。 印面についても「銭」や「5」の彫りに違いが見られる。 カタログによるとポーラス紙は極めて珍しいとのことであるが、無地紙とポーラス紙では版が異なっているのか、刷色が異なっているのか、わからないことが多い。 [2023/1/7 改訂]
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