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東京名物食べある記
午後3時から鍋物が破格の値段で提供されるという「急告」。
鍋物だから寒い季節なんでしょうかね。
鍋といってもいろんな種類があるだろうから、値段は載せられないということなのか、どの程度破格なのかは行ってみないと分からないようです。
この花月という食堂。
丸ビルの中にあるようですが、昭和5年に発行された「東京名物食べある記」という読み物の中に出ていました。
執筆は個人ではなく「時事新報家庭部」とありますから、複数の記者が書いたものかもしれません。
それによるとこの花月、丸ビルの地下にあったようで、注文方式は食券制。
ショーケースで品定めする姿が、客や食券売り場の姉ちゃんから丸見えなのが「宜しくない」そう。
塗りのテーブルもベタベタであまりきれいに拭かれてなかったほか、品数も百貨店の食堂に比べ「甚だ淋しい」とあります。
複数人で食事をしたようで、弁当、天ぷら、鶏そば、シューマイなどを食べていますが、ご飯は百貨店食堂よりは「美味い」か「普通」であるものの、主食類は総じて「不合格」だったようです。
これでは値段が破格でも、あまり期待できない鍋だったかもしれませんね。
この「食べある記」。
写真はなく(あったとしてもモノクロだろうからよく分からないはず)文字情報だけの読み物ではありますが、なかなかおもしろい内容でした。
丸ビル地下だけでなく、千疋屋、不二家、モナミ、富士アイスといった有名店のほか、松屋、三越、高島屋、白木屋の食堂など、当時のあらゆる飲食店を食べ歩いた記録となっており、資料としても貴重です。
国立国会図書館デジタルコレクションで読むことが可能となっています。
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