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第五次発行1銭黒色:凸版証券印紙(菊型印紙)1銭との混貼使用例 / 5th Issue 1 Sen Black : mixed franking with Chrysanthemum issue 1 Sen
手彫証券印紙は明治17年に凸版証券印紙(菊型印紙)にとって代わられたが、使用は継続されて、特に手彫証券印紙5銭と10銭は凸版印紙時代になっても数多く使われている。 一方で、1銭印紙は大量に使用されていたため、手彫証券印紙の在庫は明治18年ごろには底をついてきた模様で、凸版証券印紙との置き換えが急速に進んだようである。 このため、第五次発行1銭黒色印紙であっても、凸版証券印紙との混貼使用例は意外と少なく、小生も気に留めて探しているのだが、見かけるチャンスはごく少ない。 凸版証券印紙1銭は、大量に使用された印紙であり、凸版証券印紙の中でもいわゆる「駄物」扱いをされているのだが、同じく手彫証券印紙の「駄物」である第五次発行1銭黒色との同時使用例となった途端にハードルがグンと上がるのは面白い。 ここで紹介する例は、現時点で小生のコレクションに入っている唯一の使用例で、明治20年と、第五次発行1銭黒の使用例としても後期である。印紙が重なって貼られていて、ルックスはイマイチではあるが、貼られている第五次発行1銭黒色の右側の印紙が定常変種のあるPlate I / Pos.20であるのがせめてもの救いである。 凸版証券印紙は明治17年7月1日に発行されているので、明治17年7月の混貼使用、それも手彫証券印紙1銭と凸版証券印紙1銭が一枚ずつ、という証書を探しているが、出会えるのはいつのことになるのであろうか。 駄物の珍品の難しさを噛み締めている。
unechan
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第五次発行10銭青色:シートリコンストラクション・デジタル版(途中経過) / 5th Issue 10 Sen Blue: digital sheet reconstruction (interim report) [2024/1/20]
第五次発行10銭青色の2つのプレート(Plate I, Plate II)のシートリコンストラクションの進捗については別アイテムとして随時ご報告しているところであるが、証書貼りのマテリアルを使って、個々の印紙のスキャン画像をくみあわせてデジタル版のシートリコンストラクションも併せて進めている。 デジタル版では、証書貼りの印紙のデータも使えるので、実物版よりも若干進捗が早く、現時点(2024/1/20時点)で、Plate I, Plate IIともに1ポジションを残すところとなっている。 偶々であろうが、両プレートとも、Pos. 37が欠落しているのが不思議である。 単片で出会える確率は2/100 = 2%なので、これからが真の踏ん張りどころ。
unechan
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第三次発行10銭青色 定常変種「右下隅飾り一部欠落」 3rd issue 10 Sen blue: var. right lower corner ornament partially missing
第四次発行10銭青色で、右下隅飾りの一部が欠落している忘彫エラー。細かいエラーなので、エラー部の拡大を画像二枚目に示している(赤で描いた部分が欠落)。 小さいエラーなのでカタログには未記載ではあるが、プレーティングや第二次10銭との同一ポジション探索にとっては有用かつ貴重なマテリアルである。
unechan
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第四次発行5銭茶色:定常変種「左上隅飾り両方ヒゲ落ち」 4th Issue 5 Sen brown : var. left upper corner ornament both “beards” missing
第四次発行5銭茶色で、左上隅飾りの「ヒゲ」が二つとも欠落している忘彫エラー。 第五次発行10銭の縦3枚ストリップを目当てに先日入手した証書に貼られていたもので、思いがけない発見で驚いた次第。 カタログに記載されている同様の定常変種とは異なっているようで、判別に加えて、第三次発行5銭茶色での同一ポジションの捜索など、今後の詳細なスタディが必要な一枚である。
unechan
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第五次発行25銭黄色:無地紙、篆書八角印付き(5例目) / 5th Issue 25 Sen Yellow, normal paper with Tensho hexagonal cancel (fifth example)
第五次発行25銭黄色はメインカタログでは(未発行50銭緑を除くと)洋紙20円の次に難関とされていて、辛抱強く拾い物を探さないといけない代物であり、年に1枚入手できれば御の字というところ。 この度、海外オークションのロットに紛れていたものを入手することができた。無地紙、目打10で、私のコレクションにある他のものと同様の篆書八角印が押されている。 若干オフセンターではあるがフレッシュな刷色である。 これで無地紙は5枚(全て八角印)、ポーラス紙は2枚(八角印はなし)となった。
unechan
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第三次発行10銭青色:第二次発行10銭青色との同一ポジション(小エラーあり:版番号未同定)/ 3rd Issue 10 Sen Blue - identical position to 2nd Issue (with minor error - plate TBD)
第三次発行10銭青色のいくつかの版は、その前の第二次発行10銭青色と同一の原版を使って製造されたことがわかっていて、小生のコレクションにもいくつかのペアがある。 このペアは、第三次発行10銭青のプレーティング作業の過程で見つけたもので、画像2枚目のとおり、左上隅の隅飾りの下側にある小ループが欠落していること、右下桜花紋の下側の青海波紋様が不完全という細かいエラーがある。 加えて、上下額面の枠線が一部はみ出ているなど、エラーとまでは言えないものの、仕上げが少々雑という特徴がある。 実は、第二次発行10銭青のプレーティング作業中にこれらのエラーを持っている印紙(版番号未確定)を以前に見つけており(画像3枚目)、今回の第三次発行10銭青で同じエラーを発見したときはかなり感激した次第。 なお、この印紙は元のリーフ(いずれもEx 古屋)では第三次が「Plate 3」、第二次が「Plate 7」となっているのだが、いずれも同じリーフに貼られている印紙とは異なった特徴を持っており、元々のプレーティングは間違っている可能性が高い。「銭」「處」など、特徴的な筆跡が目立つが、現時点では版番号は未同定である。 細かいエラーや版欠陥がプレーティングに大いに役に立つ、いい例であろう。
unechan
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第一次発行 1銭 灰色/黒色のヴァラエティー(11)第2例目: 上雲形紋2つ軽彫 / 1st Issue 1 Sen - variety (11) : Second example- top two cloud ornaments
「第一次発行 1銭 灰色/黒色のヴァラエティー(11)」で報告した、上雲形紋2つ軽彫定常変種の第2例目。 前報の印紙は証書に貼られたものであるが、こちらの第2例目は画像1枚目のとおり使用済み単片である。画像2枚目はエラー(軽彫)の説明のために、軽彫になっている上の雲形紋2つを赤実線で囲い、対照とするために(きちんと彫られた)下の雲形紋2つを赤点線で囲ってある。軽彫により、上の雲形紋様がごくごく薄れてしまっているのがわかる。 画像3枚目は、今回の印紙と前報の印紙を並べて比較したもの。左警告文の「可」の左上、外枠の角近くから伸びている線や、「處」の第1画目が不完全で、第3画目と分離しているなど、すべての特徴が一致するので、同一ポジションの印紙であることがわかる。 このことにより、この「上雲形紋2つ軽彫」は印刷時の薄れや保存時の擦れではなく、定常的に出現する定常変種であることが証明された。 なお、この印紙の左側マージンを観察すると、マージン幅が十分に広く、かつ、左側の印紙の印面が重なっていないことからシート左端の列である可能性が高く、また、印面中央付近(左警告文の崩し字「も」の左横あたり)でルーレットの段差が存在することからシート第3列目と考えられるので、ポジションはPos. 21(シート左端、上から3つ目)の可能性が高い。 * ルーレットの段差についてはLabジャーナル「手彫証券印紙ノート」のLabノート、「【手彫証券印紙】第1次発行1銭:ルーレットについて」をご参照ください(下記URL参照) https://muuseo.com/unechan/diaries/34
unechan
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第一次発行 1銭 灰色/黒色のヴァラエティー(9): 左側波落ち(忘彫)第2例目 / 1st Issue 1 Sen Black - variety (part 9) - second example : left side wave pattern largely missing
第一次発行 1銭 灰色/黒色のヴァラエティー(9)で紹介した、左上桜の下側の青海波紋様が広範囲で欠落しているという、1銭黒色では最大のエラー(忘彫)の第二例目に出会えたので紹介。 このエラー印紙(画像1枚目:エラー部分をわかりやすくするために画像の色調などを調整している)は、明治11年付の証文に単独で貼られたもので、消印が印紙の右上に押されているので、エラー部分が綺麗に見えている最高のコンディションである。 この証書は先日入手した雑多な証書のロットに混じっていたもので、ロットの中から目ぼしい多数貼りなどを拾ってリーフに仕立てたあと、念の為にパッとしない単貼りやコンディションのよろしくない証書をルーペで眺めていてこのエラー印紙に気づいてびっくり。これだから手彫証券印紙は気が抜けない。 貴重なアイテムが入手できたので、早速リーフに仕立てたのが画像3枚目。
unechan
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5th Issue (foreign paper, perforated, multiplicative printing)
The last series of the documentary revenues is the 5th Issue, printed on foreign paper and perforated. This series is different from the previous 4th Issue that the original plates have been multiplicated (probably by electroplating) to accomodate for mass production without preparing multiple original plates. The 1 Sen balck revenue is the most common classic Japanese revenue found on market. On the contrary, very limited number of 25 Sen were printed, making this revenue stamp the second toughest item to collect.
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4th Issue (foreign paper, perforated)
Shortly after the introduction of (normal) perforation, the paper has been changed from native paper to foreign (e.g. western, normal) paper. This transition was announced in proclamation of Meiji 7 (1874), where the normal perforations was adopted for higher denominations (5 Yen and 20 Yen) . The 4th series 20 Yen revenue stamp is the most scarce item amongst the issued revenue, and it is thought that not more than 30 copies exist.
unechan
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3rd Issue - transitional (native paper, perforated)
Shortly after the color change in 1874, normal perforation device has been adopted for 1, 5, 10, 25 and 50 Sen revenue stamps. Native paper was still used. Official announcement on this change does not exist, but based on the usage, it is considered that this change occurred at around 1876 (Meiji 8) and the usage of this transitional issue is considered to be rather short - a few years at maximum - and have been replaced by the next (4th) issue.
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2nd Issue - color change and addition of higher denominations (native paper, rouletted)
In 1874, the printing colors of 5 Sen, 10 Sen add 50 Sen has been changed. Also higher denominations - 5 Yen and 20 Yen - were issued using foreign paper. All issues were perforated using roulette.
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1st Series, high value reduced size (25 Sen, 50 Sen and 1 Yen)
Shortly after the issuance of the documentary revenues, size of high denominations (e.g. 25 Sen, 50 Sen and 1 Yen) has been reduced to match the low denomination issues on August 31, Meiji 6 (1873). 50 Sen green was not officially issued and thus exists only as specimen printed on a mini sheet, making this revenue as the most rare item in classic Japanese revenue.
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第五次発行50銭橙色:使用例(2) 明治16年付 1枚貼り証書
第五次発行50銭橙色の使用例で、明治16年付けの1枚貼り証書。第一国立銀行大阪支店の預り金証書。このミュージアムでも何例か紹介している様式で、第五次発行50銭貼りとしては紹介済みの横ペア貼りに続いて2通目を入手できた。 第一国立銀行大阪支店の証書はどこかの時点でまとまって市場に放出されたようで、古屋厚一氏や長谷川純氏のコレクション集でも高額面印紙の使用例としてしばしば登場する。銀行の金庫で大切に保管されていたためか貼られている印紙のコンディションは極上で、この例でも発行当時の鮮やかな橙色が保持されているのが嬉しい。 画像3枚目はアルバムページに仕立てたもの。
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第五次発行1銭紅色 使用例:目打13x10 縦ペア他貼り証書
第五次発行1銭紅色の証書貼り使用例で、複合目打13x10の縦ペアが第五次発行50銭橙色1枚と同1銭黒色2枚と一緒に貼られた明治16年付け証書。 このミュージアムでもご紹介している、第一国立銀行の立派な洋紙の証書(借用書)が使われている。 第五次発行1銭紅色の証書貼り使用例は、高額面ということもあってあまり出逢うチャンスがないが、こちらは2枚貼り、しかも目打13x11という貴重な使用例である。
unechan